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~不味すぎる魔石が、今日からご馳走になりました~  作者: なっくん


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第3話


包丁の刃が、【断界】の薄紫の光を鈍く反射した。


次の瞬間――


怪異の腕がぶれた。


消えた、と思った。


直後、金属が爆ぜるような衝撃音。


《ストーンゴーレム》の胸部に火花が散り、巨体が半歩後退する。

分厚い岩の装甲に、深く刻まれた斬撃の跡。


速い。


視認できたのは、斬撃が終わった“結果”だけだった。


「散開!」


叫ぶより早く、《ホーンラビット》たちが四方へ跳ぶ。

遅れて空間が裂けるような連続音が響き、さっきまで彼らがいた場所が斬り刻まれる。


地面が紙のように抉れ、霧が巻き上がった。


――まともに受ければ終わる。


僕は一歩後退しながら、固有スキル《リンク》を発動する。


《ホーンラビット》、撹乱。

視界を奪え。動きを読ませるな。


角兎たちが円を描くように高速で跳躍し、怪異の周囲に残像を撒き散らす。


怪異の腕が追従する。


だが、わずかに遅れた。


「今だ、ゴーレム!」


《ストーンゴーレム》が大地を砕く踏み込みと共に拳を振り下ろす。


轟音。


だが手応えは――軽い。


拳は霧を打ち抜いたようにすり抜け、怪異の身体が揺らめいた。


実体が、薄い。


物理耐性持ちか――!


その隙を突くように、包丁が振り抜かれる。


岩の腕が宙を舞った。


《ストーンゴーレム》の右腕が、切断されて地面に落ちる。


「ぐっ……!」


リンクを通じて衝撃が走る。

痛覚はない。だが、破壊の情報が直接脳へ叩き込まれる。


――想定以上。


その時。


背後で重い空気が震えた。


《ビッグフロッグ》が、巨体を沈め――跳んだ。


粘液を伴う体当たりが怪異を包み込む。


同時に、長大な舌が鞭のように巻きついた。


拘束。


初めて、怪異の動きが止まる。


「よし……!」


だが次の瞬間、八本の腕が一斉に動いた。


フライパンが叩きつけられる。


――ゴンッ!!


鈍い衝撃音と共に、《ビッグフロッグ》の巨体が横へ吹き飛ばされた。


地面を転がり、岩壁に激突する。


拘束、解除。


霧の怪異はゆっくりと浮かび直り、こちらへ向き直った。


圧力が、さらに増す。


空気が震え、耳鳴りがする。


……長引けば不利だ。


消耗させる余裕はない。


なら――


一瞬で削り切る。


僕は歯を食いしばり、魔力を巡らせた。


「全員、総攻撃」


角兎たちが同時に突撃し、

ゴーレムが残った腕を振り上げ、

巨蛙が再び跳躍体勢に入る。


霧の怪異が包丁を構える。


そして、


僕は左手を前へ突き出した。


「――調伏、開始——


空気が震えた。


魔力の糸が、怪異へと絡みつく。


成功率は低い。

反発されれば、意識ごと持っていかれる。


それでも。


この異形は――


手に入れる価値がある。


怪異の身体が大きく揺らいだ。


八本の腕が暴れ、空間が軋む。


包丁が、振り下ろされる。


魔力の圧が、激突する。


視界が白く弾けた。


――せめぎ合いが、始まる。


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