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エピソード3から内容修正しています

もし最新話まで読んでくださっている方いたらすみません(2025.3.20 修正)

 *


 娘のあいりを妊娠したのは、不妊治療が上手くいかず諦めかけていた時だった。微熱が続き食欲も著しく減少していたが、まさか妊娠しているとは思っていなかった。様々な方法を試して成功する気配がなかったのだから、これで妊娠できなかったらとひたすら不安定になっていた。産婦人科にかかったのは、聖美の不調に気づいた同僚が検査を勧めたためだった。結果は、陽性判定。飛び跳ねるほどに嬉しかった。すぐに朋夜と母親に報告、二人共心から喜んでくれた。


 出産予定日は四月下旬頃、性別は女の子だと分かると、聖美は名前を「あいり」にすることを決めた。春から初夏にかけて咲く花、アイリスから取った。平仮名を使ったのは優しい感じがするから。


「アイリスって、ラテン語だと"虹"って意味になるんだって。その名の通り、青とかオレンジとか、ピンクとか色んな色があるみたい」


 聖美は図書館から借りてきた花図鑑を開きながら言った。


「へぇー、それは知らなかったよ。俺としては桜でもいいかなって思っていたけど、あいりも素敵な名前だね」


 朋夜は淹れたてのデカフェコーヒーを二つテーブルに置く。


「うん! 絶対可愛い子になるよ。朋夜さんの子どもだもの」

「俺としては君に似てほしいね。女の子だからさ、俺みたいに顔が大きいと可哀想じゃん」

「そんなことないよ。私としては朋夜さんのキレイな二重を受け継いでほしい」


 小さい頃から一重がコンプレックスだったが、整形したいと思ったことはなかった。元々田舎出身で都会の洗礼されたファッションやメイクとは程遠い場所で育ち、社会人になってからは仕事一筋でいつの間にかコンプレックスは薄らいでいった。夫の朋夜は熊のような大柄の体型をしており、それに反して性格は穏やかである。


 聖美は大きく膨らんだお腹をさする。念願だった子どもを授かることができて、聖美も朋夜も人生で一番幸せな日々を送っていた。

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