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神の頬に触れるような気持ち  年代記第六章  作者: ヌメリウス ネギディウス


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六章 排泄するだけの猿じゃないといえるかい 30

❇︎


第一戦目 ドゥラ視点


 カードの束を二人の中央に置いた。一番上のカードを引き裏のままゲームから除外する。このカードが推理を難しくするのだ。カードは遊びこんでいるためかなりくたびれている。(がん)がつかないように定期的に色を塗り替えているがそれでも癖がついて何枚かは何のカードかドゥラはわかっていた。今引いたカードは間違いなくマンドラゴラだろう。マンドラゴラはカードが若干反っている。口には出さないがもちろんタパも承知の上だろう。だからこの第一ゲームで猿を用いてマンドラゴラを引き抜くことはできないのがお互い分かっている。

 続けて三枚のカードを表向け山札の横に置いた。サプライ三枚は王、乞食、ゴーレムだった。かなりアクの強い三枚だ。王、乞食は取ることはないだろう。ゴーレムは兵として使えるので取るのはありだが、取ると持っていることがバレるリスクを負うのでできれば避けたいところだ。

「どちらからいく?」

「お先にどうぞ」

 タパが余裕を見せた。先攻は一手番先に展開できるのでつねに主導権を握った状態だ。それをいかに崩し五分の状態にするのが後攻の目指すところである。後攻は先行の出方を見ながら作戦を考え実行することができる。一手番先の優位性か場を俯瞰して迎え撃つ後手番か好みによるが初めたころは後行の方が有利かと思われたが、最近は先行の方が有利だという見解で二人は一致していた。

 いわゆる突然死、カードを引いた瞬間に脱落するような状況になることは概ね少なくなった。始めた頃はただ相手を打ち負かそうと攻勢に出ることが多かったが、今は手札を揃えて準備を整え、いらないカードが来ても処理する手をもっておくといったリスク回避をしながら最後に勝負をかけることが多くなった。

「ルールはどうする? 時間も限られるから三戦で二勝した方が勝ちでいいか」

 ドゥラが聞いた。

「ああ、それでいい。さぁ始めよう」


 二人は一枚ずつカードを引き手札とした。ドゥラの手札はゴーレムだ。可もなく不可もなくか。一枚目にきたカードに合わせて戦略を立てることが多いのだがこれではどうしようもない。タパがドローしカードをみる。表情は変わらない。タパは狙ったカードがくると顔に出ないように逆に緊張した無表情になる傾向があるので見逃さないようにしなければならない。

 両者とも一枚目はスロットには入れない。

 先行のドゥラの手番だ。山札から一枚引く。引いたカードは乞食。

「ゴミだ」

 思わず口走ってしまう。

「乞食でも引いたか?」

「さあね」

 ドゥラは答えた。タパは時々どきっとする指摘をする。乞食のカードは二枚あるし見た目にはわからないはずだ。おくびにも出さないよう振る舞ったがうまくいったかはわからない。

 最初の手番はプレイはせずドローのみにしておく。

 タパもドローのみ。

「俺も同じく(ゴミだ)」

「どうだか」

 乞食は自分の手札とサプライに二枚とも出ているので乞食ではないだろう。

 ドゥラが次に引いたカードはイーオンだ。イーオンの効果はカードを除外する浄化が強い。予知もそこそこ使える。相手の手札を見る効果はゴーレムを持っているので使えるが終盤では役に立つのだが今は特にメリットはないだろう。烙印と再生も同じく終盤で使えばかなりよい効果なのだが序盤なのでそこまで使えない。プレイはせずに次の手番までに考えよう。なんならイーオンをスロットに入れてもいい。

 タパがカードをドローした。いいカードが来たらしい。最初に引いたカードを出した。アーゲントゥアだ。三番目の効果である相手スロットに自分のカードを送り込む効果を選んだ。アーゲントゥアを捨て札にして詐欺師をドゥラのスロットに送り込む。

「ゴミを送りやがって」

 タパは不敵に笑う。ドゥラは内心はドキドキしていた。もし乞食を強制的に捨てられていたら敗北していた。最初に言っていた乞食云々はやはりブラフだったのだろう。

 ドゥラの手番だ。手札制限一杯なので先にプレイする。乞食の効果でゴーレムを捨て代わりに捨て場からタパのアーゲンを回収する。それでは手札がいっぱいなので勿体無いがイーオンも捨てる。そうしたら次の手番でアーゲンを使い乞食をタパのスロットに送り込むことができる。それは良い思いつきだと思ったが、なんだか嫌な予感がする。

 実際にはイーオンを捨て浄化の効果を使いゴーレム消費して乞食を除外するという手をとった。一枚ドローする。研究者だ。これは使える。そして手番を終えた。手札は研究者とスロットの詐欺師の二枚。

 タパはこちらが本当に乞食を引いていたことを知りミスったことをわかっただろうが悔しがるそぶりは見せない。一枚ドローし、そのカードを場に出した。道化師だ。二番目の効果を使うようだ。効果は相手のカードを一枚見て、いるなら自ら取っていらないなら返すのだが、その際呪いのカードがついてくる。手札でもスロットでもいいのだが、スロットが詐欺師であることはわかっているので当然手札だろう。こちらの研究者を見せる。タパはそのカードを確認すると取らずに返して来た。おまけの呪い付きで。さっき手札を減らしていて助かった。もしアーゲンを取っていれば手札制限いっぱいだったので今の呪いで負けていたところだった。二手番連続で敗北を回避した。運は自分を味方しているようだ。

