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『ビッグボスゴブリン』リベンジ 『ビッグボスゴブリン』戦線復帰

 『ビッグボスゴブリン』戦の開戦から、15分強。

 俺は、ローズのところまで戻ってきた。

 『ビッグボスゴブリン』の方に注意を向けながら、今の状況をローズに聞いた。

 あれ? 『ビッグボスゴブリン』の挙動が少し変わった?


「ゴブリンの群れ倒し終わったよ! 今どんな感じ?」


 俺は、『ビッグボスゴブリン』に向かって、魔法を飛ばしたり、鉄球を投げたりしながら、ローズの話を聞いた。


「オクツ、戻ってきたのね! お疲れ様。今の状況は、『ビッグボスゴブリン』のHPで言うと、残り25%強ぐらいよ」


 8分弱で25%弱も削ったのか。

 前半のペースに比べたら落ちているけど、相当なペースだな。

 ペースが落ちる要因でも何かあったのかな?


「ペースは落ち着いてきた感じなんだな」


 飛ばした『ウォーターランス』が、『ビッグボスゴブリン』に着弾した。



 73ダメージ



 やけにダメージが低いな。

 『ウォーターランス』に続いて、鉄球も着弾した。



 36ダメージ



 鉄球もダメージ低いな。

 なんでなんだろう?


「前回の『ビッグボスゴブリン』戦だと、この50%切ったあたりで倒されちゃったから、今の状況は、前回経験してないところなのよ。経験してないところだから、慎重に進めてるの。そのせいもあって進捗が遅いわ」


 あぁ、確かにそうだな。

 慎重にやったら、無理ができないから多少はペースが落ちるのかな。

 今度は『ファイアランス』が『ビッグボスゴブリン』に着弾した。



 79ダメージ



 さっきから、『ビッグボスゴブリン』に当たった、魔法とか鉄球のダメージが異常に低いんだけど、何でなんだろう?

 ローズなら知っているのかな?

 『ビッグボスゴブリン』が何かしているのかな?


「そうなんだな。確かに、情報がないし、慎重に行った方がいいよな。それにしても、鉄球のダメージがゴブリンの群れを倒しに行く前より低いんだけど、なんでだろう? 原因わかる?」


 俺は、ローズの説明をMPポーションをあおりながら聞いた。

 そろそろ、ポーションの在庫が怪しくなってきたなぁ。魔法でMPを使うし、『生命変換』でHPを使うから、消費量が激しいんだよなぁ。


「『ビッグボスゴブリン』の残りのHPが30%を切ったぐらいで、行動パターンを変えて防御重視になったの。行動パターンが変わると同時に、『ビッグボスゴブリン』の防御力が上がって、全然攻撃が通らなくなったのよ。さっき言った、慎重になるっていうことと、『ビッグボスゴブリン』の防御力上昇で、30%から急激に勢いが鈍化したわ」


