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今を生きる(当面更新停止予定)  作者: 古加海 孝文
第2章 社会人と会社、人と組織
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第26回 対外的な話と本当の話で起る差

 会社勤めをしていると様々なことを経験するのは当たり前ですが、会社に親族を殺される方はどの程度いるのでしょうか?


 当たり前ですが、もちろん殺されるといっても、実際に殺される訳ではありません。むしろ本当にそんな事になったら大問題です。ここでいうのは、いわゆる相手の取引先に『忙しいときの言い訳』として会社がその様な事を先方に言う場合です。


 正直この事自体問題があるとは思いますが、それでこちら側が少しでも時間的猶予が取れるならまだ『仕方がない』と諦めることも出来るでしょう。人によっては納得する人もいるかもしれませんね。正直その気持ちは分かりませんが。


 私も過去に働いていて、その様な事で何度か親族が『殺され』ました。中には既に本当に亡くなっている場合もありましたが、どちらにしても内心では気持ちの良い物ではありません。


 それでもこの場合はこちら側の利益といえば良いのか、納期などに若干余裕が生まれることもあるため、表だって批判はしません。本来なら十分な期間をもった納期が確保されていれば問題ないことではあるのですが、働いていればこのような理不尽なことに遭遇することもあると思います。


 これはこれで問題ですが、私がもっと問題にしたいのは『実際に親族が亡くなった場合』の対処です。


 法律的には親族が亡くなった場合、所定の忌引き休暇の取得が出来るはずですが、祖父母兄弟姉妹であれば3日、叔父叔母孫でも1日が認められています。父母なら7日、子なら5日です。


 詳細な状況は流石に省きますが、出張が終了した日に偶然連絡が入り、祖父母に当たる人が亡くなったことを知りました。会社の車や会社ですぐに使うような者は一切所持していなかったこともあり、会社に連絡してそのまま葬儀に出たい旨を伝えましたが、まず忌引きでの休みを『仕事があるから戻ってこい』の一言で取れなく、本当は使い方としておかしいはずですが、有給を使用して休みを取りたいと伝えても、全く相手にはしてもらえませんでした。


 そもそもその時は出張で1週間ほど帰宅すらしておらず、その出張中も休みがないという働かせ方です。十分に問題がある事のはずですが、さらにその出張先で1日おおよそ13時間の仕事を行っており、まともな昼食休憩すら無い状況でした。いくら日本の雇用的に出張中に関してはその労働時間について抜け道があるとはいえ、会社としての姿を疑わざるを得ませんでした。


 結局そのまま翌日には会社に出勤し、今度は別の仕事に没頭することになりましたが、それもまた休日がない丸々1週間の連続出勤。しかもタイムカード上の労働時間としては1日13時間、実労働時間は昼食休憩無しの14時間という物で、今も変わらないところはありますが不景気で仕事先を安易に変えられないという実情がなければ、確実に辞めていたはずです。


 そもそも1日のうち14時間が会社に拘束されているとなれば、それ以外の時間とは10時間となり、通勤時間などを差し引いていくと自然に削る時間は限られていきます。多くの時間外労働に苦しむ方が犠牲にしているのは、睡眠時間ではないでしょうか? このようなことが行われていて、当時はそれが社会的には疑問にも思われないというのは、様々な意味で常軌を逸しているとしか思えません。


 そもそも当然の権利として、また人であれば抱いてもおかしくない祖父母への最後のお別れといった事に会社側から参加を禁止させる行為は、法的にも感情的にも今でも許せない行為です。


 余談ですがその後1周忌(とはいえ正確に1年後という訳ではありませんが)に参列したときには、一部の親戚に『親族よりも仕事を優先させる人でなし』のような言葉を浴びせられました。


 事前に説明はしていたはずでしたが、このようなことを言われたこともしばらくショックであったことを覚えています。


 確かに対外的な事と実情を使い分けなければならないことは多いでしょう。それは仕事以外にも色々あるとは思います。しかしながらそれを行ってはならない、または行うべきではない事も多々あるはずで、そういった事を無視する事は社会通念上許されない行為だと考えます。

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