帰る場所へ
ヴァインやスリースターズのメンバーが退室した後、光が消えていた銀幕に再び灯が燈った。
「あれが母さん一押しの坊やかい? なかなか楽しみな子だ」
荘厳な老人、声は相変わらず萎縮してしまいそうな厳格さを携えているが、それでいてどこか楽しそうな声――
「母さんが薦めるだけのことはあるね、自分の罪状を述べるとき、大抵は自分の罪を軽くしようと、必死になって見苦しい言い訳ばかりだけれどもあの子は堂々としていて、なんていうか逆に気持ちがよかったよ」
冷たく、貫くような声の女性。
今は先ほどと違い、砕けた口調に――
「あの子は自分に正直なのよ。スリースターズはもちろん、他の部署のあたしも家族同然に扱ってくれる。あの子にとって部隊の仲間もあたしたちも、みんな家族なのよ」
変わらず、温かく優しい声の老婆。
「知り合いは全て家族か……」
「両親もなく育ったあの子の、家族の概念は相当広いっていうことね」
「本当に、一年後、再び会うのが楽しみね」
その様は家族が団欒で会話するように温かく、優しい空気に包まれていた。
施設を出て、後ろを振り返るヴァイン。
帰りはヘリの送迎ではなく、判決結果を聞いたインディが、上機嫌でドライブがてら愛車のワゴンで送迎してくれると言う。
太陽光を反射してそびえ建つビル。
メンバーたちは、ヴァインに説明を求める視線をこちらに向けていたが、説明はしない。
代わりに――
「レイラ、シオン……だから言っただろ?」
“またな”って。
――そう言って二人の頭に手を乗せる。
「総隊長、一体何がどうなっているんスか? 自分たちにはさっぱり……」
どういうことか尋ねてくるアキラ。
それを無視し、リアンに耳打ちしておく。
「誰にも言うなよ」
その言葉を聞き、自分の推理が正しかったことを確信すると共に、ヴァインの交友関係の広さに嘆息し、苦笑を浮かべるリアン。
「日頃の行いが良いからに決まってるだろ」
アキラに適当な言葉で嘯く。
それでも、真相を聞きだそうと問い詰めてくるスリースターズのメンバーに囲まれ、ヴァインは心から笑った。




