『ファースト』の本拠地 雑談と、いざ観光へ!
俺は集合時間の10分前には、1階のリビングに降りてきた。
手持ち無沙汰だから降りてきたわけではない。
やることなんて見つけようと思えばいくらでもある。
手持ちの素材の整理とか、ステータスの確認とか。
まぁ、緊急性のあるものは何一つないけど。
1人でいるのが寂しくて降りてきたわけでもない。実はもう誰か降りてきてたりしないかな? などとは思っていない。
ただ、リビングでくつろぎたかったから降りてきたのだ。
リビングでソファに座り、のんびりしていた。
たまに、リビングの風景を『写真』スキルを使って撮影したりもしていた。
集合時間の1分前になり、コルドとローズが一緒に降りてきた。
「オクツもう居たんだ!」
「まだ部屋にいるのかと思ってたわ」
「リビングでゆっくりしたかったから、ちょっと前に降りてきたんだよ」
話をしながら、コルドとローズは、それぞれソファに腰掛けた。
俺たちは、それぞれがデカいソファに座り、背の低い机を囲んで話し出した。
「クランにもらった称号の詳細見た?」
「見たぞ!」
「見たわ」
2人も確認していたみたいだ。
それなら話が早い。
俺は率直に2人の意見を聞いた。
「『最古の』と『最初の』どっちがいい? 俺は、『最古の』派だぞ」
「私も、『最古の』派ね」
「俺は『最初の』派だ!」
コルドと、俺とローズで意見が分かれた。
俺とは違う意見のコルドにまず理由を聞いた。
「コルドは何で、『最初の』派なんだ?」
「『最古の』には”クランのレベルアップに必要な経験値が増加する。”っていうデメリットがあるけど、『最初の』にはデメリットがついていないから! 逆に、ローズとオクツは、なんで『最古の』派なの?!」
デメリットか。
確かにそれはそうだな。
デメリットがある中で、それを超えるメリットなのかどうかわからないなら、『最初の』の方を選びたくなるよな。
それはそれとして納得したけれど、やっぱり俺の意見は変わらないな。
俺は、コルドに自分の意見を言った。
「俺は、『最初の』の方は、”減少する”っていうふわっとした表現だけど、『最古の』の方は、”クランレベル×1%上昇する”という、明確な数値が出ている表現があるから、どちらかというと、『最古の』の方が好きだな」
続いてローズもコルドに言った。
「メリットもデメリットもある効果の方が、ロマンがありそうじゃない? クランバフが、どんなものかわからないけど、デメリット付きの効果の方が、強力な気がするわ」
「確かに、ロマンはありそうだな! でも、必要経験値増加って大変そうじゃないか?」
コルドは、ローズの意見の方が刺さったみたいだ。
まぁ、好みは人それぞれだよな。
意見を聞いて『最古の』の方によってくれるのは良いんだ。良いことだ。
ローズ、説得頑張って!
「私たちなら、なんとかできそうじゃない? なんとかならなくても、ゆっくりやっていけば良いじゃない」
「それもそうだな!」
「何より、『最古の』ってフレーズがめちゃくちゃかっこいいじゃない!」
「それはそうだな! じゃあ、『最古の』でいいぞ!」
ローズによるコルドへの説得により、『最古の』に意思がまとまった。
よかったよかった。
さぁ、さぁ、早く早く、変わらないうちに会話を切り上げてしまおう。
そう思いながら、話を切り上げた。
「じゃあ、『最古の』にするな」
『最古のor最初の』の詳細から、『最古の』を選択した。
すると、プロフィールのクランの欄の表示が、”クラン『ファースト』”から、”『最古の』クラン『ファースト』”に変改していた。
それ以外の変化は実感できなかった。
クラン馬太やらはどうやって使うのだろう?
