ちょっとお出かけ
お弁当を食べたら眠くなるよね。
ボクもモチロンそうなるよ。
お昼ご飯の後の授業は、お昼寝タイム。
「高宮さつきさん、答えられます?」
最初のうち、お昼寝してるボクをとっちめようと、急に質問されるたんだけど、ムリじゃないかな……だってボク、ホントに寝てるわけじゃなくて、眠くなると、いわゆる『幽体離脱』するんだもの。
教室の中をフワフワ浮遊してるだけ。
だから、先生からボクに指名がかかっても、ボクは自分の中に戻って、何でも答えちゃう。
天井の高い所から、クラスの様子をながめてるのって楽しいよ。
イインチョーは優等生だけあってムッチャ怖い顔して先生の話聞いてるし。
後ろの方はワルガキどもが、お下劣な伝言メモ回してるし。
タケル君とモモちゃんは時々お互いをチラ見して、嬉しそうにしてるし。
念願かなって両想いになったのかな。
でも、
そろそろクラスの中で『離脱』してるのも飽きてきたなあ。
まあ、先生に怒られてもいいや。
ボクは秋風を教室に運ぶ窓から、外に出てみた。
お昼寝で気分がどろーんとしてるところで、ドローンのように飛行する、なんちゃって。
猫がいた。
いつも学校脇の草原で昼寝してる奴。
ちよっと入ってみようか。
……なんか、夢見てるね、ネズミをガブリ!
うわっ! 退散退散。
保育所の赤ちゃん保育のお部屋。
ちょうどお昼寝中。
まつ毛の長い女の子の夢に入ってみたいな。
スルリン。
夢はの中では、ママに抱っこされてお昼寝かあ。いいなあ、ボクも赤ちゃんの時くらいはママに抱っこされたかったな。
「オギャー、オギャー!」
ゴメン、君のママをとるつもりはなかったんだよ。
あーあ、みんな目を覚ましちゃって、オギャーオギャーの大合唱になっちゃった。
保育所の先生、ゴメンナサイ。
やっぱ、教室から出ない方がいいみたいだね。
反省。さあ、戻ろう。
教室の窓枠に着地して、部屋の中の様子を見る。
よかった。ボクは誰にも咎められずにそのまま寝ていた。
あれ⁉
ボクのとなりの席、スミちゃんが机に突っ伏してる。
この子、いつも真面目に授業聞いてるのに、珍しいね。
いつもボクのこと心配してツンツンと起こしたり、怒ったりするんだけど。
「……さっちゃん、一緒にあそぼ。」
ムニャムニャと寝言混じりでスミちゃんはそう言った。
さっちゃんってボクのこと。
ボクはにんまりと笑う。
「よおし、まかせとけ!」
スミちゃんの後ろにまわり、両脇を掴んで、エイっとひっぱったら、スポンとこの子も幽体離脱したよ。
二人で、教壇に立って先生の頭を撫でたり、お嬢様育ちのクラスメイトのお弁当を盗み食いしたり。
「ねえ、さっちゃん、私がさっちゃんの体に戻って、さっちゃんが私の体に戻ったら、どうなるかな?」
奇抜なアイデア! それいい!
私はウンウンと首を縦に振る。
「六時限目でそれやろう! 実験の授業だしさ!」
六時限目修了。
えー、では、実験結果を発表しまーす!




