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『クランの町フラッグ』 道中、雑談中

 しばらく雑談した後、コルドが重い腰を上げた。


「そろそろ、次の町に行くか?!」


 その言葉を皮切りに、俺とローズも立ち上がった。


「そうね。ここで話しているのも楽しいけれど、それ以上に次の町を早く見たいわね」


「じゃあ、行きますか」


「出発!」


 俺たちは、次の町『クランの町フラッグ』に向けて歩き出した。


「ここっからは、俺たちにとっては未知のエリアだ。どんな敵が出てくるかわからないんだし、慎重に行こう」


「「了解!」」


 俺たち3人は、3人横並びで歩いて行った。

 歩き出して数歩、俺が2人に聞いた。


「『クランの町フラッグ』ってどっちの方向に歩いて行けばいいんだっけ?」


 2人はこけそうになるのをなんとか踏みとどまった。

 コルドが優しく諭すように言った。


「街道がこっちに向かって進んでいるから、こっちだと思うな!」


 俺は、コルドの案内に従って歩いた。

 歩きながらも雑談をする。

 もちろん、どこから敵が出てきても良いように警戒はしているぞ。

 だけど、警戒しながら無言で歩くのはつまらないし飽きるから、雑談をしているのだ。

 俺が適当な話題を2人に投げた。


「そういえば次の町の名前って、『クランの町フラッグ』って言うんだな。知らなかったわ」


 ローズは俺の話をうんうんと聞いた後、言った。


「私も、『クランの町フラッグ』っていうのを、リザルトで見て初めて知ったわ」


 コルドはちょっとだけ自慢げに胸を張りながら言った。

 用意してきた知識を披露できるのがうれしいのかな?


「俺は、β版の時は、『クランの町フラッグ』っていう名前だったって言うことは元から知ってたぞ! でも、製品版も『クランの町フラッグ』って言うのは、リザルトを見て知ったぞ!」


 俺は、そこでふと思った疑問を2人に投げてみた。


「『クランの町フラッグ』の略称は、フラッグでいいのかな? それともクランの町って呼んだ方がいいのかな?」


 コルドは、かなり集中して考えているみたいだ。

 今、敵がコルドを襲ったら、気づかずにやられるんじゃないと言うぐらい真剣に悩んでいる。

 コルドは真剣に悩みながら言った。


「どっちなんだろうな?!」


 コルドの中で結論が出なかったみたいだ。

 まぁ、そういうときもあるよな。


「どっちでも良さそうではあるわね」


 どっちかを確定させるのは難しいな。善し悪しなんてなさそうだし。

 じゃあ、2人は個人的にはどっちが好きなんだろう?

 そう思ったのでそのまま聞いた。


「どっちがいいと思う?」


 すると、今度は悩むことなくコルドは答えた。


「俺はなんとなくだが、フラッグ派だな!」


 ローズもぱっと答えた。


「私は、クランの町派かな」


 へぇ、2人で意見が割れたな。

 まぁ、俺としては、心の底から、どっちでも良い派だな。

 理由が気になったので聞いてみた。


「意見が割れたな。2人は何でそっち派なんだ?」


「俺は、なんとなくフラッグの方が町の名前っぽいからだな! クランの町だと、なんか味気ない感ずがするな!」


 確かに、下の方が町の名前って感じがするな。

 〇〇の町って、その町は何が有名かを表しているだけな感じもするな。

 クランの町だと、味気ない感じもわかるぞ。

 納得、納得。

 続いて、ローズの『クランの町』派の意見を聞いた。


「私は、最初の町が、『始まりの町』だったから、次の町は『クランの町』って呼んだ方が、法則的だと思ったから、クランの町派だわ。それと、フラッグって呼ぶと、私は、一瞬町の名前かどうかがピンとこないって言うのも理由ね」


