第2話 : 学校と妖精
ふぅ……朝はやばかった。
あかんで、ネットリエロス執事は朝には毒やで……
そんなことを悶々と考えながら朝飯を食べ終えた。いやー、全然のどに通らなかったね。
ん? てか、あれってイチャイチャするチャンスだったのでは?
うわ、もったいない……チャンスだったのにヘタれるなんて……なにやってんの、私。
まあ、そんなことどうでもいい。
でもあの太ももは覚えておこう。
ついに来たのだ。このゲームの本舞台!
緑のトンガリ屋根がチャーミングでシックな巨大な石造りの建物。あちらこちらの天使の像がなかなかいい味出してる。
この見るからにファンタジーな城っぽいこの学校。
ここが私が今から入学する《シャーリーの学園》である。
ここでは上級社会な付き合いの勉強や単純に私の嫌いな教科書を使うような勉学、はたまたロボットの技術を学ぶ学園なのだ。
まあ、メインは男の子達とイチャイチャだけどね。
待ってろよ、男子達! 今いくぞ!
◆
うわぁ、ここどこだろうぅ?
あまりにも広すぎる学校のせいでまよっちゃったぞ……
あれー、ゲームじゃあ迷わずに主人公は行けてたから、てっきり簡単かと思ってたんだけど……
途方にくれて只今よく分からない絵達が螺旋状の壁に飾られた石の階段を上がったり、下りたりを繰り返し。
あかん、人どころか生き物にも会わない。みんなどこ行った?!
「迷ったのかな? お嬢さん」
突然、どこからか話しかけられた。
でも辺りを見回しても人はいない。
はて?
「上だよ」
上?
頭をあげて見てみる。
何かが飛んでいる。なんだろう?
そうポヤーとしていると、その飛んでいる物がヒラヒラと落ちてきて、肩に止まった。
「失礼、肩を借りるよ」
「えぇ、どうぞ」
肩に止まったこれ、いや妖精と言った方が良いのかな?
でも妖精とは言えない。
と言うのも、見た目がどうも私のイメージと違う。
シルエットは蝶の羽が人の背中にはえた私のイメージどおりのファンタジーな妖精なのだ、ほんとにシルエットは。
だが、真正面から妖精を見てみると異様なほど薄い。1mm程度の厚さしかないように思える。
見た目的にはたぶん鉄の板を切って作ったかんじだ。
「お嬢さん、新入生?」
色々と頭がぐちゃぐちゃしてるところに鉄板の妖精が話しかけてきた。
すっげえシュール。
「そ、そうです」
おふぅ、声が震えてしまったでござる。
声が震えた私に鉄板は落ち着いてと言った。
「大丈夫大丈夫たべないよ。ほら、ご飯が入りそうな体じゃないだろ?」
「そういえばそうですね」
何がそうですねやねん!
自分のコミュ症ぷりが情けない。
なんだかなー、何かお嬢様ぽく優雅に面白く応えたいな………
…………
………う○こしか思いつかない。
優雅でも面白くもなくてごめんなさい。
そんなこと考えてても話は進んで行く。
「新入生はみんな教室のはずだけど、もしかして迷った?」
「はい、そうなんです」
「ほほう、だったら教えようか?」
「え、本当ですか?!」
「本当本当。とりあえず6階に上がって奥から2番目の部屋に来てね。細かく教えるから」
「はい!」
「ついて来て」
鉄板の妖精が肩から飛び立って先導し始めた。
ワクワク。