6話 : 難癖つけられたぞい
教室でマターリ中。
たしか、ゲーム内のイベントでは悪役令嬢とのロボットバトルがある。
わたし的にはそんなの過激なのはごめんなのでおとなしくしてるよ。
何せ何故因縁をつけられるかは知ってるしね。
令嬢はお気に入りの席を取られたとか行って突っかかってくる。
つまり、事前に席を調べておいた私に死角は無い!!
さーて、どうやってイケメンを攻略しよっかなー
「あなた、フレデリカ・ルイスですわね」
「はい、そうですが……げっ!」
銀のツインドリル。
黒いゴシックなドレス。
2人の取り巻きを連れて現れた、見るからにキツそうな令嬢なこの女。
さっき言ってた悪役令嬢やん!
えぇ、なんもしてないよね。
「初めまして、ジェム・トロン・クラリスともうします」
「ど、どうもクラリス=サン。あの、なんでしょう?」
すると突如、悪役令嬢が顔を私の顔へと近づけて、笑ってない笑顔で話をする。
「あなた、私の評判を貶めるようなことを話していたと聞きましたけど、事実でしょうか?」
「し、知りません」
「あら、では私が聞いたのはなんだったのでしょう?」
その言葉に待ってましたと言わんばかりに後ろの取り巻きの1人が口を開く。
「嘘ですよ、昨日の夕方に寮の先輩と話していたのをしかと聞きました」
「だ、そうですが」
「いや、寮に入ったのは本当ですけど……」
ん? てか。
どこで聞いたんだろ?
寮は6階だったし……
「で、でも、どこで聞いたんですか?」
「モンブラン、話なさい」
令嬢が命令すると、モンブランと呼ばれたさっきの取り巻きがまた話す。
「はい、寮の廊下で聞いたんです! 通りかかったら偶然にも扉から聞こえたんです!」
「え、いや、でもなんで寮に……」
「どんな建物か気になって入ったんです」
「さ、さいですか……」
うーん、なんだろ。何かが引っかかる。
これを言えたらなー
「確かに、モンブランの話は偶然が重なってますが、何もありえない話ではないと思いますが……違いますか?」
「……ないです」
「いい加減どうです? 一言謝ったらすむ話ではないですか」
「い、いやでも私はやってない……といいますか…いや、やってないんですけどね」
「アァン?! テメェお嬢様が許したるって言ってくださってるんだぞ! 早よ認めろや!!」
「ヒェ……で、でも」
「でもでもちゃうわ!! ボケェ!! 認めろってんだよッ!!」
うぇぇん……こわいよぅ。おうちかえる(幼児退行)
「モンブラン控えなさい」
「はっ! お見苦しいところを申し訳ありません。お嬢様のためにとついつい熱く……」
「いいのよ。第一に、やったやってないの話しになるのは目に見えてたから……」
悪役令嬢は何かを欲しいと、手を後ろに突き出す。
そしたら、後ろで控えていたもう1人の取り巻きが、ワンテンポおき、慌ててカバンをあさる。
ようやくカバンから何かの紙のを取り出した取り巻き2号は「どど、どうぞ」と令嬢の手の上に置いた。
その令嬢はというと、不満そうな顔だった。
それを察したのかどうかは分からないが、モンブランが大声をあげて取り巻き2号を叱る。
「ラズベリー! テメェ遅いんだよ!!」
「ご、ごめんなさい!」
なんだろ、この謝り方とか、すごい親近感がわく。
「お嬢様が『やったやってないの話しになるのは目に見えてた』のくだりになったら構えとけよ!!」
「モンブラン、いいのよ。彼女はまだあまり経験を積んでないだけよ」
「はい……すいません」
「それで、フレデリカさん」
「ハヒィ!」
「こちらをどうぞ」
そう言われて、紙を置かれた。
読めってことですね、わかります。
……やべえ、緊張して内容が入ってこない。
「ここに書かれているのはですねようするに ーー」
「ーー 私、ジェム・トロン・クラリスは、フレデリカ・ルイスに決闘を申し込む!!」
巨大な声が私を打つ。
今までゆっくり落ち着いて話してた人だけであって怖さが引き立つ。
「と、いうことですわ」
「ひゃぃ」
誰か助けて
「おーい、何をやっとるかー」
ダンディな先生が来た! これでかつる!
いやー、助かった……
「どれどれ、決闘の紙? どれどれ……」
先生ビシッと言ってやってくださいよー
こいつら、ひどいんでっ……
「まあ、いいんじゃない」
へ?