『ファースト』の本拠地 三階自室
階段を上り次の階まで来た。
2階の時と同じように、俺たちの前には、扉がある。
この扉が俺たちと、3階を隔てている。
コルドが、上を見ながら言った。
「これ以上、上の階はないんだな!」
「この建物は3階建てなんだな」
「もしかしたら、隠し扉から4階に行けるみたいなのがあるかもしれないわね」
「それは面白そうだな!」
扉の前での話が思いのほか盛り上がってしまった。
俺はその話を繰り上げて、扉を開いた。
「まぁ、いつまでもここにいても仕方がないから、さっさと扉を開けるぞ。楽しい話は、3階では離そうぜ」
扉の先には、長い1本の廊下があった。
廊下は、人が十分すれ違うことができる幅。
その廊下の左右の壁に、ずらっと扉が並んでいた。
「3階は個室って感じか?」
その光景がビジネスホテルっぽく見えたから、俺はそうつぶやいた。
「廊下の両端に扉がある感じが、ホテルっぽいな!」
コルドも同じことを思ったらしい。
ビジネスホテルっぽいよな。
そう思うよな。
俺はコルドの発言にうんうんとうなずいた。
ローズは、元気よく言った
「何部屋か見てみましょう!」
俺たちは、コルドに引っ張られる形で、3階に出て、一番近い左側の扉を開けた。
扉の奥には、個室が広がっていた。
大分広めの個室。
普通の家のリビングぐらいの広さがある。
内装は、ベッド、机、クローゼット、昔の旅行鞄みたいな収納箱。
シンプルな内装は、初期装備って感じがした、
そのシンプルな内装が、かなり余裕を持っておかれていた。
これは多分、個人個人が、家具とかを買ってカスタマイズするやつだな。
自分の部屋をどんな部屋にしようか、今から想像が膨らむな。
ビジネスホテルみたいに、部屋に浴槽やトイレなどはついてないみたいだ。
「ベッドに机、クローゼット、宝箱って感じのシンプルな内装だな!」
「想像よりかなり広いな」
「部屋の広さ的に余裕があるから、個室もカスタマイズ性が高いわ」
俺は、椅子に腰掛けて、ローズは客用の椅子に腰掛けて、コルドはベッドに腰掛けて話をしていた。
個室の中で、離しているうちに、いつの間にかコルドが部屋からいなくなっていた。
それに気づいて、コルドを探そうとしたところで、コルドが、部屋の入り口の方から叫んだ声が聞こえた。
「隣の部屋も同じ内装だったぞ!」
コルドはどうやら1人で、隣の部屋を見に行っていたらしい。
抜け駆けか?
それはちょっとずるいな。
でも良い情報をもらったから、許すとしよう。
「そうなのね。初期状態はどこも同じなのかもしれないわね」
コルドは戻ってきたと同時にベッドにダイブした。
何でこんな存在感があるコルドが、部屋から出て行ったのにすぐに気づかなかったんだろう?
「何部屋あるんだ?」
俺たちのいる部屋に戻ってきたコルドに聞いた。
コルドは、何かを思い出しながら数える仕草をした後、自信たっぷりに言った。
「ざっと12部屋!」
「1人1部屋は確保できるわね」
俺たちは、俺たちの分の部屋割りをすることになった。
まず俺が2人に聞いた。
「じゃあ、どこの部屋がいい?」
するとコルドが、はい! はい! と手を上げながら言った。
「俺は、階段上がって、すぐ左! つまり、ここ!」
コルドはこの部屋が気に入ったらしい。
だれも「ちょっと待った!」といわなかったので、コルドがこの部屋で確定した。
まぁ、新しい部屋が何個もあるのに、わざわざ人がベッドにダイブした部屋は選ばないよな。
コルドに続いて、ローズも手を上げながら言った。
「じゃあ、私は、ここの正面の部屋にするわ。コルドの正面の部屋、階段上がってすぐ右の部屋ね。入り口から近い方が楽だし」
俺が、「ちょっと待った」を言わなかったので、ローズの部屋も確定した。
さぁて、俺はどこの部屋にしようかな。
今埋まっているのは、扉を出てすぐの左右一部屋。
俺もなるべく出入り口から近い方が良いから、コルドの部屋の隣か、ローズの部屋の隣かな。
どっちにしようかな。
俺は悩んだ末に結論を出した。
「それなら俺は、コルドの隣の部屋にするわ」
これで、3人の部屋が決まった。
残った部屋は、クランに入ってくる人に残しておこう。
もし誰も入ってくれないとなったら、3人で分け合おう。
誰かしら入ってくれると思うけど。
「じゃあ、おのおの部屋をいじる時間にしようぜ!」
「じゃあ、だいたい30分後の3時に1階のリビング集合ね」
部屋での自由時間かぁ。
30分で名にしよう。
今、手持ちのものを飾っても1分で終わっちゃうなぁ。
まぁ、それは部屋に行ってから考えればいっか。
「じゃあ、解散」
そう宣言してすぐ、俺とローズは、コルドの部屋から追い出された。
俺は、コルドの部屋から出て、隣の自分の部屋に入った。
俺の部屋も、さっきまでいたコルドの部屋と同じ作りをしていた。
まぁ、そういうもんだよな。
どうしようかなぁ。
何かかざるものあったかな?