 こっちも、納得だわ。

 確かに、最初の町が、『始まりの町』だったから、次の町を、『クランの町』って呼びたくなるのもわかるわ。

 フラッグって言われて町の名前に聞こえないっていうのもなんとなくわかるな。

 2人の意見を聞いたら、よりどっちでも良い派になったな。

 俺は話をまとめに行った。


「どっちの意見も納得できたし、まぁ、どっちで呼んでも良さそうだし、好きに呼ぶことにしよう」


「そうだな」


「そうね」


 うまくまとめられたみたいだな。

 それにしても、こんな適当な話題でこんなに盛り上がるんだな。雑談ってどうなるかわからないよな。

 こういうどうでも良いことを話している時間って、真剣に戦闘をしたり、生産をしたり、何かを選んでいる時間並に楽しいよな。

 要は、APOをやっているときはずっと、最高に楽しいよな。

 APO始めてよかった。

 そう思いながら次の話題で雑談をしている。



 歩き始めて約10分。

 たまに現れる、『始まりの町』側よりも少し強いゴブリンを倒しつつ、雑談をしながら街道を歩き続けた。

 未だに、『クランの町フラッグ』が見えてこない。


「まだ、町が見えてこないな! 歩いてみて思ったけど、町と町がこんだけ離れてたら、町の行き来が大変そうだな!」


 コルドが少しだけ疲れた顔を見せながら言った。

 確かに、こんだけ離れてたら、気軽に移動しようとは思わないよな。

 現実で、30分の移動はさほど長く感じないけど、ゲームの中で徒歩で移動する30分は、とても長く感じるな。

 無心で走り続ければと思ったけど、無心で無警戒に走り抜けたら、トレインになっていろんな人に迷惑をかけそうだよな。

 移動時間が問題になりそうだな。

 まぁ、APOのことだから何か策があるんじゃないかな? って個人的には思っている。


「前線組と普通のプレイヤーで、2,3個町が離れちゃったら、プレイヤー同士の交流が大変そうね」


 確かに交流が生まれなくなるかぁ。

 それもあるなぁ。

 もっと近くに町があったら良いのになぁ。

 まぁ、そもそも、徒歩数分圏内に別の町を造ろうとは思わないよな。

 普通はもっと離すよなぁ。

 近すぎると邪魔だろうしなぁ。

 それよりも、歩きっていうのがなぁ、なんとなく、時間を長く感じさせている気がするんだよなぁ。

 何か移動手段がほしいな。


「何かしらの移動手段が用意されているんじゃない? 馬車とか」


「馬車か! ファンタジー感があっていいな! 俺はやっぱりワープを推したいな!」


「それこそ、ファンタジーね。私は馬に乗ってみたいわね」


「とりあえず、徒歩以外の移動手段がほしいな!」


「「それはそう!」」


 話ながらも足を動かして、確実に進んでいった。

 出てくる敵を倒しながら進んでいるので、どんどん



 歩き始めて約15分。

 そろそろ町が見えてくるとうれしいな。


「そろそろ町が見えてくるかな?」


 そう言いながら遠くを見つめた。


「そろそろ見えてきてほしいわね」


 コルドが叫びながら何かを指さした。


「あれ、町じゃないか?!」


 コルドが指さした方向を見ると、なんとなく町っぽいものが遠くに見えた気がする。

 俺は感動しながら言った。


「町っぽいな」


「町だと思うわ」


「よし! ラストスパートだな!」


 小さく見えて来た街にテンションを上げた。


「プレイヤーのまだいない町かぁ。楽しみだなぁ」


 すると、ローズに怒られてしまった。


「オクツ、気を抜いちゃだめよ。ちゃんと町に着くまでが移動なんだから」


「はーい」


 町までは、後10分弱ってところかな?

 あと10分もしないうちに次の町に着くのか。

 楽しみだなぁ。

 あと10分ってことは、始まりの町から徒歩で1時間弱ってところか。

 そう考えると、かなり近いのか。さっきまであんなに遠い遠いと思ってたけど、待ち遠氏の距離としてはかなり近い方なのか?

 まぁ、徒歩で1時間弱のところに、町を造ろうとは思わないよな。

 相当、親切設計だったのかな?

 まぁ、でも、現実に比べて、こっちの方が身体能力も上がってるし、早く次の町に行きたいという気持ちから、駆け足気味になっていたし、現実での1時間弱でいける距離よりはもっと遠いのかもな。

 そうだとしても、相当近いんじゃないかな?

 実際、『始まりの町』と『クランの町フラッグ』ってどれぐらい離れているんだろう?

 さっきまであんなに遠く感じていた『始まりの町』と『クランの町フラッグ』の距離が一気に近く感じてきた。






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