第三部~出会い~
「」俺はキレながらも仕方なく本当に仕方なく神の言うことに従い、歩いた、本当に歩いた。
「おい!どういうことだよ!あいつちょっとって言ってただろうがぁぁぁ!」
俺は日がてっぺんにいるときから動き始めたが今は満月がてっぺんに昇っている。さすがにこんな歩いたら町にはついたが、今ついたばかりだ。
「くっそ、あの神の言うことは誠に受けない方がいいな」
あっもう会話ないのか。……考えれば考えるほどイラついてくる。
もう何を考えても仕方がない。ここでは定番の宿屋を探そう。
「今空いてる部屋はないよ」
「遅いねーあんちゃん。もう部屋は埋まっちまったよ」
「部屋かい?部屋ならもう……」
「部屋を探してるって?おまいさん、そんなも……」
「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉい!!どうなってんだこれ!なんで町までやっとの思いできたのに宿ないんだよ!」
俺は町のなかの端に寝袋にくるまって悶えていた。
「ったくとんだ一日だったな。一日中歩き回され、あげくの果てには宿もないなんて、」
寝袋はどこからかそんな疑問もあるだろう。これは道で縮こまってる俺に旅人が情けでくれた。俺はこの時、この世界ではじめて感動という気持ちが芽生えた。旅人に悪い人はいない。
早朝、俺はすぐに街に行った。本当にすぐに行った。なぜなら俺は気付いてしまったのだ。
俺が起きてすぐ思ったのは、腹が減った、だった。
「あ〜あ、宿に泊まれてたらこんなことにはなってなかっ……、そういえば宿に泊まるのって金かかるんじゃね?」
もちろんタダってことはないだろう。俺は所持金を確認しようと……もうその時点で気付いたのだ。
「あ……俺無一文だわ。」
あの神はこんなことも予期してなかったのか、無能め。
そのためすぐに近くの街へダッシュしたのだった。
街へ行ったからといって金を稼ぐあてがあるはずもなかった。
「くっそ、このままじゃ転生してすぐに餓死で死んでしまう。転生者が餓死ってどうよ。どんな物語でもありゃせんわ。」
と独り言をブツブツ言いながら歩いていると、
「…っめてください。やめてください。」
その声が聞こえた方向を見てみると、そこはいかにもな路地裏で、女の子が二人が男が三人に囲まれていた。
「いいじゃんかよ、俺たちと遊ぼうよ。」
ーはい、きました、テンプレのパターン。ていうか男の顔もいかにも悪者って感じ出しすぎだろ。セリフもどっかで聞いたことあるような感じだし。悪者ってそういう共通認識しかないのかな。馬鹿なんだなきっと、うん馬鹿なんだ。ー
そんなことを見ながら考えていると一人の女の子と目が合ってしまった。目をうるわせてこっちを見ている。
ーうわ、面倒なことになりそうだなぁ。まあしゃあないこんな場面は男の俺が助けなきゃいけない場面だよな
一度目をそらしてしまっていたがもう一度彼女の方に目をやり、彼女に微笑みかけた。そして……
俺は彼女から90°目を背け前に歩き出した。
「いや、待ちなさいよ!?その流れは助けるとこでしょ!?『え〜だってめんどくさそうじゃん』みたいな顔するのもやめなさいよ!?助けなさいよ!?」
その声を聞いて男たちは俺の存在に気付いてしまった。もう逃げる事はできないらしい
(お前ふざけんなよ?)という顔で見てやると彼女は微笑みやがった。
「なんだオメェはよぉ?」
こう言われて俺は驚いてしまった。こんなにもテンプレなことがあるかと、
「なんだと言われてもなんでもないというか…なんというか……」
俺が言葉が定まらず淀っていると、
「関係ねえならすっこんでろよ!!」
「えっすっこんでていいんですか!分かりました、すっこんでますね。」
「ダメでしょ!??ここまできて助けない選択肢がなんであるのよ貴方!?」
「あっやっぱダメ?」
相変わらず二人の中でうるさい方(俺の認識ではそう命名した)はわめき続けている。それにしてももう一人静かすぎね。
「見せ物じゃねぇんだよ!!」
そう言って男達三人は殴りかかってきた。
ーふっ、甘い奴らだな。異世界に転生した俺に叶うわけ、
ーそんなわけねぇだろぉぉぉぉぉぉ!!!!昨日まで学校通ってた高校生よ!!勝てるわけないじゃん!!
無理だろぉぉぉ!三人で来るなんて卑怯すぎだろぉぉぉぉぉ!、
そんな俺に男達の拳が
降りかからなかった。
えっとその場の誰もが驚いた俺でさえも。そうおれはかわしていたのだ。
ー身体能力も少し上げとくからなー
という神の言葉が脳裏に浮かんだ。
ーそっかそのおかげで今のも考える前に反射で動いていたのか。
「ってめぇ」
男の一人が右のストレートを繰り出してきた。
確かによく見れば思っているよりスピードが遅い。
その右のストレートを左手でいなしカウンターで腹に打撃を入れる。
男が倒れた後、二人が立て続けに突っ込んできたが相手ではなかった。
男三人を腹への打撃、回し蹴り、一人は仲間を連れて逃亡したため、怪我もなしの完勝で終わった。