降格
この作品はシナリオです。
○同、玄関、内、夜
泥酔の秀夫。
英子「まあ、どうしたの?」
晶子「お父ちゃん!」
ハムリンが晶子の手の中から飛び出る。
秀夫「仕事に失敗した。左遷だ」
秀夫、崩れ落ちる。
ハムリンが秀夫の手の近くに行く。
秀夫、ハムリンに手を伸ばす。
ハムリン、キッと声を上げ、
秀夫の指を噛み首筋へ駆け上がる。
秀夫「いたっ、かまれた!」
英子「まあ、晶子!ハムリンを早く捕まえて」
晶子、ハムリンをそっと捕まえ奥へ。
英子、しゃがみ込んだ秀夫の上着を脱がせながら、
英子「大丈夫よ、くびになったわけじゃないんでしょ?」
秀夫「ああ、くびじゃないが、今度のプロジェクト、ごっ
そり出し抜かれた。部下の蓮尾がチーフに抜擢。
俺は降格だ。このままじゃとても耐え切れない」
秀夫、がっくりと肩を落とす。
x x x
○会社、調査室、外
調査室斉藤と書いてある。
○同、内
斉藤秀夫が窓際に座っている。
ノックの音。
秀夫「どうぞ」
ドアを開けて美人の山上陽子がお茶を運んでくる。
陽子「このたび調査室と資料室の担当になりました、
山上陽子です。よろしくお願いします」
秀夫「そう。資料室の山本さんは来年定年だったよな」
陽子「お呼びになれば御茶やコピーのお手伝いを
するようにといわれています」
秀夫「分かりました。山下新総務に、ありがとう
ございますと伝えといてください」
陽子「かしこまりました」
陽子、礼をして出て行く。
秀夫「山下と蓮尾とは同期のはずだ。完全に、
後輩に出し抜かれた」
秀夫、じっと窓の外を見る。
電話が鳴る。
受話器を取る秀夫。
交換の声「山菱商事の田中様からお電話ですが繋ぎますか?」
秀夫「山菱の田中か、早耳だな。ああつないでくれ」
田中(電話の声)「斉藤元気か?お前のこと聞いたぞ。
出世頭だったのになあ。とにかく話し聞かせろよ」
秀夫「ああ、わかった」
「映画村きりもんじブログ」もよろしく!