パーティ追放されたけど無能スキルが特殊スキルだったから最強になってざまぁ! します~え? もう遅い! え? なんだって? もう遅い!~
「パーティ追放だ!」
高らかに宣言されて俺はパーティを追放された。
その前には、極めて陰湿な嫌がらせも受けていた。
俺はステータスを確認してみた。
――――――――――――――――
ヒロシ
HP 1
MP 0
体力 0
スタミナ 0
攻撃力 0
防御力 0
知力 0
速力 0
魔力 0
スキル <無能>
――――――――――――――――
無能スキルが特殊スキルだったのでステータスはこう変わった。
――――――――――――――――
ヒロシ(SSR)
HP 9999
MP 9999
体力 9999
スタミナ 9999
攻撃力 9999
防御力 9999
知力 9999
速力 9999
魔力 9999
スキル <特殊>
――――――――――――――――
さらに俺は努力をした。努力は実り、たくさんのいい事があった。
そして俺を追放したパーティにざまぁ! しに行こうと決めた。
俺はパーティメンバーと再会した。
早くざまぁ! したくてたまらない。
どのタイミングでざまぁ! すればいいのかを慎重に見計らっていたが、中々ざまぁ! 出来るタイミングは訪れない。
「今いける」と思うたび、パーティメンバーが動いて標的が定まらないのだ。
禿げ頭の魔導士がソファの背から顔を出した。
「今だ!」
俺はざまぁ! した。
魔導士は正面からまともにざまぁ! を食らったようだった。
まだパーティメンバーは残っている。
ああ! 早くざまぁ! したくてたまらない!
体がうずいて仕方ない。
さっさと全員にざまぁ! して帰りたいものだ。
そう思っていると、ドアの影からケチくさそうな面構えの剣士が、ひょっこり顔を出した。
「逃がすか!」
俺はざまぁ! した。
ざまぁ! は剣士にしっかり当たったようだった。
「よしよし」
俺は満足げに微笑んだ。
そしてキッチンへ移動すると、痩せた神官がうずくまっていた。
「や、やめてください!」
神官は怯え切った表情で震えていた。
ああ! たまらない!
偉そうにしていたヤツが、こうして痩せこけて瀕死のネズミみたいに助けを求める様を見下ろすのは本当に愉快だ。
早くざまぁ! したくてたまらない!
俺は納戸に移動して荒縄を入手し、再びキッチンへ戻った。
神官はさっきと変わらず体を縮こまらせて震えている。
「や、やめてください!」
恐怖に押しつぶされそうだ、とでも言わんばかりに怯え切っていた。
俺は神官を睨みつけ、言った。
「もう遅い」
神官は絶望し、がっくりうなだれた。
俺は神官の手足を荒縄で縛り付け、近くにあった布巾で目隠しをした。その際、手元が狂ってざまぁ! してしまった。
「ギャアアアアアアアアア!」
怪鳥をシメたのではないか、と思われるような絶叫を上げ神官は悶え苦しんだ。
手足の自由を奪われた上、おかしな当たり方をしたので耐え難い思いをしているらしい。
これではいけない、と思い、俺は水を飲ませてやろうとコップを探した。
神官の後ろに食器棚があり、コップが並んでいた。
神官をまたいでコップを取り出そうと手を伸ばすと、手前にあった皿に手が当たってしまい、皿が神官の顔面に落下した。
「ギャアアアアアアアアア!」
皿は音を立てて割れた。破片が神官の顔の上に散った。
俺はびっくりして手元が狂い、また、ざまぁ! してしまった。
「ギャアアアアアアアアア!」
神官は獲れたての魚みたいに床の上でビチビチ暴れている。
まだ皿の破片が散らばっているので危ない。
「おいおい、落ち着けよ」
そう言ったところで、神官が大人しくなる事はない。
神官はわめいて暴れ、調理器具が掛かっている壁に勢いよく頭をぶつけた。
「ギャアアアアアアアアア!」
その衝撃で壁に掛かっていたフライパンが神官の顔面に落下した。
「ギャアアアアアアアアア!」
その一部始終を目撃していた俺は本当に驚いてしまい、手元が狂って思わずざまぁ! してしまった。
「ギャアアアアアアアアア!」
神官の周りには皿の破片とフライパンが落ちている。
さっさと片付けて、こんな場所からは急いでオサラバした方がいい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
八年後。
自宅でコーヒーを飲んでいると手紙が届いた。
読むと、パーティメンバーのその後についての報せだった。
魔導士は多額の借金を背負い没落。
剣士は犯罪行為が露見し投獄。
神官は持ち家が火の不始末で全焼したとの事。