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スリースターズ  作者: カミハル
別れと約束、そして家族たち
50/51

エピローグ・それから、そしてこれから

 半年後。


「こちら、総合司令部司令官代理、リアン・ノーティス。一番から四番分隊はそのまま敵を追跡しなさい。五番、六番はそのまま残存戦力を索敵」

 ホログラフモニターに視線を固定させ、指示を出す。

 訓練メニューだが、そこから生まれる油断で、単純なミスをするのは論外だ。

 あれからリアンは、スリースターズ再興の下準備も兼ねて、総合司令部司令官だいり兼補佐のポストに就任。ヴァインが戻ってきたとき、一部の隙も無い部隊長となるため、経験を積み重ねていた。



「フィリス部長、こちらの苗から新種の反応が検知されました」

「あら、珍しいわね。セラスちゃんはこれを解析班に回してあげてちょうだい」

 セラスはあれから一ヶ月程で完治し、環境監査部でフィリスの助手をしている。

 ちょうど人手が足りないのと、迷惑をかけてしまった親友、リアンの頼みでは断れるはずもなく、二つ返事で入隊する流れとなった。

 ちなみに作業内容は、植物の収集と観察。

 地味な作業に見えるが、繁殖力や成分を調べることによって、周囲の環境変化を見抜くことができる。セラスには秘密だが、自然環境に囲まれることによって、精神共に魔力の歪みを治す、リハビリの役目も兼ねている。



「そこ、脇が甘い……次は斬るよ?」

 防具を身につけた少女の脇に刀を当てがい、警告の意味も込めて囁く。

 シオンは戦闘指導部の教官長として活躍していた。ヴァインが帰ってきたとき、今度こそ先輩の威厳と実力を見せるために。

 ちなみに、この半年で告白された回数は三桁に上る。同じ人物や同性からの告白もカウントした上での数だが、他の教官は全員がシオンに想いを投げつけ、その全てが一刀両断されてしまい、ついた二つ名が“魔性のサムライ”

「次は空中戦……全員魔石を解放し、グラウンドに集合」

「はい! シオン教官長!」

 生徒全員が声を揃え、従順に従う。

 生徒からの人気も相当高いらしい。



 レイラとアキラは中央軍部の再興と管理体制改善のために軍部に配属された。余談だがパコスも手助けのため、インディに強制派遣され、アキラに罰ゲームの動画を流され、辛くも楽しい日々を送っている。

「アキラさん、それだけは……それ以上流されたら嫁と子供に……」

 驚いたことに、パコスは妻子持ちらしい。

 ヴァインが帰ってきたら、いの一番に教えてあげようと思う。

「うるせぇぞ!」

 騒ぐ二人に鉄拳を食らわせ、黙らせる監視役のレイラ。

 ホログラフモニターに日誌を書き終え、帰還の準備をする。

 騒々しいことに頭を悩ませつつも楽しい毎日を送っていた。



「こちらリーディア、情報収集は完了ですシュタイン部長」

『了解、リーディア特務は目標ポイントに到着後、再度ご連絡をお願いします』

 リーディアは変身能力を活かし、情報部へ。

 様々な姿に変身できるのはもちろん、部分変化もすっかりマスターし、密かにヴァインと再戦し、今までの意趣返しをするために、訓練と経験を積んでいる。

 最近は何かと忙しく、他のメンバーと会う機会は減ったが、つい数ヶ月前、任務でヴァインの住む町に立ち寄った際、変身した姿でヴァインと会うことが一度だけあった。

 気づいていたのか定かではないが、確かにこちらを見て、いつも通りの尊大な、それでいて懐かしい笑みを浮かべていた気がした。

「さて、追っ手も来たことですし、最大速力でこの場を――離脱するとしますかね」

 ヴァインに変身し、白い翼を羽ばたかせて、空を翔る。

 やはり、彼の姿が一番馴染む。

 そう思えた。



 燃え盛るビルで瓦礫に足を挟まれ、逃げることもできず、泣き叫ぶ少年。

その視線に映る、燃え盛る業火。そこから堂々とこちらに歩を進める影。

「もう大丈夫だよ、お姉ちゃんと一緒に逃げようね」

 恐怖で濁った心を和ませる笑顔。

 瓦礫を銃弾で砕き、差し出された手を握り返し、少年はリネスの胸に飛び込み、大きな泣き声をあげた。

 リネスはヴァインに助けられたこともあり、災害救助も手がける救急部隊へ配属。

 後に、スリースターズから脱退し、救急部隊副部隊長としてヴァインを支える柱の一つとなるが、それはまだ少し先の話。



 それぞれがスリースターズ再興と、ヴァインとの再会を楽しみに、日々経験と訓練の毎日を送り、一年の時を過ごしていた。




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