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デイリーガチャ

目を開けると、白い空間。

何も無い、誰もいない。

いや・・・いる。

視界の先が歪み、誰か出てきた。


「誰だっ!!」


「おめでとうございますっ!!ダメ男さん」


「・・・・・・」


「あれあれ?日本人は順応速度が早いと聞いていましたが間違いですかね?」


美しい金色の髪と均整がとれ人間離れした顔、ものすっごいプロポーション・・・・のバニーガール。


「あれあれ?パツキンでバニーガールを嫌いな男は居ないと聞いていましたが、これもデマですかね?」


右手を腰に当て、少し上体を前に傾けながら、左手は人差し指を口元に当てている。

あざとすぎる。


「ダメ男さん?おーいっ!?舞人さん?」


「デマではないです・・・・って、うぉいっ!!ダメ男って俺の事かよっ!!」


「当たり前じゃないデスか。他に誰も居ないデスよ?それにあなたは給料日を考えずガチャ課金を70万以上したあげく、ガチャをする為に命さえも差し出しました。ダメ男以外の何者でもありませんデスよ?」


「デスを強調する必要性ある?急に日本語覚えたての外国人ぶる必要性ある?」


「まあまあ、それはさて置いて私は女神フェイト。あなたの35年の人生の20年分の経験・知識・感情などをコピーさせてもらう代わりに望みを叶えて差し上げます」


いや、薄々は気付いてましたよ?

この展開はお決まりの異世界転移ですよね?


「あなたには異世界に行ってもらいます。ステータスオープンと言ってみて下さい」


「ステータスオープンっ」



名前:市ヶ谷舞人

年齢:35

職業:なし

称号:なし


LV:0

HP:10

MP:3


攻撃力:1

防御力:1

素早さ:1

器用さ:1

魔力 :1

運  :1


固有スキル:メモリアルガチャ




よっわ〜っ!!

35歳無職で貧弱って、詰んでるじゃんっ!!

レベル0は学園都市に転移したとしても詰んでる。


「よっわ〜!って思った舞人さん、そんな事はありませんよ?今回は特別にあなたのガチャスキルを体験して頂きます」


女神フェイトが素敵なステッキを取り出し一振りすると、そこには巨大なガチャガチャが現れた。

ガチャを回す部分は1メートルほど、本体の大きさは約10メートル。

それが4つ。

左から白いガチャ、次が銀色、その次が金色、そして1番右が虹色のガチャだ。

女神が得意げに説明しだしたが、ドヤ顔ウゼーのでまとめるとこうだ。


白色のガチャ・・・デイリーガチャ

1日1回引ける権利を獲得


銀色のガチャ・・・レベルアップガチャ

レベルアップに応じてレベル数引ける権利を獲得


金色のガチャ・・・魔石ガチャ

魔石を使用してガチャが引ける


だそうだ。


権利を獲得するとは何かと言うと、10連ガチャは11回輩出するのでお得になる。

その為、権利を貯めて置くことが出来るというものだ。


魔石ガチャは課金ガチャと考えていいみたいだ。


「そして、この1番右のガチャが舞人さんの固有スキルにあるメモリアルガチャなのデス。普通の人にはありませんよ?まぁ、他のガチャも普通の人にはないんですが・・・」


虹色のガチャ・・・メモリアルガチャ

自身にメモリアルな事が起きるとガチャを引く権利を獲得する


「まぁ詳しいことは置いといて、とりあえずさっさと引くデス。今回は初回特典として特別に、メモリアル以外全て11連が無料で引ける様にしておきました。メモリアルガチャは舞人さんのスキルなので干渉出来ませんので悪しからず」


女神に促されるまま白いガチャの前に立つ。

緊張してくる。

ガチャに命を賭けた。

金持ちやチューバーなら、なんて事ない金額の70万。

だが、俺には全財産の70万。

貯金はゼロになっており、明日のご飯も無い状況で課金した70万。

消費者金融?とっくにブラックリストに入っている。

そんな麻薬の様なガチャを引く・・・。


「ガチャリ・・・」


「コロン、コロン、コロン」


同じ様にして11回。

出てきたのは白いカプセル。

そのカプセルを潰しながら、上下を捻る。


「ゴクリっ・・・白く薄い紙が何十にも重なって、薄いビニールに包まれている・・・ポケットテッシュっ!!!」


地面に思い切り叩きつけたっ!!


「次・・・・もティッシュ!!!」


同じ様に叩きつける。


「次は[HP+3]だと!?よしっ!!!」


「次は・・・ティッシュっ!!!」


結局出てきたのは、


ティッシュ×8

高級ティッシュ×1

[HP+3]

[素早さ+1]


だった。


「あらら・・・まぁーそんなものですよ、デイリーガチャなんて。さぁ、次はレベルアップガチャです。頑張って下さい、舞人さん」


ふぅ、落ち着け〜俺っ!!

次は〜銀色のヤツっ!!

一気に行くっ!!


「ガチャリっ!!」


「コロン、コロン、コロン、ポンっポンっポンっポンっポンっポンっポンっ〜ポンっ!!」


ん?最高のヤツだけ金色をしているカプセルが出た。


「各種ガチャは1個上のガチャが稀に輩出されますよ〜。良かったですね〜!!」


女神のドヤ顔を見ていると、ガチャが予定調和・・・つまりインチキな気がしてきた。

まぁ、とにかく開けていくか・・・。


「1個目は〜、[HP+1]・・・チネっ!!」


「2個目は〜、[防御力+2]・・・ん〜」


「3個目は、[魔法札:サンダー]」


全て開けた結果は、


高級ティッシュ×2

Tシャツ×1

ズボン×1

皮の胸当て×1

[攻撃力+2]×1

[素早さ+1]×2

[防御力+2]×1

[魔法札:サンダー]×1

[スキル:鑑定]×1


最後の金からは[スキル:鑑定]が出た。

御都合主義だろっ!!


