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『ファースト』の本拠地 エントランス

 俺たちは、ギルドを出て、もらった地図を頼りに俺たちクラン『ファースト』の本拠地へと向かっている。

 俺は、もらった地図とにらめっこしながら、2人に話しかける。


「クランできたな」


「全然実感ないわね」


 俺は地図を見ながらも、うんうんと大きくうなずいた。


「活動していけば、実感が出てくるかもな!」


 2人とも、クランができた実感がないらしい。

 俺もだけど、書類だけだと実感が湧かないよな。

 まだ、ギルドカードに書かれた、クラン『ファースト』の文字だけじゃ、実感が湧かないよな。

 そういうもんだよな。


「本拠地を見たら、実感が湧くかもな」


「それもあるわね」


「本拠地、どんな建物だと思う?!」


 どんな建物かかぁ。

 この町の雰囲気的に、西洋式の建物なんだろうなぁ。

 いわゆるファンタジー世界の建物だと思うんだよなぁ。

 和風な家とか、中国風とか、どこかの民族風とかではないと思うんだよな。

 本拠地の場所も、ギルドに行く前に大樹の広場に行ったときに、見えていたであろう場所だから、もし本拠地の建物が、町並みから大きくはずれた建物だったら、そのときに目にとまっているはずだし。

 ファンタジー世界の建物だとして、事務所系とか、民家系とか、豪邸系とか、どれなんだろうな?

 本拠地ってことだし、事務所みたいな建物なんじゃないかな。

 そんな建物、あの大樹の広場の周りにあったかな?

 記憶を掘り起こしても出てこないな。

 まぁ、1つ1つの建物を詳しく見ていたわけでもないんだし、仕方ないか。


「がっちりとした事務所みたいな場所なんじゃないかな?」


「私は、逆に普通の民家なんじゃないかと思っているわ」


 ローズは、民家派なんだな。

 確かに普通の民家も良いな。

 普通の民家から、どんどん豪華にしていく、成り上がりみたいでいいな。


「これからずっと使っていく本拠地だから、落ち着いた建物が良いな!」


「確かにそうだな」


「見てからのお楽しみね」


 まだまだ地図とにらめっこしながら歩いている。

 左右をローズとコルドに挟まれているから、人にぶつかるということもない。

 ながら歩きはよくないけれど、なんとかなっている。

 俺は、地図を見ながらも2人と雑談を続けている。


「クランのお誘いいつにする?」


「夕食後とかでいいんじゃないか?! この町の観光とかもしたいし!」


「そうね。この町を一通り見て回ってからでいいと思うわ」


 夕飯後か。

 確かにその辺りならみんな居そうだな。

 それに、それならまだ何時間もこの町の観光をできそうだしな。

 いし! じゃあ、夕食後にするか。

 俺たちの夕食は少し早めだから、夕食後、少しぶらぶらしてからフレンドのみんなに会いに行く感じになりそうだな。


「じゃあ、夕食後に、『始まりの町』に戻って、勧誘しよう」


「確か、『乗合馬車』って、乗合馬車の中でログアウトしたら、そのまま乗っている判定になって、次ログインしたときには、目的地についているみたいなこともあるらしいぞ!」


 へぇ、そんな機能があるんだ。

 知らなかった。

 というか、コルドはそれをどこで知ったんだろう?

 詳細の方には書いてなかったと思うんだけど。

 もしかして俺が何か見落としているのかな?

