表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スリースターズ  作者: カミハル
~総隊長と休暇、ついでに勝負~
25/51

レイラ・ヴェルシオン

「ようやく俺の出番だ! 行くぞ、ヴァイン」

 先ほどまでの雰囲気はどこへやら。腕を組み、ラフな格好の少女が仁王立ちしていた。

 手を引かれ、茶屋から服屋へと強制的に連行される。

 ヴァインの意見や要望を聞くつもりは全くないようで、嬉しそうに服を物色するレイラ。

「なぁ、これなんてどうだ?」

 余程機嫌がいいのか、笑顔のレイラが選んだ服を持ってヴァインに。

 眉間にしわを寄せていないレイラを見るのは初めてだ――断言できる。

 そう言って見せてきた服は、純白のワンピース。フリルがかわいらしさを主張するように備えられている。

「ふむ……これの方が似合うと思うぞ」

 鋲付の皮ジャン。

 冗談抜きに似合いそうだが、眉間にしわが復活した。お気に召さないらしい。

「今の季節じゃ、その服は寒いだろう?」

「夏に着るんだよ。みんなで山に行こうぜ」

「夏か……山もいいが海もいいだろうな。みんなで行くと、賑やかで楽しそうだな」

 それまでに身体が成長することを心から祈る。このままではあまりに不便だ。

 改めて、頭の先からつま先までを観察してみるが、身長百四十程度の幼女体型、この体で、ヴァインの身長よりも長い、棒の先にドラム缶が装着されたようなハンマーを振り回すのだから信じられない。あの膂力はどこからくるのだろうか。

「なんだよ……なにジロジロ見てるんだよ」

 頬を染めて胸元を隠すレイラ。

 残念ながら、無いものを隠されても意味がないし、コメントし辛い。

「いや、最近成長したな……って思っただけだ、深い意味はない」

 三年前に比べれば、成長しただろう。

 ツンツンからツンデレにきちんと成長している感がある。

 顔を真っ赤にしながらもじもじするレイラ。

 その様子を微笑ましく見る店員。

 ヒソヒソ声で、兄妹がどうとか言っているが聞こえないふりをしておく。

 幸いレイラには聞こえていないようだ。

「それじゃあ約束だ。絶対夏には海に行くぞ。指きり……」

 そこへ、ちょうど通信が入る。

 舌打ちし、忌々しげに足元の魔法陣を睨む。

「ちっ、仕事残してきたのがリアンにばれたか……贅沢はいわねぇ。また絶対どこかに行こうな!」

 そう言って、魔法陣の中へ消えていく。

 レイラは散々楽しんだようだが、ヴァインはなぜか疲れた。次は誰が――

「ようやく出番ッスね」

「ずいぶん待たされましたね」

 ――アキラとリーディアの二人が来た。

 どうでもいいが、こいつらは本当に仕事をしているのだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