「チュートリアルなのデスから予定調和は仕方ないのデス」


次は、金色のガチャ。

本来なら魔石を使用して回すガチャ。

行きますか・・・。


「ガチャリ・・・」


「虹色きたーっ!!イエスっ!!イエスっ!!イエ〜ス!!!」


なんかもうね、色々出てきたから一気に見てみる。


高級ポーション×2

エリクサー

ブーツ

ショートソード

ブロードソード

[MP+5]

[HP+8]

[運+5]

[異世界共通言語]

[スキル:槍術]

[魔法スキル:時空]


虹色から出たのは[魔法スキル:時空]。ヤバない?」


ただ残念な事に、出た武器と武器スキルが噛み合ってない。

それは追々考えるしかないだろう。


それよりもコレ、虹色のガチャ・・・メモリアルガチャだが、引けないんじゃなかったんデスか?


「私にも分かりませんデスよ。・・・そうだっ!ステータスのログの欄に何かかいてありませんか?」


ん?ログ?記録?

これか・・・、


初めてデイリーガチャを引く・・・+1回

初めて11連を引く・・・+1回

初めてレベルアップガチャを引く・・・+1回

初めて虹色カプセルを引く・・・+1回

初めて魔石ガチャを引く・・・+1回


マジかっ!!5回引ける。

どうする?10回分貯まれば11連が出来る・・・。

けど、ここで引いて強化しておかないで死んだら11連を引くこともできない。

行きますか・・・、


深呼吸の後、ガチャレバに手を掛けて回す。


「ガチャリ・・・コロンっ」

「ガチャリ・・・コロンっ」

「ガチャリ・・・コロンっ」

「ガチャリ・・・コロンっ」

「ガチャリ・・・コロンっ」


「ガチャリ・・・コロンっ」


一回多いって?

それは、初めての[メモリアルガチャ+1回]分だ。


まずは1個目、


[HP+20]


・・・なんだよも〜。

期待して損した。

まあ数値的には多いけど、ありがたいけど・・・って感じなんだよなぁ。

仕方ない、気を取り直して。

2個目、


金貨70枚


金貨70枚って多いの?少ないの?わかんね〜っ!

しかも中途半端っ!

どうせなら100枚にしたらいいじゃん?

落ち着け〜、落ち着け俺っ!!

3個目、


[MP+36]


いや、でかいよ?確かにでかいけれども、もっとこ〜わかるよね?もっと凄い物を期待してんだよっ!!

4個目、


[アウラ・バレンタイン]


・・・なんじゃそりゃ?

・・・・なん・・・・だ・・と・・・!


アウラ?あのアウラ?バレンタイン用の特別コスプレをしたアウラか?

いや、もう名前がバレンタインって感じになってる。


少し癖があり流れる様な黒髪。

その髪は腰まで伸びるポニーテールになっている。

スタイルは抜群。

大きな胸と引き締まった腰。

長身だが華奢な体付き。


その顔は整っているが、

キツイ目つきと、不機嫌さを表すかのようにムスッとした口元をしている。


普段は騎士の様な格好をしているが、バレンタイン用コスプレのアウラはメイド服を着ていた。

そのバレンタイン用コスのアウラが目の前にいる。

信じられない。


「あの・・・アウラなのか?」


「ハッ!アウラ・バレンタインでございます。御主人様」


あ〜、あのアウラだっ!!

騎士然とした、堅物アウラ。

マジかっ!!マジか!!

ひゃっほーぃ!!・・・いや、まて!

そんな都合の良い展開なんて、俺の人生にあったか?

これは罠だ、そうに違いない。


「アウラ・・・お前はどう言った存在なんだ?」


「ハッ!申し訳ありませんが、私にもわかりかねます、御主人様」


「あなたのガチャから出たからあなたが主人デス」


女神が横からゴチャゴチャ言って来るが、ハッキリ言ってお呼びじゃない。


「本当に俺に仕えるのか?裏切ったりとか・・・」


「裏切りなど絶対にあり得ません。御主人様の御命令であればこの心臓を取り出してご覧に入れます」


「・・・ゴクッ」


あの大きな胸を掻き分けて心臓を取り出す?無理に決まっている。


「俺が命令できないと思っているな?俺の人生、上手くいった事なんて何もない。信用できない」


「隷属の契約をすれば良いんじゃないデスか?」


「何!?出来るのか?」


「それで信用して頂けるなら私は構いません、御主人様」


「今回だけの特別サービスデスよ?」


と言う訳で、女神フェイトに隷属の契約を施してもらった。


もう大当たりを引いたので後の2つは必要ない気がするけど、一応ね・・・。

5個目、


[魔法スキル:雷]


ええやん、ええやん。

6個目、


[運+4]


微妙ーっ!!

最後の最後に微妙なの出るなよっ!!

くそっ!


「さてさて、これで女神である私の役目は終わりですね。最後にサービスではないデスが、あなたの20年分の知識をコピーさせて頂いた際に、その分の経年劣化等を修正しました。では異世界にいってらっしゃいませ〜」


「んなっ!ちょっ、ちょっ・・・」


視界が反転し回転し、そして暗転した。



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