 まぁ、見落としてたとしても、今コルドに教えてもらったんだからいっか。


「じゃあ、夕食前に、『乗合馬車』に乗ってからログアウトしましょう。そっちの方が数十分時短になるでしょ」


「「了解」」


 これで夕食後の予定が決まったな。

 今日は、観光して、夕食後にいろんな人をクランに勧誘して、会議して寝る。

 その予定でやっていこう。

 しばらく雑談しながら歩いていると、目的の本拠地の場所に着いた。

 場所は、大樹の広場を囲う建物の1つ。

 それの北側にある建物だった。

 家を出てすぐに大樹の広場がある。そういう立地だ。

 地図が指し示す場所には、立派な民家が建っていた。

 俺が予想していた、事務所型ではなく、ローズが予想していた、民家型の本拠地だった。

 少し悔しいな。

 町の雰囲気に合った、西洋ファンタジー風の家。

 物語の主人公が住んでいそうな家だった。


「ここか」


「普通の民家みたいだな!」


「安心感があるな」


「帰ってくる場所感があっていいわね」


 おのおの感想を言い合った。

 拠点としては、どうかはわからないが、民家としては100点の外観をしている。


「早速中に入るぞ」


「「はーい」」


 全体像を見るため、引き気味に本拠地を見ていた俺たちは、扉の前まで来た。

 俺は扉の前に立ち、ドアのシステムを見て言った。


「ギルドカードを当てて、鍵を開けるんだな」


「これならセキュリティー万全だな」


「「「おじゃましまーす」」」


 そう言いながらギルドカードをかざして、扉を開いた。

 扉の先には、西洋風の玄関があった。

 俺たちは思わず声を上げた。


「「「おぉー」」」


 玄関に入り、ドアを閉めてた。


「中も和風の家ではなく、洋風な家なんだな」


「日本っぽくない玄関ね」


「これは土足で上がるものなのか?」


「洋風な家だしそうなんじゃない?」


「まぁ、とりあえずそのまま入ろうぜ!」


 俺たちは、靴のまま、部屋に続いているだろう次の扉を開いた。

 扉の先には、リビングっぽい部屋があった。

 リビングと言うには少しきっちりとしすぎた印象がある部屋だ。

 広さとしては、15,6人がいても窮屈に見えないぐらいの広さだと思う。

 インテリアは最小限。

 装飾的なものはなく、必要最低限のものが置いてある状態だ。

 大きめのソファ2脚に、1人用のソファーが4脚、そしてテーブルが2脚。


「こっちはリビングか。家具は最低限なんだな」


「リビングというより、エントランスって感じがするわね」


 確かにエントランスとかロビーという方がしっくりくるな。


「確かに、リビングよりもきっちりしている感じがあるな」


「ここに、新しく家具とかを配置できるのかもな!」


 家具かぁ。

 もしかしたら、この町には家具屋さんとかもあるのかな?

 家具屋っていいよね。

 あの雰囲気好きなんだよな。

 家具の善し悪しとかはあまりわからないけど、家具屋とか、インテリアを置いている店の雰囲気は好きなんだよね。


「内装をいじるの楽しみね!」


 ローズがわくわくした表情で言った。

 顔からわくわくがあふれている。

 ローズは、箱庭系のゲームとか、内装をいじる系のゲームが大好きだから、血が騒いでいるんだろう。

 ローズのプロデュースで、このエントランスがどんな姿に生まれ変わるのか楽しみだな。

 でも、アホみたいにお金がかかりそうだな。

 クランとしてちゃんと貯金しなきゃだな。

 それにしても、この部屋かなりきれいだな。

 汚れとか傷がないのはもちろん、ホコリとか空気のよどみまでない。

 今朝に大掃除でもしたみたいなきれいさをしている。

 これは、本拠には汚れの判定がないということなのかな?

 装備とかも汚れたことがないし、APO自体に汚れという判定がないのかな?

 それとも、本拠地を登録した瞬間に、この建物を急に掃除したのかな?

 俺たちが汚す可能性があるなら、丁寧に使わないとな。

 掃除とかが必要なら、少し面倒だな。

 こっちでも掃除をする必要があるのは嫌だな。

 どうか、汚れるという判定がないことを祈ろう。


「埃っぽいとかもないな」


「きれいに掃除されているな!」


「汚れっていう判定がないのかもね」


 俺はふと思ったことを2人に聞いた。


「なぁ、ここって玄関必要だったか?」


 靴を脱ぐわけでもない、何かがあるわけでもない玄関をわざわざつくる必要ってあるのか?

 エントランスとかロビーで十分なんじゃないか?


「まぁ、そういう作りなんでしょ」


「熱とかを入れないためとか逃さないためなんじゃないか?! あとは、玄関を開けたときにエントランスが全部見えないようにと言うプライバシー的なやつなんじゃないか?!」


 確かにそれもあるな。

 そういう理由で必要だったんだな知らなかった。

 コルドはどこでその知識を仕入れてきたんだろう?

 それから俺たちは、エントランスのソファでくつろいでみたり、雑談をしたりした。

 エントランスの使い心地を確かめた後、俺たちは重い腰を上げた。


「次の部屋を見るか」



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