ヒロイン、前世を思い出すwithハリセン
ヒロイン目線なーりー‼︎
ご都合主義フィーバーだから、苦手な人は逃げるのだ‼︎
では、よろしくねっ☆
私が前世の記憶を思い出したのは、王都ですれ違った……地味な青年の一言だった。
「バイクが欲しい……いっそ原付でもいい……移動ダルい……」
「ぶふっ⁉︎」
ぐわんっと一気に頭に前世の記憶が流れ出す。
人間一人分の記憶を思い出すもんだから、すっごい頭が痛い‼︎
だけど、その台詞は同感するぅ‼︎
この世界にはバイクも原付もないし、車もない。
馬車はあるけど、平民は公共の馬車で。
前世の記憶がある者としては、そういう移動手段が欲しくなるのは当然だよねっ‼︎
じゃなくてっっっ‼︎
「ちょっとステイ‼︎」
私はそのまますれ違ってしまいそうになった青年の腕を掴む。
目立たない茶髪に、普通な顔。
普通の平民が着るような麻のシャツ、ズボン、ショートブーツ。
そして……そこにいるのにうっすい存在感。
…………え? モブ? (微)透明人間?
「何? 急に」
彼は怪訝な顔でこちらを見る。
きっと、選択肢を間違ったら……私と彼は二度と出会えない気がする(存在感的な話で)。
私はちょっと緊張しながら、唾を飲み込む。
そしてーーーー声高らかに叫んだ。
「生麦生米生卵‼︎」
「………………」
「桃栗三年柿八年‼︎」
「…………………………」
ぴ〜よぴよぴよ〜。
…………アレ? どこかでヒヨコが鳴いた?
「………………はぁ……」
彼は大きな溜息を零しながら、眉間を揉む。
そして、すっごい渋い顔で……口を開いた。
「いや、多分……同じかどうかを聞きたかったんだろうがな? でもっ、なんでその謎すぎる言葉をチョイスした⁉︎」
「きゃっほう‼︎ 同胞よ‼︎」
「お前のノリは何っ⁉︎ というかっ、話を聞け‼︎」
スパコーンッ‼︎
同じ転生者に出会って早々……私はどっかから出したハリセン……いや、なんでハリセンがあんのっ⁉︎ で頭を叩かれました☆
………………かなり痛かったです。




