二人のJC
10月21日(月)
少し間があいちゃって、ごめんね。
ちょっと風邪気味で。<
>ううん全然、えー!大丈夫?
もうだいぶ治った。
学校の方はどう?<
>うん、一日おきに行けてる。
調子いい時は、
るんるんるーんって感じだよ!
よかった。でも無理しないのよ<
>今日はね、
クラスの子と一緒にお弁当食べれたよ
それは、るんるんるーんだね!<
10月24日(水)
>ひょっとして、まだ調子悪い?
10月25日(金)
ごめんごめん、スマホ調子悪くて<
>レスもらえてよかった!
既読つかないからどうしたのかなって。
もうこれ以上、嘘はつけない。
このまま旅立って、LINEの返事がこなかったら、あの子は、私にも見捨てられたと思ってしまう。
せっかく学校に行けるようになったのに、逆戻りしてしまう。
10月30日(水)
>また、間があいちゃったね。
こんどタマキちゃんと
リアルで会いたいな。
私もリンちゃんに会いたい。
でも、その前に謝らないとね<
>?
私ね、おばあちゃんなんだ<
>え!?
91歳。<
>そうなんだ。
騙してて、ごめんね。
もう会いたくないよね。<
>ううん。
それでも、やっぱ会いたい。
ありがと。でも私ね、病院にいるの。
そろそろだから。<
>えっ、そんな!
だからね、
LINEがこなくなっても
誤解しないでね。
いつまでも、リンちゃんのこと
好きだから。<
>ねえ、どこに入院してるの?
ほんとうにごめん。<
>タマキちゃん!
目を開けると、白い天井がいつもより滲んで見えた。
私はまだ、生きていたのか。
娘夫婦や孫がこの部屋にいるということは、今日で最後なんだろうな。
こんな風にちゃんとお別れできるのは、幸せなことなのかもしれない。
惜しむらくは、あの子とちゃんと会って、お詫びとお別れが言えなかったこと。
誰かが私の手を握っている。
なんとか首を傾けると、制服姿の男の子がぼんやりと目に映った。
「タマキちゃん!」
「あなたは?」
「……リンだよ……僕こそ騙してて、ごめんなさい」
「リンちゃん……どうしてここが?」
「前にLINEで送ってくれた、窓の外の写真。あれを見てここを探したんだ」
「すごいわね……見つけてくれてありがとう」
「ごめんね、ウソついてて……でも、学校に行けるようになったのは本当だよ」
「それが何よりよ……よかった」
「タマキちゃんのおかげだよ」
「友達、できるといいね……でも無理しすぎないのよ」
「うん……でもタマキちゃんは、ずっと友達だよ。絶対忘れない」
「私もリンちゃんのことずっと忘れない、でもね……」
「?」
「あっちに行ったら、私もね、新しい友達つくるから……るんるんるーんってね」




