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世が世ならあたしだって傾国のかぐや姫になれるんです  作者: 藍碧
第一章 かぐや姫降臨
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西の館のすずちゃん

あたしは侍女に手を引かれたまま、屋敷の中に入り廊下を通って板敷きの部屋に入る。


部屋と言っても柱だけがあり、廊下から一段高くなっているだけで、周りに壁はなく、衝立(ついたて)や几帳などが置かれているだけだ。


燭台の明かりで薄ぼんやりと照らされた部屋の奥の方に几帳があり、その後ろに一枚の薄い畳が置かれてあって、そこに座らせられた。


案内した侍女はまたゆっくりとお辞儀をすると、


「しばし......これにて......お待ちくだされませ」と言うと、またゆっくりお辞儀をして静かに部屋を出て行った。


薄暗い部屋に一人になって、あたしはこれからどうなるんだろうとか、あたしがアルバイト中に突然消えてしまって、家族はどれほど心配するだろうかとか、今夜はここで泊まらなければならなさそうだけど、一晩寝て起きたら案外すっかり元の時代に戻っているんじゃないだろうかと、あれこれ思い悩んでいた。


すると、廊下に軽い足音がして、「失礼致します」と若い女の子らしい声がする。


几帳の横から覗いてみると、部屋の入り口に好奇心で一杯のキラキラと輝く目をした少女がいた。

自分と歳が近そうな少女に安心して、「どうぞ」と言うと、膝でズズズッと近づいて来た。


あたしと目が合うと、びっくりしたように目を見開いて「あぁ、ぁ、なんと(とうと)い、神の化身の御姿でしょう。人とは思えないほどの清らかさに目が潰れてしまいそうです」と小声でつぶやく。


えっ、あなた何言っているの?いくらこの部屋が暗くっても、そこまで見違えますか?


「あたしは勝利の女神様なんかじゃないですよ!たまたまここに飛ばされて来たんだけど、アルバイトの巫女だから!」


「勝利の女神様ではなく、(あるばいと)と言う遠国の御子(みこ)様でいらっしゃるのですね!」


いや、まだなんか誤解してる気がする......あぁ、もう面倒だ、


「あたしはかぐや姫なんです!あたしのことは『かぐや』って呼んでね」


なぜかその少女はあたふたとして、「もったいないことでございます、かぐや姫様、わたくしは(はしため)の小鈴(こすず)と申します。すずとお呼びくだされませ」


「わかった、すずちゃんね。あたしとお友達になって!それですずちゃんはいくつ?」


「はい、九つでございます」


ええぇ、まだ九歳!嘘でしょう、あたしと同じくらいか、少し下ぐらいと思ってたのに、何だかしっかりし過ぎじゃない!

この時代の人の年齢ってわからなすぎ。


「それじゃ西の館の三郎様っていくつなの?」って聞いてみる。


「三郎(ぎみ)は、この春二十歳(はたち)にお成りあそばしました」


えっ、ステキなおじ様だと思った三郎様が二十歳ですか......。


「じゃ神社にいた若い神官様はいくつ?」


「神官様......お若い方なら、(たつみ)様でしょうか、去年ご成人されて神官に成られましたので、御歳十六歳のはずでございます」


十六歳!あたしは早生まれなのでまだ十五歳なのだけど、ほとんど同級生と言って良いのに、あの様子で十六歳なんて信じられない。


それに!この時代は成人は十五歳なんですね!あたしはもう大人と思われるってことですね!まだ高校生にもなっていないと言うのに。



話のできる友達ができて、まだまだたくさん聞きたいことがあったのだけど、廊下に静かな足音がして、さっきの侍女がまた現れた。


「すず......お下がりなさい......無礼である......さように近しく......語るでないぞ」と、すずちゃんを叱り付けて、「歳若き......不躾者なれば......お許しくだされませ」と平伏する。


「あ、あたしは大丈夫だから、気にしないでくだされませ」なんて、焦ってあたしまで変な言葉使いになった。






菜摘の目からすると、すずちゃんはとてもしっかりして見えるけど、侍女の目からは言葉使いや立ち居振る舞いが全然なってない見習いの若輩者なのです。

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