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もう知らないから
「なんで、私なんですか?」
キスを受け入れながら、
ずっと考えていたこと。
思ったより強めの声になってしまった。
「橘さんなら、私じゃなくても⋯」
「答えなきゃだめ?」
「そもそも、俺がなんて言ったら満足なの?」
「っ⋯⋯」
この関係に名前なんていらないでしょ。
そう言われているようで。
悔しい!
橘さんのペースを乱したい。
少しだけでいいから。
気づいたら、
橘さんのネクタイを引っ張っていた。
「⋯あぶな⋯⋯」
「って、深山さん?」
「私だって、できますよ」
そのままベンチに橘さんを座らせる。
同じ高さで絡まる視線。
私も橘さんも目をそらさない。
「橘さんのせいです。全部」
両手で橘さんの頬を撫でながら、
私は顔を傾けていく。
「もう知らないから」
自分でも何を言っているのかわからなかった。
でも、今さら止まれない。
今度は私から──
吸い寄せられるようにキスをした。




