王太子の独白
王太子目線です〜。
【注意】悪役令嬢目線では、そんなに出番がなかったですが……この王太子目線では、王太子のキャラ崩壊(?)が起きてます。
溢れ出んばかりの残念王太子ですので、悪役令嬢目線のキャラ感を維持したい人は見ないこと‼︎
では、よろしくねっ☆
我が国は月に愛されている。
そのため、王族は白銀の髪と瞳を持ち、儚い美しさを持つ。
だけど、わたしは彼女こそが月そのものだと思った。
艶やかな青い髪に、冴え渡るような白銀の瞳。
凛とした顔立ちと、気品ある立ち居振る舞い。
静寂の中に浮かぶ蒼い月ーーーーそれが彼女の第一印象。
分かりやすく言えば……わたし、ルナリス王国王太子アークス・レイ・ルナリスは、アルティナ・フレスト公爵令嬢に一目惚れした。
婚約当初は緊張のあまり素直になることができなくて、淡々とした接し方をしてしまったと思う。
だけど、心の中はいつも彼女への恋慕で溢れていたし、離れている時は彼女のことを想っていた。
でも、そうこうしている内にわたしは知ってしまった。
わたしは見てしまった。
楽しげに話す、アルティナと……その隣にいた赤毛の少年の姿。
彼女が自分以外の男と親しげに話しているーーーーそれを認識した瞬間、胸の奥からどろりとした黒く、暗いモノが這い出てきそうだった。
しかし、どれだけ足掻こうとも彼女はわたしの婚約者。
二人が親しい仲だとしても……将来、アルティナはわたしの妻となる。
「…………あぁ……でも……アルティナの口から、わたし以外の人が好きだと言われたら……立ち直れないなぁ……」
だから、わたしは予防線を張った。
傷つかないように。傷つけられないように。
ほんの少しだけ距離を置いて、心の予防線を張った。
それが将来、自らの首を絞めることをーーーー幼い頃のわたしは、気づきさえしなかった。