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レベルゼロの英雄と白の少女  作者: 狐狸八月
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04.白い天使が与えたもの

アルシュの目の前に爆発するように広がったのは、

この世界にかつて存在した英雄の記録。



魔を討ち、竜の首を断ち、世界を救ったもの。

復讐の鬼と化し、王を、国を相手に全てを切り伏せたもの。

魔術を修め、世界の崩壊を救ったもの。

商人として、あらゆる材を手にしたもの。

王として、世界の全てを手中に治めたもの。


数多の姿が浮かんでは消えていった。


それは、いわば世界の記憶だったのかもしれない。

その記憶全てが、アルシュの中に流れ込んでいく。


その情報量は莫大で。

失ったと思った痛覚をして、更に大きな痛みがアーデを襲う。




永久にも続く痛みを味わったと思っていたが、

時間としてはほんの一瞬だったようだ。


気付けば、目の前に狩猟者の姿が迫っていた。

爪を上げ、振り下ろそうとしている姿をぼんやりと見つめ、


ゆらり、と剣を地面から抜き、その穂先が上がった瞬間。


「ギィァ!?」


狩猟者の爪どころか、腕そのものが切り落とされていた。


バランスを崩し、巨体が地面にひれ伏す。


アルシュは傷の影響を感じさせない動きで立ち上がると、

倒れ伏して無防備に転がっている頭、その眼球に剣を突き立て、


刺さった瞬間に、剣を手首で捻る。


断末魔を上げる間もなく、ビクリと一瞬だけ震え、

狩猟者は動かなくなった。



ただの死骸となった狩猟者の脇をすり抜け、

アルシュは牢屋から一歩を踏み出す。


「…あぁ、やっと出られた」


その言葉は、アルシュの言葉であったのか、

それはアルシュ自身にもわからなかった。

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