劣勢
一つの闘いが終結した頃――
「メテオ・ストライク! 発射!」
集束魔法の砲撃を空に存在するゲートに向けて発射し、敵が出てくる前に消し飛ばすヴァイン。
それでも、敵の数は減る気配を見せない。
「ちっ……消しても消しても沸いてきやがる……仕方がない」
舌打ちし、腕に巻いた通信用端末で地上部隊と空中部隊全員に呼びかける。
「これより、広域魔法をぶっぱなす、できるだけ制御するがミスる可能性もあるからシールドなりなんなり、防御体勢を整えろ」
『前置きなんかどうでもいいんだよ! ミスってもいいからさっさとやれ! こいつら数が多い上に、魔法が通じにくい』
レイラから文句が飛んでくるが、無視して両手に魔力を込める。
地上と空中、その中点に照準を定め、その上で効果範囲を限定する。
簡略化すれば、照準、効果範囲、魔法の発現、トリガーの四種類で構成される。
「天地を滅する鉄槌、空より降り注ぎ、地から舞い上がれ!」
この呪文でトリガーを除く、三つの手順を簡略化。
トリガーを引く呪文を唱える前に、敵の範囲と味方の場所を確認し――
「ハンマー・フォース!」
照準を定めた場所に漆黒の霧がハンマーの形を成し、地上に打ち下ろされ、範囲内の敵を情け容赦なく叩き潰す。
「次は上だ!」
両手を振り上げ、ハンマーが細かい粒子となり、空中の敵に散弾のように襲い掛かる。
この一撃で、大幅に敵の数を減らした――そう思っていた。
『日常生活で誤射がないようにがんばって恥ずかしい呪文にした割には効果が薄いですね』
「うるさいぞエスクリオス。俺は気に入っているからいいんだよ。つか、今の一撃で消し飛ばないとなると……」
予想外なことに、敵勢力を粉々に打ち砕いたはずが、消費した魔力量の割には効果を挙げることができていない。
腕時計型の端末で、再び仲間に呼びかける。
レイラから文句が飛んできたら無視しよう。
「全員に緊急連絡、敵はこちらの魔法攻撃をある程度防ぐシールドを張っているようだ、対処法を知っているやつは恥ずかしがらないで言ってくれ」
『そんな答え、知ってたらとっくに伝達してるっていうんだよ! くだらねぇこと言ってねぇでどうにかしろ、今の魔法で敵が弱ったからもっと撃ち続けろ』
「うっせえぞレイラ! あんな広域集束魔法をそうポンポン撃ってられるか!」
勝手な物言いにイラッとしつつ、地上で戦っているレイラに視線を移す。
巨大化したハンマーが全方位の敵を薙ぎ払っているが、込められた魔力のほとんどが敵に吸収されている。
「ちっ、昨日現れた連中には無かったのに……今日に限って都合の悪い展開になりやがる」
ぼやくが、状況は変わらない。
昨日の敵には無かった装備に苛立ちと焦燥。
減らない敵、減るのは体力と魔力のみ。
しかし今は一匹でも多く減らすしかない。
「仕方がない、今度は空間爆砕魔法で……」
再び魔力を溜め、敵を減らすため、次の魔法を放つための準備を始めた。