 ドゥラの手番。一枚ドローするとブローカーだった。ブローカーは手札一枚をサプライか捨て札一枚と替えるのでそこそこ強いカードなのだが、呪いは出すことはできないので今は研究者を先に使いたい。また手札一杯なので手札を減らしたいところだ。研究者のどの効果を使うのがベストだろうか。手札を増やす、もしくはスロットを増やすことも有効だが、それは後でも良い。手持ちのいらないカードを処理してしまう方が勝つ確率が上がるというのを経験則でわかっている。プレイ研究者で三番目の効果を使う。捨てられない呪いを山札にいれて山札の一番上のカードを引く。再び研究者だ。呪いを処理できたのは大きい。次の手番で手札を増やせば良い。

 状況を整理しよう。出ている英雄はアーゲンとイーオン、そしてタパが持っているであろう三人、乞食一枚がサプライに、もう一枚は除外し、二枚とも出ているので猿が出た場合に備えてスロットを開ける必要があるだろう。研究者、詐欺師、ゴーレム、ブローカーが残り一枚だ。

 タパの手番、ドローして再びそのカードを出した。プレイ研究者で二番目の効果を使い一枚新たにドローする。

 研究者が枯渇した。研究者はドゥラは好きなカードなのだが、タパはあまり重宝していないようだ。

 ドゥラは次手番一枚ドローする。道化師がでた。道化師が残り一枚だ。道化師の①の効果で開放を待たずに自分のスロットの詐欺師を使うか②の効果でタパの持っている英雄が何か試しに見てみるか。二つの選択肢で迷う。スロットの詐欺師は猿を引いた時に備えてさっさと使ってしまいたい。研究者でスロットを拡張し二枚にできるが別のカードを入れなくてはいけないので増やしたとしてもスロットは満杯のままだ。猿を引くと負けることはかわりない。

 核となるカードとして王は最適解なのだがサプライの王をとらないのはタパがずっと持っているのがマーク・バインだった場合直接攻撃で狙われる危険性があるからだ。王はスロットにも入れられず捨て札にもできないためとると最後までそれを軸に使っていかなければならない。マークもマルグリットもまだ出ていないのでタパが持っている可能性はある。そう考えるとタパがマークを持っているように思えてならない。

 今の自分はイーオンを乞食を捨てるためにすぐに使った後は特に戦略的なものも見えず場当たり的だ。使える英雄が欲しい。猿の心配よりもう少し情報を得たほうがいいだろう。マークだとわかればこちらの手札をわからせないよう対策しなければならないし、他の英雄だとしてもそれがわかれば対処のしようもあるだろう。

 道化師を使い相手のカードを見る。おそらく英雄を持っているなら向かって左側だと思う。タパは右利きだし、英雄カードをタパは右側に入れる癖がある。向かって左側のカードを見る。拷問人だ。マルグリットでもなかった。英雄ではない。間違えたか? 結局何を持っているかは分からずじまいだ。拷問人は取っても手札を圧迫するだけなので呪い付きで返す。

 次手番タパは呪いを食らったせいで手札が三枚なので、先にプレイする。先ほどドゥラが見た拷問人を使う。拷問人は相手のカードを一枚何か白状させる。けれど告白しなかったら、相手は二枚捨て札にするか呪いを一枚とるか選択しなければならない。

 やはりタパが持っているのはマークなのだろう。こちらのカードを調べているのだ。だがそれを利用して詐欺師を捨てよう。相手に詐欺師はバレているが、スロットの中は攻撃できないのだ。カードの内容は答えずにペナルティをわざとくらい二枚捨て札でブローカーと研究者を捨てる。次のターンでスロットの詐欺師を使う手筈だ。タパはドローし手番を終えた。

 次の手番は予定通り詐欺師を使う。手札がないのでスロットが開放される。手持ちが一枚だけなので交渉は選べず①か②しか選択肢はないのだが、サプライ三枚が山札に戻るのは痛い。乞食と王はなるべくなら引きたくないからだ。サプライからの選択肢が狭まるが一枚残して二枚を山札に返すか。ゴーレムと王を山札に戻しシャッフル。一枚ドローしてマルグリット。マークの直接攻撃を行うにはこのマルグリットがなければ発動しない。まだタパは持っていないのだろう。おそらくタパが欲しがっているカードだ。手札はマルグリット一枚になる。

 タパは一枚スロットに入れ一枚ドローする。すぐさま引いた詐欺師をだした。交渉の効果を使い呪いを渡してくる。

 詐欺師が枯渇した。しかもうまい使い方だ。呪いを渡しつつその交換条件もこちらは一枚だけなのでろくなものがないという。スロットに入れたカードが拷問人の反対側にあった左側のカードだ。ではそれがマークなのだろう。交換条件で選んだのは新たに一枚引くという選択肢が最もよいだろう。その結果はポーターだった。

 ドゥラは次手番、手札上限いっぱいなのでまずポーターをスロットに入れる。まだまだ開放は先なので実質スロットが使えなくなるので猿を引いた時だけが心配だ。そしてドロー。マルグリットは捨て札にはできるが効果はないし、マークをタパが持っているなら不要だ。まぁ引いてから考えよう。レルムだ。レルムは攻撃を防ぐことができるのでかなりいいのを引いた。これで攻撃されても安心だ。一枚手札を余分に持てるといってもマルグリットは持っていても手札を圧迫するだけなので捨てるべきだが、捨ててしまうと何らかの方法でタパに回収されてしまうかもしれないので持っていることにする。ターン終了。

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