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もっとはやくに気づいてたよね

作者: 茅ヶ崎志保

夏休みが始まってから、クラスラインは静かになった。しかし、夏休みの真ん中くらいで突如クラスラインがなった。



       「頼む誰か時間割教えて」



約30人いるクラスラインに半日は居座り続けてるこのメッセージの既読数は分からないが、大体25くらいだろう。


このメッセージの送り主は、クラスが上がってから急に不登校になったU君だった。


去年まではクラスの二軍くらいには位置していたU君。U君はクラスの中で一番のお金持ちだっけど、親が何の仕事をしてるのかは誰も知らなかった。


(誰か返信してやれよ…)


俺はそう思っただけで、スマホ放った。


――――――――――――――――――――――――


   「スマホみんな見てるじゃん!教えてよ!」


今日もまたクラスラインがなった。昨日と一分の誤差もなく同じ時間だった。というか、やっぱり既読多かったんだ。


(もう仲良いやつに個人的に聞いたらいいのに…)


――――――――――――――――――――――――


  「結構既読無視は傷つくんだけど…教えてよー」


またこの時間だ。決まった時間を伝えるチャイムみたい。


でもどうしてこんなにクラスラインにこだわるのだろう。既読無視されたくないなら個人ラインで聞いたらいいのに。


(なんか可哀想だな。まあ滑稽で面白いからもう少しみんな放置するだろうなぁ)


――――――――――――――――――――――――


  「手付かずなんだけど明日の準備が!教えて!」


今日もやってるよ。誰か早く教えろよ。


でもなんでクラスラインなんだろうな。みんなに何か伝えたいのかな?


(まあ明日はこの時間から勉強してみよっと)


――――――――――――――――――――――――





あれ、今日は来なかったな。ついに諦めて個人的に聞いたかな。


なぜか寂しい気がするなぁ。いつも周りにあったものがなくなるってこんな感じなんだなぁ。


――――――――――――――――――――――――


夏休みが明けると、U君が亡くなった事をホームルームで聞いた。



U君を思い出すため、クラスラインを見返した。



あぁ、そう言う事だったのか。



なんで、もっと早く気づいてあげられなかったんだろう。








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