そう言ってストレージを物色しだした。
1分ぐらい物色した末に、俺はゴブリンからドロップした棍棒を壁に飾っておいた。
まぁ、さすまたみたいなものだな。
防犯って大事だよな。
そう思いながら、棍棒を飾った。
棍棒を置いたら、やることがなくなってしまった。
手持ち無沙汰になった俺は、ベッドに腰掛けて、確認していなかった称号の詳細を確認することにした。
まずは、『ビックボスゴブリン』を倒してもらった称号から。
詳細はこんな感じだ。
『旅立ち』
この世界に生まれて、最も早く町から旅立ったものに与えられる称号。
獲得条件:ワールドで初めて『ビックボスゴブリン』を討伐する。
町の外で行う戦闘でのダメージ増加10%
戦闘なんて、基本町の外でするものだし、縛りはあってないようなものだな。
町中での戦いなんて、対人戦ぐらいだな。
これは、良い称号だな。
あって困るようなことはないし、常にダメージが10%増えると思うと大変ありがたいな。
ずっと活躍してくれる称号になりそうだな。
次の称号に行くか。
次のやつは、『クランの町フラッグ』に入ったときのもらった称号だ。
詳細はこんな感じ。
『旅人』
この世界に生まれて最も早く、町から町へ移動したものに与えられる称号。
獲得条件:ワールドで初めて2つの町に入る。
町中で、幸運が訪れることがある。
これは、ざっくりとした効果だな。
さっきの『旅立ち』と似たような名前なのに、こんなにも効果が違うんだな。
まぁ、デメリットもないし、あって困ることはないだろう。
でも、これはなくて困ることはなさそうだな。
大分ざっくりとした効果だし、これは、ほとんど記念称号的なやつなんじゃないかな?
最期に、クランを設立したときに、クランに与えられた称号を見てみよう。
クランに称号ってどういうことなのかな?
詳細はこんな感じだ。
『最古のor最初の』
この世界で最も早く設立されたクランに与えられる称号。
獲得条件:ワールドで初めてクランを設立する。
称号は、クランの前につき、”〇〇のクラン『〇〇』”となる。
効果と名称は、『最古の』と『最初の』から選択でできる。
『最古の』
クランバフの効果が、クランレベル×1%上昇する
クランのレベルアップに必要な経験値が増加する。
『最初の』
クランのレベルアップに必要な経験値が減少する。
へぇ、こんな効果なんだ。選べるのが面白いな。
クランの前につく称号なんだ。もしかしたら、俺たちの称号も名前の前とかにつけられたりするのかな? つけられるとしたら、それはそれで面白そうだな。つけられるとしたら、名前的には『旅人』が一番かっこいい気がするな。『旅人』オクツが一番良いかもな。
クランの称号、これは、2人と相談して決めなきゃな。
せっかくもらったんだし、どっちかはつけたいな。
俺的には、『最古の』の方が好みだな。
クランバフが何かわからないけど、そっちの方が強そうだし。
それと、”最古の”って名前がかっこいいし。
これは、下に降りたときに2人に聞いてみよう。
2人はどっちを選ぶのかな?
俺はそれからしばらく称号を眺めたり、『ビックボスゴブリン』のドロップ品を眺めたりしながら自室で過ごした。
30分近くこの部屋にいて、この部屋が俺に馴染んだ気がする。
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