後で、ちゃんともらった冊子を読まなきゃだめだな。
いつも説明書をよく読まずにいろいろするから、見落としが多いんだよなぁ。
気をつけなきゃなぁ。
2人に、『最古の』を選んだことを伝えた。
「『最古の』クラン『ファースト』にしておいたぞ」
「「はーい!」」
この本拠地って、外から見た感じより横幅がかなりあるよな。
何でなんだろう?
縦もかなりデカいよな。
外から見たらそこまで大きい建物には思えなかったけど、12部屋もあるなんてかなりの広さだよな。
何でなんだろう?
俺だけだと正解にたどり着けなさそうだったから浸りに聞いてみた。
「2階を見ていたときも思ったけど、ここってそんなに広くないよな?」
「まぁ、ゲームだし、空間を広げているんじゃない?」
確かにそれはあり得るな。
感覚とか、かなりリアルにできているけど、APOはあくまでゲームなんだし、外装と内装の大きさが合わなくたって良いのか。
APOは、かなり現実に忠実につくっていると思ってたけど、そういうものなのかな?
まぁ、わかったところで、どうということはないけどな。
「まぁ、ゲームだしあり得るか」
「確かに、広すぎるよな! 12人が住めるんだな!」
「さっきも言ったけど、それを超えたらどうするのかしらね?」
さらっと話題が変わってしまった。
まぁ、8割方自分の中で納得していたから良いけど。
許容人数を超えたら、この建物を中身だけ大きくすれば良いんじゃないのかな?
「もしかしたら、空間が広がって、部屋数とかが増えるのかもな」
コルドが、眼鏡をくいっとする動作をした後、自信ありげに言った。
ちなみにコルドは、眼鏡をしていない。
「さっき部屋で、ざっと冊子を読んだんだが、建物を買えば、支部というものをつくれるらしいぞ!」
へぇ、支部か。
ということは町中の建物って買うことができたんだな。
知らなかった。
じゃあ、『始まりの町』の方に拠点をつくったりもできそうだな。
コルドは、ちゃんと冊子を読んだんだな。
俺もちゃんと冊子を読まなきゃなぁ。
いつまでも手探りじゃあだめだよな。
改めて、冊子を読もうと思った。
「じゃあ、あふれた人たちは、そこで生活するのかしらね」
「建物っていくらぐらいの値段するんだろうな?!」
「どうなのかしらね」
「どうなんだろうな」
話の勢いが収まってきたところで、今後の予定について相談した。
「一通り『ファースト』の本拠地を見たけど、この後どうする」
ローズが胸を張っていった。
「観光一択ね」
「そうだな!」
観光することに誰も異論はないみたいだ。
まぁ、町に入る前から観光したいと行っていたし、文句はない。
俺も観光したいし。
MMOなのに、誰もプレイヤーがいない町を散策できるなんて、すごく贅沢なことだよな。
今後できるかどうかわからないな。
次のパーティーがこの町に来るまでの期間限定だと思うと、より観光がしたくなってきた。
「3人で動く? それぞれで動く?」
「そういえば、昨日、一昨日と、個人行動の時間があったけど、今日は個人の時間作ってないな!」
そういえば、今日は朝以外は基本3人で行動しているな。
まぁ、元々3人でやるために始めたゲームだし、問題はないか。
そもそも、3人でいる方が楽しいからな。
1人だったのは、さっきの30分ぐらいだな。
「どっちでも良いわよ」
「じゃあ、今日は3人で動くか」
「いいぞ!」
今日の観光は3人で行うことになった。
この町には、どんな面白いものがあるのかな?
スキルガチャみたいな面白いものがあるのかな。
そもそも、始まりの町ですら、完全に楽しみ尽くした、知り尽くした気がしないけど、その倍以上あるこの町を楽しみ尽くす、知り尽くすことはできるのかな?
どんな良い店があるのかな?
俺的には、家具屋があると良いな。
後は、良い感じの喫茶店とかもほしいな。
「じゃあ、早速行きましょう!」
俺たちは、ソファから立ち上がり、玄関へと向かった。
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