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今を生きる(当面更新停止予定)  作者: 古加海 孝文
第2章 社会人と会社、人と組織
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第16回 ブラック企業

 ブラック企業という言葉は、現在完全に定着した単語だと思います。


 簡単に言えば労働基準法を守らないなどの悪辣な環境で働かせることだと思いますが、ウィキペディアで調べたところ1990年にはインターネット上にその言葉が出ていたそうです。ですが新語・流行語大賞を取った2013年が世の中に一般的に認知されるようになった時期だと思います。


 他にも企業名は伏せますが、大手広告代理店で入社1年目の女性が2015年末に自殺し、翌年9月に過労死が認定された事が大きなきっかけであるとも思います。


 そもそも私もそうでしたが、普通に働いていて労働基準法を調べる人はどの程度いるでしょうか? 労働基準監督署へ相談にいく人も普通はなかなかいないと思います。それはブラック企業という単語が一般に認知されるようになっても、さほど大きくは変わらないのではないでしょうか? ですので今でもブラック企業と呼ばれる存在がなくならないのだと思います。


 しかしウィキペディアなどで調べると、ある意味必然性を感じる物があります。なぜならブラック企業という言葉が使われはじめたのが、日本のバブル崩壊が起きた直後付近だという事です(バブル崩壊は1991年)。


 それまでもいわゆる労働環境が劣悪な企業はあったはずです。実際に3K(キツい、汚い、給料が安い)という言葉自体はそれ以前からあります。しかしバブル崩壊と共に、3Kのうちの『給与が安い』という物が一気に世の中に増えたのではないでしょうか? また従業員を本来であれば会社の都合であるにも関わらず、自己都合という形で解雇するようなことが起き始めたのもバブル崩壊以降だと思います。例え仕事の全体量が変わっていなかったとしても、ウィキペディアにある『長期間労働』や『サービス残業』が増え、実質的な給与が減ったことなどもあると思います。


 これらは多くの場合『コスト削減』を名目に従業員を解雇する事で、その会社に残った人々にしわ寄せがいった結果もあると思いますし、最近テレビのコマーシャルでもよくある『即戦力』を企業が常に求めることも影響しているのではないでしょうか? 全てとは言いませんが、学校を卒業したばかりの人にも即戦力を求める風潮を聞くと、根本的に間違っているとしか思いません。


 そもそも特に学校を卒業したばかりで企業が求めるような即戦力になるような人がどの程度いるでしょう? 正直私はほぼ皆無であると考えます。


 企業によって求める能力が異なることはもちろん、そもそも企業によって働き方が異なるはずであり、学校で教えて即戦力となるような人はまず現れないのではないでしょうか? それこそ一部の医療系学校など極めて専門性が高い学校などを除けば、専門的なことを学習することは少ないはずです。当然専門的なことを知らないのに、それで即戦力を求めること自体が間違いのはずですが、最近でこそテレビのコマーシャルではあまりやらなくなりましたが、一時期は新卒にさえ即戦力を求める風潮があったこと自体が間違いのはずです。


 また医療系や法学などを代表する一部の国家資格であっても、人によって得意とすることは異なるはずであり、例えば司法試験に合格したからといって、即優秀な弁護士や裁判官になれるとは思えません。色々な経験を積んだり、得意とすることをさらに伸ばしてから、その人が優秀と認められるのだと思います。ごく一部にはその様な事を経験せずとも天才的な才能を持っている人はいるかもしれませんが、その様な人はごく一部ではないでしょうか?


 基本的に普通は大抵のことに対して未経験であり、その状態で働き始めるのだと思いますが、新卒にそれを求めることは間違いであると考えますし、中途採用であっても会社が異なれば雰囲気など異なることはいくらでもあるでしょうから、即戦力と慣れる人は限られているというのが私の持論です。そもそも私はどの様な場所においても『即戦力』は原則不可能だというのが持論です。


 しかし今現在中途採用では盛んにコマーシャルでもあるような即戦力が求められていたりで、これが日本からブラック企業が減らない1つの原因であると考えます。


 また業界によっても異なるとは思いますが、本来であれば3人で行うような業務を1人で行わせたりと、常識的な判断力があれば無理があることを企業の経営陣側が理解せず、コストカットという名の適正な人員配置を行わなかったり、本来であればしっかりと何を行っていくのか企業側が行うはずの人材育成を、コストカットという名で行わない事なども、ブラック企業が減らない原因であると考えます。


 また派遣業の拡大などは政治が発端の問題であると思いますし、今の日本のブラック企業問題は、企業だけの問題とは到底考えられません。


 私個人としては、成果主義そのものは否定しません。人によってはそちらの方が良い場合もあるでしょう。しかし全員が全員、成果主義で成果を出せるほど世の中簡単ではないと思います。そして成果主義の時に忘れてならないのは、企業が求めている成果と、現実に達成可能な成果とは、必ずしも一致しないことです。根本的に達成が不可能か、極めて無理な成果主義は、成果主義とは言えないと考えます。そしてそういった事を行う企業が、現在の日本では増えているような気もします。


 必要なのはどこまで出来るかであって、最初から出来ない事をさせること自体に無理があるのですから、経営者やそれに近いような立場であれば、仮に成果主義を導入するにしても限度という物をきちんと定めて、なおかつそれが人材に対して無理を行わせていないか、それを一度一歩引いて考えるべきなのだと思いますが、それを意図的にしていないのであれば論外ですし、そういった考えが出来ないのであれば成果主義を導入すべきでないというのが私の考えです。


 特に最近は外国人労働者などの流入も話題になっていますが、仮に外国人であれば日本の法律に詳しくないであろうと、きちんとした雇用の条件を守らない限りブラック企業などの問題はこれから先も続くと思えます。

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