第37回 理想と現実、そして現実の中身
第37回 理想と現実、そして現実の中身
最近では障害者雇用という事で、障害者であっても企業が雇用するように一定規模以上の企業には罰則付きで法律が定められています。
この制度自体は働ける、働きたい障害者の手助けとなる事もあり、悪いことではありません。
しかしながら現実はどうでしょうか?
以前に大きなニュースになった、公務員の障害者雇用が実態とかけ離れているという事がありました。その後に障害者向けの雇用のために大きな集団就職テストが2度行われました。
この2回の就職テストには私も参加しましたが、どちらも就職には至りませんでした。
そして特に1回目の就職テストの時に、必ずしも公平な判定が行われていないのではと思われる事を目のあたりにしました。
その時の受験番号にはどうやら一定の法則があり、障害の内容で番号が振られていたと思います。そして少なくとも私が受けた地域の受験者は、私を含めて特定の番号が振られた受験者は、そのほとんど、実際に数字にすれば2人しか合格者となっていませんでした。ちなみにその時の試験は2回に分かれており、1回目で学力テスト、2回目で面接ですが、その1回目の合格発表の時点で合格者がその2名だけであったと記憶しています。
ちなみにその特定の番号が振られた受験者は総数で400名ほどです。合格率は200分の1で、私の受験した地域での1次試験での全体の合格率が29%を少し超える程度です。実質、他の受験者の100分の1以下という合格率になります。
何故それが分かったか? それはその特定の番号に振られた人が、私を含めて車椅子での受験だったからです。私は国であってもこれが障害者に対する現実ではと思いました。ちなみにその時の合格基準となる点数には十分に達していましたし、点数で単純に落とされたとは思えません。
2回目の国の障害者雇用の試験の時には、どうやらそれを分かり辛くするために受験番号の割り振りに変化があったようで、その際の車椅子の方の合格者がどれほどであったかは分かりません。車椅子の場合一般に障害区分が肢体不自由になるはずで、その後の最終的な肢体不自由受験者の合格率は45.8%となっていますが、車椅子以外でも肢体不自由に相当する障害は多数あるため、実態の把握は出来ません。
しかし1つ言えるのは、少なくとも最初の国家公務員の障害者雇用では、車椅子受験者は原則としてこようが見送られたと感じています。また一部ではその受験前に”自力で自宅などより通勤が可能な者のみ採用する”という噂も流れました。これは本当であったとするなら、公務員宿舎も利用させるつもりがないといった、明らかな障害者への差別であると考えます。
では民間の障害雇用はどうでしょうか?
私の場合は大きく体幹障害、視覚障害、精神障害があります。そしてこの条件で障害雇用を検索すると、検索する障害者採用の内容にもよりますが、全国で200件もありません。当然勤務地は限られますし、例えばそれをあるサイトで首都圏に限定すると、140件以下になります。さらに中途採用ともなれば100件を簡単に下回ります。
ちなみにこれでも以前から比べると良くなった方です。5年ほど前なら視覚障害があるというだけでその障害の内容にかかわらず、全国でも該当件数がゼロであるのが普通でした。体幹や精神だけであればあっても、視覚というだけでその内容が考慮されていなかったという事です。
実際には私の場合、視覚障害といっても一定以上の範囲が見えないだけで、パソコン等の作業は普通に行えます。そういった意味では、働ける可能性がある人を最初から排除していたとも言えます。
しかしながら現在でも検索で出てくるのはごく一部の大手企業のみですし、当然居住地によっては近くに引っ越しをしなければ通勤すら無理となります。
新型コロナウイルス感染症でテレワーク(リモートワーク)が推奨されるようになりましたが、障害者こそテレワークの恩恵を受けても良いのではないでしょうか? 実際にはすでに雇用されている方のテレワークが優先されている現状、障害の内容にもよりますが、障害者にとってはまだまだ厳しい再就職の壁があります。
障害者の雇用を促進しようと国や自治体は宣伝をしますが、現状、現実を考えると実態はかけ離れているどころか、まだまだ本当に障害者の雇用を考えているとは到底思えません。




