決着
不死鳥には四種類の形態変化が存在する。
その内の三つは戦闘に関するものだ。
UNKNOWNたちが遭遇した際の卵、その卵から孵化した雛、雛が変化した成体。
そして最後の一つ、それはある種の奥の手とも言える形態である。
予期せぬ記録媒体へのアクセスが引き金となって、不死鳥は変化を始めた。
本来灼熱の領地の争奪戦はもっと後になるはずだった。
具体的には黄金の領地関連のイベントがプレイヤーサイドに有利な形で終了した場合にのみ不死鳥が目覚める。
それがCWOの運営が予定していた筋書きである。
しかし運営が予定していた黄金の領地関連のイベントよりも先にUNKNOWNたちが黄金の領地を攻略及び支配をしてしまった、それも争奪戦参加プレイヤーがたったの十人という運営も完全な予定外な展開で。
運営が設定した灼熱の領地争奪戦開始のシナリオは"黄金の領地争奪戦がプレイヤーサイドに有利な形で終結すること"だった、しかし結果はまさしく完全試合といった様相だった。
大事なことなので繰り返すが、運営が設定していたのはあくまで"プレイヤーサイドに有利な形で"というモノでプレイヤーサイドがパーフェクトゲームで勝利することではない。
そのため不死鳥が目覚めることはなく、イベントは先送りになるはずだった
しかし、「灼熱の領地に異変が起きた」という情報が出回り、黄金の領地関連で大誤算を引き起こしたUNKNOWNがやって来て、予定外の記録媒体へのアクセスが行われた。
全て予定外のことだった、しかし運営の想定内ではあった。
これはどういうことかと言えばCWOの運営は、CWOのストーリーやイベントを恙無く進めるため、上位プレイヤーの動きをかなり盛って想定していたのだ。
その成果こそ不死鳥の変化である。
不死鳥は少しずつ飛行に適した形へと姿を変えていく。
UNKNOWNたちの目の前で不死鳥は翼を広げ飛び上がり翼を閉じた、しかし不死鳥が落ちることはなく、そのまま浮いている。
そして不死鳥は雄叫びをあげ、ジェット機のような衝撃波発生させながら、洞窟の天井にできた穴に飛び込んだ。
こうして第一次灼熱の領地解放戦は終了した。
因みに、事の発端となった「灼熱の領地に異変が起きた」という情報についてだが、これは完全な誤りである。
「灼熱の領地で異変が起きている。」という情報を得た複数のプレイヤーが軽く偵察を行った。
問題は偵察を行った者の中に灼熱の領地に詳しい者がいなかったことだろう。
灼熱の領地に関する大した知識の無いプレイヤーたちは「異変が起きているかもしれない」と、潜在的に刷り込まれた状態で偵察を行ったことで「言われて見ればそうかも?」という程度の曖昧な誤った情報を報告してしまったのである。
そしてそれに尾ひれが付いて広まり、これから灼熱の領地で領地解放戦が行われるかもしれない、という話になってしまったのだ。
ただし灼熱の領地自体ろくに調査がされていないため、そもそも灼熱の領地に詳しいプレイヤーがいないので仕方のない事であった。
が、しかし、UNKNOWNたちのお陰で誤情報は真実になったのであった。
めでたしめでたし。




