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第一話、手紙

それは、 ある一通の手紙から始まった。

「拝啓、 未来の探偵様、 どうか、 どうか私を助けてください」


その手紙にはただ一行、そう書いてあった。

そんな手紙を自宅の玄関先で怪訝けげんな顔で読むのは、私

夏目なつめ 草紙そうし小学校の頃に葬式ソーシキ、 と呼ばれていたのは今でも苦い思い出であるので決して、 葬式とは呼ばないように。 と誰にとも話してるかわからない事を心の中で毒づきながら、

ため息一つつき、

「それにしても、 この手紙には不可解な点が多すぎる 」

と、 つぶやく

そう、 この手紙にはいくつも不可解な点があった。

まず、 この手紙には切手が貼ってない点。 

差出人の名前がない点、

手紙の内容にある通り、 助けを求めてるのに名前を入れてない点、

そして、 なによりも一番不可解なのは、 宛名は夏目 草紙宛て

なのに、 手紙の内容には、 「未来の探偵様」 と、 書いてある点だった。 なぜなら草紙は生まれてこのかた、 探偵に興味を持った事はおろか、 ミステリー小説の一つすら読んだ事がなったのだ、 それなのに関わらず未来の探偵様である、 

咄嗟とっさに宛名間違えてるんじゃね? とそう草紙が思った事を誰がとがめられるだろうか、 ましてや不可解だらけのこの手紙、 

万が一にも本当に草紙宛だったとしても、 探偵に露ほどの興味をもたない草紙である、 まさに彼にとっては冗談、以外の何物でもないだろう。

「さて、 やっぱりこれは、 いたずらの類かね?」

と、そうおどけながら玄関前に立ってるのもばかばかしいと、

さっさとドアを開けては疲れた体にムチを打ち自室への階段をかけ上がる。

自室に入り例の手紙を無造作にゴミ箱へと放って、 いやー今日も疲れたといわんばかりにふぅとため息、 深々(ふかぶか)とソファに腰を沈ませた。 


例の手紙、 その封を切ってから、 ずっと鳴り止まない胸騒ぎにそっと蓋をするように…… 。




二話につづく。 


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