第二話~町へ~
「うっ…」
目の前の光がだんだん弱くなりついには消えた。
「おお!すげぇ」
そこにはさっきまでいた神殿ではなく、周りには緑に囲まれ、とても地球ではないような場所であり、久しぶりに外に出た気がした。道ということは当然、人が通るわけだ。
―もしかしてあの光を見た人がいるんじゃないか?
俺は慌てて辺りを見渡す。幸い人はいなかった。最近、周りを気にすることが多い。次に自分の格好を確認する。高くもなく、低くもない身長。ちょっとぼさついた黒髪。黒がかった青のトレーナーに黒のコート、灰色のズボン、黒のくつ。神のファッションセンスはどうなのだろう。男の俺には興味がなかった。ふと神の言葉を思い出す。
―魔法もあるが、主なものは剣じゃな。この二つから聞いて思い付くとは思うがモンスターもおる。気をつけることじゃな。―
「あいつ、剣あるっつってたのに持たせなかったな!くそ、使えない神め」
俺はイライラが高まっていくのを実感していた。
「だが、このままではなにも進まねえ。しゃあない、力を借りよう」
そう言って俺はポケットに手を突っ込み黒い結晶を取り出した。
これはこの世界に来る前に、
「まぁ、なにか困ることもあるかもしれないからこれを持ってけ」
と言って渡したものだった。
こういう時だけ用意がいい。俺はこの結晶を起動した。
「はぁ~~ぁ。厄介なやつがいなくなってスッキリし…。何じゃもう使ったのか」
「おい今なんて言ってたかしっかり教えろ!」
「もうそれはいい」
「もうってまだ聞いたばかりだろ!」
「はいはい、それでどうしたんじゃ」
「ったくもう。このあとどこに向かえばいいんだ?」
こいつとの喧嘩はまた今度にしよう。今は進むことが第一だ。
「そうじゃな、そこから西に少し行ったところに町が見えてくるはずじゃ。まずはそこに行け」
「そうかわかった。着いたらまた呼び掛けるからな」
驚いた声で神が言ってくる。
「なにを言っているんじゃ、お前は。これいっかいきりだろうが」
こいつ絶対に言ってなかった。
「はぁぁぁ!お前絶対に言ってないだろ!そんなこと知ってたら今、絶対使ってないわ」
「はぁ~、お前はうるさいの~」
「あぁぁ!お前のせいでこうなってるんだぞ。じゃあ今言いたいこと全部言うからな。お前この世界に剣があるつって俺に剣持たせなかっただろ!それとなぁ…」
「はい、じゃあの」
「あ、おい待て!」
プーップーッときれるのではなくテレビの砂あらしのような音がなり数秒たって消滅した。もうこんなとき人がとることはひとつだ。
ガッシャーン!と音をたてて砕け散った。もちろん投げつけたのだ。俺はその破片の上を音をたてながら町へ向かって歩くのだった。