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3日目夕食 ピザとチキンでアメリカンスタイル

 俺は、APOからログアウトした。

 VR機器を外す。

 俺はゆっくりと体を起き上がらせる。

 そのまま止まることなく部屋から出て、階段を下りてくる。

 1階から、ジャンキーな匂いがする。

 俺は、階段を下りながら、聞いた。


「今日のご飯は何?」


「ピザと、チキンのアメリカンスタイルだよ!」


 妹がうれしそうにそう返事をした。

 そんな豪華な食事って、今日、何か良いことあったかな?

 何かの行事だったのかな?

 クリスマスは、半年後ぐらいだしな。

 ピザと、チキンを食べるイベントあったかな?

 そう思いながら、俺は階段を下りた。

 ダイニングに来て、食卓にあるピザの箱と、チキンの箱を見て、思わず声が漏れた。


「うぉ、本当だ」


 俺は、リビングをキョロキョロと見回した。

 そして、テレビを見ている、ふみと、母さんを見つけて、なんで今日の夕飯が、ピザとチキン何かを聞いた。


「何で、急に豪華な食事になったの? 何か良いことでもあったの? もしくは何かの行事の日だった?」


 俺の問いに、妹がソファから振り向いて言った。


「お母さんが、洋画を見て食べたくなったからだって」


 母も振り向いて、テヘッという仕草をした後に言った。


「映画館行ってきたのよ。映画に出てきた食事が食べたくなっちゃって」


 映画の影響か。

 うちの母は映画とかの影響を受けやすいタイプだ。影響を受けたとしても、1回それっぽいことをすると満足するタイプだ。

 映画を見て影響を受けて、衝動で注文しちゃったんだろう。

 とても母らしい行動だな。


「そうなのか。いつものやつか。豪華なのはうれしいな」


 母が立ち上がって言った。


「ピザは、今届いたところだから、冷めないうちに食べましょう」


 デリバリーなんだ。

 衝動で、いろんなものを頼む母だが、財布はきっちりと閉めるタップだ。だから、店舗で受け取ってもう1枚とかをしているのかと思った。

 もしかして、影響を受けた映画で、デリバリーをしていたからデリバリーにしたのかな?

