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ラブコメのテンプレを 超越する彼女

いけない!遅刻しちゃう。


「行ってきまーす!」

私は、キッチンのテーブル上のお皿に置かれていたそれをワシづかみにして、家を出ようとしていた。


「ちょっとあんた、はしたない!それに髪もぐしゃぐしゃじゃない!」

わかってるてば!

でも時間がないの。


あ、いいものがあった。、

「ママ、これ借りるね!」

私は朝食を口にくわえたまま洗面所で髪を整え、学校に向かう。


ドシン!


「あいたた!」

「あっ、ごめん!」

「大丈夫、平気へいき!」


交差点でぶつかったその子は、僕と並走する。

制服から察するに、多分同じ高校だろう。


走りながら横を見て驚いた。

彼女は、かんぴょう巻きを食べながら全力疾走している。

ラブコメでのテンプレでは、ここは普通トーストだろう?


じき、学校の玄関に到着する。彼女は巻物の最後の一口を平らげ、「またね!」と言って暗い登校用玄関に入り、その姿は見えなくなった。

どんな顔だったか覚えていないが、クルンと巻かれた前髪だけが印象に残った。


「まあ、あの子ったら!」

洗面所に放置された「巻きす」を見て母親はうなだれた。さっきかんぴょう巻きを作った道具だ。

「いくら時間がないからって、普通これで前髪をカールする?」


しばらくして、ある日。


いけない!遅刻しちゃう。


「行ってきまーす!」

私は、キッチンのテーブル上のお皿に置かれていたそれをわしづかみにして、家を出ようとしていた。


「ちょっとあんた、はしたない!それに髪もぐしゃぐしゃじゃない。」


わかってるてば!

でも時間がないの。


あ、いいものがあった。

「ママ、これ借りるね!」

私は朝食をくわえたまま、洗面所で髪を整え、学校に向かう。


ドシン!


「あいたた!」

「あっ、ごめん!」

「大丈夫、平気へいき!」


交差点でぶつかったその子は、僕と並走する。

彼女の前髪は緩くウェーブして、初夏の風に揺れている。


まちがない。

こないだ、かんぴょう巻きを食べながら爆走していた子だ。


走りながら横を見て驚いた。

彼女は、ホットサンドを食べながら全力疾走している。

普通、ラブコメでのテンプレは、トーストだろう。


じき、学校の玄関に到着する。彼女はサンドの切れ端を平らげ、「またね!」と言って暗い登校用玄関に入りその姿は見えなくなった。

どんな顔だったか、はっきり覚えられなかったが、フワリとウェーブがかかった前髪だけが印象に残った。


「まあ、あの子ったら!」

洗面所に放置された「それ」を見て母親はうなだれた。朝食のホットサンドを作った器具だ。

「いくら時間がないからって、普通これをコテ代わりにする?」


さらにしばらくして。


ドシン!


「あいたた!」

「あっ、ごめん!」

「大丈夫、平気へいき!」


交差点でぶつかったその子は、僕と並走する。

その子の髪、お団子にまとめられてたけど、すぐにあの子だってわかった。


彼女は、おむすびを頬張りながら、爆走する。

僕は、彼女に置いていかれないように追走する。

彼女のヘアメイクの謎を解明するために。

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