 へぇ、そんなことがあったんだ。

 だから、『ビッグボスゴブリン』の挙動がちょっと変だったんだな。

 よかった。俺の攻撃が突然弱くなってしまったのかと思った。

 みんな攻撃が通りづらくなっているんだな。安心した。


「『ビッグボスゴブリン』の防御力が上がったのか。それならこのダメージも納得だな。それに、行動パターンが変わったのか。前回は見られなかった挙動だな」


 ローズが冗談っぽく言った。


「マンネリ化してきていた戦闘にちょうどいいアクセントにはなったけど、それ以上に防御が堅くて困っているわ!」


 何球目かの鉄球が着弾した。



 防御貫通174ダメージ

 追撃19ダメージ


 そうか、『貫通』があれば、いいのか。

 『貫通』があれば、確率によるけど、防御力が上がった敵でも、対応できるな。

 それにこのスキルは、パッシブだからクールタイムとかを気にする必要もないし。

 防御力がない敵なんて、今のところ聞いたことないから、誰にでも効く有能スキルだな。

 俺は、『貫通』の有能さを再確認した。

 俺は、ローズに『貫通』をおすすめした。


「それなら、『貫通』ってスキルとってみたら? SP余ってるでしょ?」


「どんなスキルなの?」


 鉄球を投げながら、ローズに『貫通』の魅力をプレゼンする。


「確率で相手の防御力を貫通するってスキルだよ。レベルが低いときは、確率がかなり低いけど、戦闘時のパッシブスキルだから、取っておいて損はないと思うよ」


「すぐに取るわ! 『貫通』ね!」


 そう言ってローズは、一時的に攻撃を止めて、ウィンドウをいじりだした。

 俺のプレゼンは成功したみたいだ。


「それで少しは攻撃が通るようになると思うぞ」


「オクツは、こっちで鉄球とかを投げるの?」


 ローズにこう聞かれた。

 あ、前衛に戻るの忘れてた。

 今の状況を教えてもらうのと、鉄球を投げることに夢中になって、前衛に戻るってことが頭からすっぽりと抜けていた。

 完全に忘れていた。

 俺は慌てて取り繕うように言った。


「いや、状況を把握できたし、前衛に戻るよ!」


「じゃあ、そのときにコルドにも『貫通』を教えてあげて」


 早速、『貫通』の効果を実感できたのか、ウキウキでローズがそういった。

 俺はそれに少しだけテンパりながら返した。


「もちろん」


 そう言って俺は、前衛まで上がった。

 コルドへの申し訳なさで、いつもより2割増しくらいで速く走れた気がする。

 『ビッグボスゴブリン』と久しぶりに対峙する。

 久しぶりと言っても、15分ぶりだ。

 コルドの斜め後ろぐらいの位置から、コルドに話しかける。


「コルド! 戻ってきたぞ!」


 そう言って、近接戦闘に参加していった。

 コルドからちょっとした文句が返ってきた。


「おぉ、オクツやっと来たか! 後ろでずっとローズと話してたから、今回の戦闘は、後衛で行くのかと思ってたぞ!」


 俺は少し慌てながら、言い訳を並べる。


「ローズに状況を聞いてたんだよ! まぁ、その間も鉄球とか魔法とかを投げてある程度ダメージは出してたぞ!」


「ただでさえ、敵の防御力が上がって、ヘイトを取りにくくなってるのに、後ろのダメージ量を上げてどうするんだよ! そもそもタンク職じゃないのに、ヘイト取りをするって大変なんだぞ!」


 確かにそうだな。

 前衛でうまくダメージを出せない中で、後衛がよりダメージを出してきたら、ヘイトのバランスが崩れちゃうよな。

 タンク職じゃないから、ヘイトを取るようなスキルを持っている訳でもないし、ヘイト管理が大変なんだろう。

 ヘイト管理もして、前衛としてダメージも出して、さらに回避行動もちゃんとするってマルチタスクすぎるな。

 心の中で全力で謝罪をしておいた。

 すまんコルド!

 その気持ちを込めながら、『ビッグボスゴブリン』に斬りかかる。


「それもそうだな」


「オクツが前衛に戻ってきたし、これで少しは余裕がでるといいな!」


 コルドの顔に安堵が見えた。

 前は2人でやっていた前衛を1人でやるっていうのは相当大変なんだろう。

 まぁ、その分俺はゴブリンの群れに1人で立ち向かったし。それはトントンかな。

 でも、後衛で話し込んで、前衛に戻ってこなかったことは全力で謝ろう。

 改めて、すまんコルド!

 そうだ、今のうちに『貫通』をおすすめしておこう。


「そうだ! コルドって『貫通』ってスキルを持ってるか?」


「持ってないぞ! それがどうしたんだ?!」


 『ビッグボスゴブリン』と戦いながら、さっきローズにした説明と同じように説明をする。


「『貫通』ってスキルを使うと、確率で相手の防御を貫通するんだ。戦闘時のパッシブスキルだし、取っておいた方がいいぞ!」


「わかった! すぐにでも取る! だから、ちょっとだけ前線頼んだ!」


 そう言って、コルドは少し下がった。

 俺は、1人で『ビッグボスゴブリン』を抑えることになった。

 俺にできるかな?

 不安になりながらも、それを表に出さないように返事をした。


「りょうかーい!」


 それから少しの間、俺は1人で『ビッグボスゴブリン』と対峙した。

 攻撃は最低限で、回避とヘイト取りに全力を注いだ。

 こういうときに限ってクリティカルや防御貫通の発生率が悪かった。

 ヘイトを取るのって大変だな!

 これをしながらダメージを出すコルドってすごいんだなと、やってみて改めてコルドを尊敬した。






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