 母ならあり得るか。


「へぇ、デリバリーなんだ」


「じゃあ、席に着きなさい」


 俺たちは、それぞれ席に着いた。

 全員が席に着いたタイミングで、合図もなしに声をそろえていった。


「「「いただきます」」」


 母は、デリバリーピザを開けながら説明口調で言った。


「ピザは、シーフードとペパロニを頼んだわ。チキンの方は、適当に買ってきたわ」


 俺とふみは、早速ピザを食べ出した。


「ピザうまいな」


「おいしいわね」


 母は、ピザをおいしく食べている俺たちを見ながら微笑んだ。

 その後、あっと何かを思い出した顔をして言った。


「あ、そうだわ。コーラを出し忘れていたわ」


 コーラがあるのか。

 まぁ、こんだけアメリカンスタイルなら、コーラは必須か。

 多分影響を受けたシーンにコーラがあったことを思いだして、出し忘れたことに気づいたんだろうな。

 コーラか。

 確実に合うだろうな。

 コーラと、ピザ。コーラと、チキン。

 確定でおいしい組み合わせだよな。


「コーラもあるのか。ジャンキーだな」


 母が、コーラとコップを持ってきた。

 母は、3人分のコーラを注いでくれた。

 俺とふみは、ピザとか、チキンを持ってベタベタな手で、コップを持ち、一気にコーラをあおった。

 しみる。

 しみるぅう。

 これは、うまい。

 油っぽくなっていた口の中をコーラの甘さが洗い流してくれた。

 ふみは、しみると聞こえてきそうな表情をしながら言った。


「コーラが合うわね」


「これは暴力的なおいしさだな」


 俺たちが、コーラのうまさに驚いている横で、母は、ピザとかを食べ始めていた。

 母はニコニコでピザを食べながら、言った。


「なんか、アメリカっぽさが出ていていいわね」


 俺はチキンを食べながら答えた。


「チキンの方もかなりうまいな」


 答えにはなっていなかった気がするけど良い。気にしない気にしない。


「おいしいね」


「思っていたよりおいしいわね」


 それから、黙々と食べるタイムに突入した。

 あまり会話もなく、黙々とピザとチキンを食べ進めていった。

 母は常時にっこりとしていた。映画で見たシーンを再現できてうれしいのだろう。

 ふみは、ただただうまそうにピザとチキンを食べていた。

 たまに、コーラをあおる姿が、おっさんぽく見えたとか見えなかったとか。

 しばらくして、ピザもチキンもなくなってきたころ、俺たちは会話を再開した。


「2人は、今日は、なにかあったの?」


 母の質問にまずは、ふみが答えた。


「私は、樹璃と一緒に、宿題を全力でやりつつ、VRの設定をしていたわ。VRの設定はなんとかなりそうだけど、宿題を一気にやるのはかなり大変だね」


 2つを同時にやるのは大変だよな。

 俺は、先週の地獄を思い出していった。


「今どんだけ頑張るかで、夏休みにどんだけAPOができるかが決まるからな。頑張れ」


 母は、ふみの話をうんうんと頷きながら聞いた後、少し考える仕草をしてから言った。


「宿題をちゃんとやっているなら、言うことはないわ。宿題が終わったなら、夏休み中ゲームをしてても良いけど、最後の方に、ちょっとは勉強をしておきなさいよ。新学期に入った後から勉強の感覚を取り戻すのは大変だろうし」


「分かったわ。ささっと終わらせてAPOを頑張るわ。後発組をあっと驚かせてみせるわ。新学期のことは、夏休みの後半に考えるわ」


「久は、なにかあった?」


 俺は、堂々とAPOの話をした。

 まぁ、1日中やっているのだから、APOの話かできない。


「基本的にずっとAPOをしていたな。APOの中だったら、あったぞ。俺たち3人が、一番に次の町に続くボスを倒して、一番乗りで次の町に着いたんだ」


 母は、決して俺がやっていることを否定せずに、うんうんと頷きながら聞いた。

 その後、ふみの時と同じように、少し考えるような仕草をした後言った。


「それがどのくらいすごいのか分からないけど、久が自慢するぐらいだからかなりすごいのよね。頑張っているのね」


 ふみは、心配そうに言った。


「お兄ちゃんって、そんなガチ勢だったっけ? 私たち、ガチ勢のお兄ちゃんたちと一緒にやっていけるかな? 足を引っ張りそう」


 不安がっているふみの誤解を解くため、諭すように言った。


「ガチ勢な訳じゃないぞ。ただ、好きなことをやっていったら、ちょっとだけ運がよかっただけだ。エンジョイ勢だから、足を引っ張ったとしても、楽しければ大丈夫だぞ」


「そうなんだね。それを聞いて安心した」


 俺は、夕飯がおいしすぎて忘れていた、ふみのクランへの勧誘を思い出した。

 そして勢いのまま、ふみをクランに勧誘した。


「あ、そうだ。ふみ、俺たち3人でAPOないのクランっていうのを設立したんだけど、よかったら入らないか?」


「それは、私だけ? それとも、樹璃と一緒に? それとも、後から始める子も含めて私たち全員?」


「どれでも良いぞ。どれで入ってもらってもかまわない」


「じゃあ、みんなと相談するね」


「相談するなら、うちのクランのことをちゃんと伝えておいた方が良いよな。じゃあ、説明をするぞ」


 俺は、うちのクラン”『最古の』クラン『ファースト』”の説明をふみにした。

 今のメンバーから、どんな人が入るかもしれないか、どんな方針で活動していくか、どんな空気感かなど細かいところまで詳細に伝えた。


「っていう感じのクランだ」


 俺の話を聞いたふみは目を輝かせながら言った。


「私的には、楽しそうだから入りたいかな! まぁ、みんなと相談して決めるね」


「そうしてくれ」


 ニコニコしながら俺とふみの話を聞いていた母が言った。


「ちんぷんかんぷんだけど、子供たちが楽しそうにしていて、私はうれしいわ」


 それから、残っていた遠慮の塊チキンを平らげ、夕食はお開きとなった。


「じゃあ、ごちそうさま」


「「ごちそうさまでした」」


 立ち上がってベタベタの手を洗いに行こうとしたところで、母に話しかけられた。


「久は、この後もAPO? なの?」


 俺は短く答えた。


「そうだよ」


「無理のない範囲でね」


「はーい」


 そう言って俺は、洗面所のところへと足早に向かった。

 手を洗った後は、すぐに部屋に戻った。





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