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恋の伝道師・片桐上ノ助の独白  作者: 守田一朗
第1部 恋の伝道師と、その幼馴染と親友のお話
4/12

第二幕 第三者の男1 

告白とは何か。隠していた想いを打ち明けること。大抵は、「愛の―」「恋の―」が枕詞でつく。告白に〈プロポーズ〉とルビを振ることもある。人が隠す想いの多くが恋慕であることを示す。

 告白して得られるものは何か。唾棄すべきいちゃこらな関係か、それまでの築いてきた関係の終幕か。大抵は二者択一になり、「これからもいいお友達でいましょうね」という言葉は実現しない。言葉にした感情をもう一度心の内に仕舞い直すことはできない。そこで今までの関係はおしまい。二本の糸が結び目をかえ、新しい関係が編まれていく。

 何故ワタクシが急にそんなお話をしたか。それはワタクシの唯一無二の親友である夜野朝日が、ワタクシの幼馴染である夕闇明美に告白したからである。

 告白して変わるのは、男と女、当事者の間にある関係だけではない。彼らの関係がかわろうとすることで、また、人知れず想いを飲み込む者もいる。大抵、そうした人物は新しい運命の糸の結び目を探してふらふらとさまようことになる。自分は告白してないのに、大層理不尽なことである。 

 夜野朝日の告白を聞いて、かつてのワタクシこと片桐上ノ助はその時ただ感心した。あのお家大好きっ子な彼が、ホームグラウンドのマイホームに招待せず、アウェイなスクールを選んで勝負するとはこれはなかなか本気である、と。まだ関係を築く前からいきなりお家に招待などしたら、その場で下心を見破られ、即座にお断りされているところだった。お家であれば何でもできると豪語する内弁慶な彼も、彼なりに色々考えていたのである。人知れず。何故ワタクシにも言ってくれないのか。

 人の告白を聞くなどというのは初めてだったから、そのとき片桐上ノ助の胸のうちは激しく高鳴っていた。彼女の返答を待つ間、かつてのワタクシは何を思っただろうか。きっと、ドキドキして何も考えていなかったに違いない。ワタクシはその間、たぶん夜野と同じくらいドキドキしていた。

 告白する男に告白に答える女。扉を間に挟んでそれをただ聞く間抜けな男。物語はワタクシの意図せざるところで勝手に進んでいく。


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