『クランの町フラッグ』観光 北の監視塔 綺麗な景色 上ったということは下りなければいけないのだ。
階段を1段1段上っていくと、だんだんと、新鮮な空気を感じるようになっていく。
だんだんと、風を感じるようになっている。
俺たちは、展望台に近づいている。
直感的にそれを知ることができた。
トントントントントントトト。
俺たちは階段を上るテンポを上げていった。
俺たちは駆け足で階段を駆け上がる。
展望台はもうすぐそこだ。
俺たちは、階段を駆け上がり、展望台に着いた。
階段を上りきり、展望台に着いた瞬間、コルドが叫んだ。
「階段がない!」
それに続いて、ローズが叫んだ。
「壁がないわ!」
最期に俺が叫んだ。
「展望台だ!」
展望台からの景色を見る前に、やっと展望台に来れたという感動で叫んでいた。
展望台は、半径1メートル強の円になっていた。
展望台は胸ぐらいの高さの壁と同じ石の塀に囲まれていて、きちんと屋根もついていた。
屋根を支える柱は、塀についているのではなく、展望台の内側に、6本刺さっている状態だ。
わかりやすく言うと、足がいくつもあるパラソルみたいな屋根になっている。
だから、ある程度前に出れば、屋根の柱によって、視界を遮られることはない。
屋根と塀の間の空間から、360°自由に見ることができるようになっている。
3人が並んで景色を見るには十分な空間だ。
展望台に来たという喜びに浸った後、俺たちは、展望台の町側の景色を眺めた。
「うぉお」
思わず声が漏れるぐらい綺麗な景色がそこに広がっていた。
小さく見える家々。
サイズ感は、ジオラマとかスケールモデルよりは大きく見えるけれど、実際の建物よりは小さく見える。それぐらいの絶妙なサイズ感だ。
道や家などが、町の北側を中心によく見える。
人は、1人1人だとあまり見えないが、ある程度の人数がいる場所はなんとなく分かる。
南側など他の方の家などは、上からというよりも、斜めから見ることになるので、屋根は見えるけれど、道までは見えない。
斜めから見る景色もそれはそれでいい。
それも良い味を出している。
「うぉお、すげぇ!」
「綺麗ね」
「良い景色だな!」
「ジオラマみたいだな」
「夕暮れが見えるわね」
「綺麗な夕暮れだな!」
夕日が差した町並みは、とても綺麗で、まるで映画のワンシーンのようだった。
俺は、町並みを見て感動した。
思わず見入ってしまうぐらいには感動した。
しばらく、無言で町並みを眺める時間が続いた。
多分2人も感動で思わず見入ってしまったのだろう。
感動も落ち着いてきた頃、俺たちは再び話し出した。
「もうすぐ、夜って感じだな」
だんだんと夕日が小さくなっていく。
その様子を眺めながら言った。
「今は、6時05分だって!」
もう6時か。
そんなに経ったのか。
景色を眺めつつそんなことを思ったら、感動がぶり返してきた。感傷に浸った俺は、今日の振り返りをし出した。
今日はいろいろあったな。
朝は、けんけんぱさんに会ったところから始まり、喫茶店に行ったりもしたな。
午前中は、特訓として、『ビッグラビット』の周回をしたな。
あれはあれで楽しかったな。
午後は、『ビッグボスゴブリン』に挑んで、それに勝って、この町に来たな。
この町に来てからも、クランをつくったり、本拠地に行ったり、観光もしたな。
昨日とか、一昨日もそだったけど、APOを始めてから、かなり濃い1日を送っているな。
俺は、頭の中では今日を振り返りつつ、町の景色を見て、2人と会話を楽しんだ。
「もういい時間なのね」
「もうすぐ、夕飯の時間だな」
「明かりの感じも良いな!」
「現代的な町のビカビカした感じじゃなくて、ほどよい明かりで照らされているのが良いな」
「良い景色ね」
「思ったより高いな!」
「こんなに上から見えるものなんだな」
こんなに良い景色を見たら、話すことがつきない。
どんどんと話したいことが出てくる。
