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スリースターズ  作者: カミハル
~決着と真実へ、共に生きよう~
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シュウとの約束

 魔法の効果が消えた後、浮力を失い、落ちていくシュウを確認。落下先には、星たちの欠片が集まり、足場のような場所があるのを確認し、ヴァイン自身も浮力を失い、落ちていく。

 何とか着地し、膝をつくが、のんびりとはしていられない。いつ、シュウが魔力を使い果たし、姿を消してしまうかもわからないのだ。このまま黙って逝かせるつもりはない。

「おい、起きろコラ」

 近づき、抱き起こして頬を叩く。

 すでにヴァイン自身にも魔力は残されていない。先ほどの一撃が、文字通りの全開だったのだ。

「さっさと起きろ!」

 力を込めて頬を叩く。眠ったまま消えられては寝覚めが悪い。

「エス……クリオス……」

 虚ろな眼で、娘の名を呼ぶシュウ。

 それに答えるように魔石から、人の姿に実体化するエスクリオス。

「何? お父さん」

 シュウの視線の先に顔を突き出す、このまま消えてしまうのも時間の問題だろう。

「すまないね……僕は父親としてなにもしてやれなかった……普通の親子みたいに出かけることも、遊んでやることも……護ることすらできなかった」

 シュウの頬に涙が伝う。

 エスクリオスも、そんなことないと、否定しながら涙を流していた。

「お父さんの娘に生まれたから……だからあたしはヴァインさんと出会えた。お父さんと同じ匂いのする人と……」

「そうか……ありがとう、エスクリオス」

 娘の小さな手を握り締め、小さく微笑む。

 そのまま視線をヴァインに移し、改めて微笑んだ。

「ヴァイン・レイジスタ、聞いてほしいことがある……聞いてくれ」

「またか? 三十文字以内で頼むぜ?」

 笑みを浮かべるが、その表情にはどこか、泣き出しそうな色を浮かべていた。

 そんなヴァインの表情を見て、シュウは笑みを浮かべ、思い出す。

 三十年前。早くに妻を亡くし、一人娘と暮らしていた時にシュウを悩ませていたのは軍部への勧誘だった。

 当時のシュウは軍部を自主退役し、娘のエスクリオスと隠居生活を送っていた。

 しかし、男の身で優秀な魔法の素質を持ったシュウを必要とした軍はシュウの軍への復帰をしつこく打診してきた。

 しかし、その誘いに首を縦に振ることはなかった。

 そんな日々を繰り返していると、軍はついに強攻策に出た。

 一人娘のエスクリオスを攫い、軍に復帰するよう脅迫してきたのだ。

それでもシュウは軍への復帰を断り、娘を返すように警告もした。しかし、そんな態度に業を煮やした軍部の役人は、エスクリオスを傷つけるという手段に出た。もちろん、シュウは怒り狂った。

 シュウは怒りに任せ、中央軍部に乗り込んだが、怒り狂う魔力を制御できずに暴走し、娘を助けに行ったはずが、自分自身の手で娘を手にかけ、瀕死の重傷を負わせてしまった。

それでもエスクリオスを死なせまいと緊急措置で娘を魔石に変え、最後の力を振り絞り別の世界に転移させた。少しでもいい、生き延びてほしかったから。

 シュウの肉体と魂は滅び、微かな魔力と残留思念だけになった。

そして魂と肉体は転生し、魔石に変えた術者、僕と同じ魔力波長のヴァイン・レイジスタがエスクリオスを使えるようになり、今こうしてシュウに匹敵する魔法使いとなった。

「僕は、その時エスクリオスを拉致し、傷つけた奴を知っていた……だが殺しに行けなかった……気づけば世界を壊し、君と戦っていた……だから……頼む」

 それ以上は聞かなくてもわかる。

 だから聞くことをしない。代わりに魔石をリジェクトし、シュウの喉元に押し当て――

「お前の頼みなんか知ったことじゃない」

 ――非情に呟きながらも、魔石にシュウの魔力を封じる。

 親子が離れてしまわぬよう、小さな石だが、そこで共にいられるように。

 それを理解したように、小さな笑みを浮かべてシュウの体は光の粒となり、消えた。

「だからお前の無念はお前が晴らせ、人を頼るんじゃねぇよバカヤロウ」

 胸に収めた青い石に指を這わせ、空を眺める。何もない、砕けた星の残骸やどこまでも広がる闇、その中で小さく瞬く星たちを見つめ、思案に暮れるが――

「考える必要は何もないよな、エスクリオスとの約束の次はその父親か……」

 しばらくすれば、この世界自身が崩壊を始め、再び創造が起こる。時間は限られているが、自分自身にできることを為さねばならない。三年間という、今まで過ごした時を使ってでも――


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