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スリースターズ  作者: カミハル
~襲撃と策略、それなら決戦へ~
29/51

開幕の狼煙

 休暇から一夜明け、昨日の市街戦闘をセラスへと報告しに、ラボへと向かう。

 本来ならば、昨日のうちに報告しなければならなかったが、セラスが緊急の私用で外出していたため、まとめておいた資料を片手に、ラボへと入室。

 そこには、端末を操作するセラス。

 作業に忙しそうではあるが。おはようと、簡単に挨拶を済ませ、昨日の襲撃について軽く報告し、私用での外出内容について尋ねてみると――

「ああ、おはよう。昨日は仕事で中央軍部へ出向いていたのよ」

「へぇ……」

 ――とのことだった。

 軽い相槌で返され、昨日の襲撃内容の映像データの入ったディスクを受け取ると、それを懐にしまい、端末のスイッチをオフにする。内容までは見えなかったが、何かのスケジュール内容のようだった。

「これから各部隊と会議があるの、聞いていたでしょ? 今日は総隊長のあなたにも同行してもらうわよ」

 拒否権がないようだ、キッパリと同行するように命令された。

 部隊の創設者はヴァインだが、立場上は副部隊長と部隊の戦闘要員を統括する総隊長。ヴァインにとってセラスは上官に当たるため拒否することはできない。

「いえ、今日は訓練の予定が……」

「その件なら、レイラに任せたから問題ないわよ」

 拒否権はないが、一応の抵抗を試みてはみたが空振りに終わった。

「そうですか……なら問題はないですね」

 ジャケットのポケットに入った携帯スケジュール端末に予定変更を打ち込むふりをする。

 いつも通りの服装、いつも通りの佇まいで操作を終え、いつでも出発できる旨を伝えた。

「ヘリポートへ向かうついでに訓練の様子を見てから行きましょうか。最近は新人の子たちの訓練を見学する時間も無かったことだしちょうどいいわ」

「いや、それならまた映像データを……」

「生で見なければ意味がないでしょ? パッと行ってすぐに出るわよ。遅刻するとお偉い方は口うるさいから」

 なら、すぐに出発すればいいのに、なぜ今日に限り見学を希望するのだろう。

 疑問は尽きないが、セラスがそう言うのならば従うほかないだろう、立場上は彼女がヴァインの上司なのだから。

 訓練所へ向かう道程も、セラスは無言だった。こちらから話しかける内容もないので、黙って後を着いていったが、やはり何かがおかしい。

 訓練所に着いてからもそうだった。

「コラァ! リーディア、何度言わせるんだ! 俺のハンマーを受けようとするな、流してカウンターを狙えと何度言えばわかるんだ!?」

 地面にできたクレーターで倒れこんでいるリーディアに怒鳴るレイラ、そしてすでにダウンしているリネスとアキラを確認し、一言。

「がんばっているわね、行くわよ」

 見学時間、三十秒。その短時間で出した彼女の感想はそれだけだった。

 時間が無いという理由ならば納得もできよう――しかし、何かを確認するだけの一連の動作に疑問を覚えるが、今それを口に出しても仕方がない。

 言われるがままに、黙って屋上のヘリポートへ向かい、ヘリに搭乗。

 一時間かけて、会議場のある中央軍部、ブリーフィングルームへと到着する。

 環境監査部、東西南北、そして中央の各方面軍部の総統、警備部、中央人事部、建設部など、滅多に参加することのない部隊も参加していた。

 議題は先日、中央市街地で発生した戦闘。フィリスの環境監査部や戦闘部、警備部はスリースターズを賞賛した。

 結界を張り、市民や建築物への配慮や、敵殲滅の手際など、主に戦闘内容の評価だが、建築部や人事部、軍部からは批判の声が上がった。

 街中での戦闘は軽はずみではなかったのかと議論するが、彼らの意見は全て仮定の話ばかりだった。日頃からよく思っていないスリースターズを、ここぞとばかりに攻めてくる連中の発言を聞き流しつつ、ヴァインは無表情に手元の書類だけを凝視していた。

 先日の戦闘データや敵機の内容だけだが、書類を眺めることだけに集中していれば、口うるさい説教を聞く負担がかなり減る。

 そうこうしているうちに、事態は一転した。

 ブリーフィングルームを真っ赤に染めるランプと、思わず耳を塞ぎたくなるほどに鳴り響く警報音。そして、ブリーフィングルームのモニターに原因の映像が流された――

「これは……スリースターズの施設?」

 映像は、スリースターズの本部エリアが昨日の飛行タイプと、人型タイプに埋め尽くされ、施設本部が、襲撃を受けているところだった。

 舌打ちし、席を立つヴァイン。

「みなさん申し訳ありませんが、私たちは直ちに援護へ向かいます。各軍部の方々に緊急事態につき、口頭にて援護要請をお願いします」

 軍部に援護要請を出し、椅子にかけておいたジャケットを羽織り、部屋を飛び出す。

 屋上のヘリポートまで駆け、同じように無言で後ろをついてきたセラスもヘリに搭乗、急いで本部へ向かった。

「タイミングが悪い……レイラ分隊長やシオン分隊長たちがどれだけ踏ん張れるか……間に合ってくれ」

 焦るヴァイン、無言のセラス。

 その違和感に気づき、セラスに視線を移すヴァイン。それに気づいたセラスのアクションは、小さく微笑み、一言――

「魔石開放、マーダーソウル」


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