それは2人も一緒のようで、なかなか会話が途切れることがない。
「1個1個の家が小さく見えるわね」
「高所恐怖症とかじゃなくてよかったな!」
「かなりリアルに高いところにいる感覚があるから、高所恐怖症とかじゃなくても、少し怖いな」
「景色も、風の感じも、高いところにいるというちょっとした恐怖感も、すべてがリアルよね」
「このちょっと冷たい風は、高いところだからかな? それとも、もう夜が来る時間帯だからかな?!」
「どっちもじゃない?」
「こういう細かいところまで再現されているのがすごいよな!」
「あぁ、良い景色だな」
ローズが、後ろを振り返って言った。
「こんなに良い景色なのに、誰もいないのね」
「まぁ、あの長い階段を上る手間があると思うと、尻込みしちゃうよな!」
確かにそうだな。
この景色を見れると思うと、上る価値はあると思うけど、あの階段を上らなければいけないと思うと、なかなか足を伸ばそうとは思わないよな。
あの階段さえなければ、完璧な観光名所なのにな。
あとはそもそも、観光地というより、領兵の職場を見学する場所としての側面が強いのかな?
俺たちは、ゲームとしてこの世界に来ているから、ぐいぐい行けるけど、普通の住民の人たちは、軍事的、保安的な施設に景色を見たいからと言う理由で入ろうとはしないのかもな。
それもありそうだな。
「それはそう」
「確かにそうね」
「階段さえ短ければな!」
「まぁ、でも長い階段じゃないと、こんなに高いところからの景色は見えないわね」
「それなら、エレベーターが開発されてほしいな。魔法の力で」
「それいいな!」
「ぜひ、そうしてほしいわね!」
通知が来た。
なんだろう?
誰かからメッセージが来たのかな?
そう思ってメッセージを開くと、ゲーム外から妹がメッセージを飛ばしてきた。
妹からのメッセージということは、ご飯の合図かな?
ここでログアウトしたら、次ログインしてきたとき、階段を降りていく気力が湧かなさそうだな。
そう思いながら、妹からのメッセージを表示した。
妹
To自分
ヘイ、ブラザー。
あと20分ぐらいでご飯だよ。
すぐにログアウトできる状況じゃないかもしれないから、事前に伝えることにしたよ
早く戻ってきてね!
なんか妹のテンション高いな。
何か良いことがあったのかな?
それとも今日の夕飯が豪華だからテンションを上げているのかな?
20分後か。
それはありがたいな。
かなりありがたいな。
ここでログアウトしなくていいのなら、降りれるな。
それに、20分もあるなら、その後に『乗合馬車』に乗ってその中でログアウトというのできそうだな。
その配慮かなりありがたいな。
そのゲーマー的にはありがたい配慮、どこで身につけてきたのかな?
あいつ、ゲームとかそこまでするタイプじゃなかったよな。
そんなことを思いながら、俺は2人に妹からメッセージが来たことを伝えた。
「妹から連絡来た。20分後ご飯だって」
「今すぐじゃないんだな!」
「今すぐはログアウトできない状況かもしれないという配慮だって」
2人も、2人も今すぐじゃないということに驚いていた。
「ゲーマーの発想みたいな良い配慮ね。ふみちゃんってゲームをよくやるタイプだっけ?」
「あまりやらないはず。たまに友達とパーティーゲームをやるぐらいだったと思うぞ」
「それなのに、この配慮ができるってすごいな!」
「すごいわね、ふみちゃん」
「じゃあ、そろそろ降りるか」
「もう満足したし良いぞ!」
「観光を切り上げるのは、いいわ。でも、これからあの階段を降りるのね……」
「あ、そうだったな……」
「気合いを入れていくしかないぞ! でも、降りたくはないな……」
「「「はぁ……」」」
俺たちは、綺麗な景色に背を向けて、階段へと向かっていった。
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