2日目の自由行動その6 買い物と、選択ミス?
「あ! オクツ! えっと……そちらの方は、どなた?」
ローズの声に気が付いて振り返るとそこには、ローズだけではなく、ミヤネさんもたっていた。
そういえば、天野さんがミヤネさんとローズが作業場に行ったって言ってたな。
スープの衝撃と、天野さんとの雑談に集中してたことで、ほとんど忘れてしまっていた。
数分後だったなら、そのことを確実に忘れていた。
いつもより少しテンションの高い、ミヤネさんにも話しかけられた。
「あ! オクツ君と、天野さん、2人って知り合いだったの?」
ミヤネさんに話しかけられたことで、天野さんもローズとミヤネさんの方へ向き直った。
ローズとミヤネさんの方に向き直った天野さんは、楽しげに言った。
俺はそんな天野さんに続いて一言、言った。
「ミヤネちゃんと、確かローズちゃんだったっけ、おかえり! ミヤネちゃん、あんたにお客さんだよ!」
「ローズとミヤネさん、おかえりなさい」
家に帰ってきた家族を迎えるみたいなテンションになっちゃった。
ミヤネさんは、天野さんの言う客が誰かが分からずキョロキョロしている。
「私にお客? 誰?」
キョロキョロしているミヤネさんに天野さんがツッコミを入れながら、誰がお客なのかを教えた。
「オクツよ!」
天野さんは、あぁなるほどといった顔をした後、ちょっと大げさに歓迎してくれた。
「あぁ! オクツ君かぁ。連絡くれたらよかったのに! 買い物? 歓迎するわ!」
「連絡は、入れ忘れてました! アクセサリーを何個かお願いします!」
そうだ! 結局連絡を入れてなかったんだ。
ミヤネさんの露店に来ていることぐらい、連絡を入れておけば良かった。
「そうしてくれると、露店にいられるし助かるわ! じゃあ、私の露店の方へ移動しましょう!」
今のミヤネさん、なんかテンション高いな。
何かいいことでもあったんだろうか?
「オクツ! 私を無視しないの!」
最初に話しかけられたローズに返事をせずに、ミヤネさんと話していたら、ローズに怒られてしまった。
しょうがないじゃないか。だって反応するタイミングがなかったんだもん。
まぁ、でも、ごめんて。
一応、心の中で言い訳だけではなく謝罪もしておく。
「ごめんごめん。こちらは、ミヤネさんの右隣で露店をやってる料理人の天野さん。ミヤネさんが露店にいない間に、雑談をしていたんだよ!」
俺は、最初にローズに聞かれた、「えっと……そちらの方は、どなた?」に答えるため、天野さんをローズに紹介する。
「そうなのね! 魔術師のローズです! 会うのは、1時間半ぶりぐらいですね!」
ローズは一瞬ぽかんとした。
俺に怒ったのに、何で急に人を紹介したんだろう? って顔をした。
そして、自分の過去の発言から、「えっと……そちらの方は、どなた?」に俺が答えたことが分かったローズは、ぽかんとした顔から一瞬で切り替えをした。
ローズは、俺に怒った時のテンションから、一度ぽかんとした顔を挟んで切り替え、天野さんに余所行きのテンションであいさつをする。
切り替え早ッ!
理解してからの切り替え早ッ!
「そうね! 1時間半ぶりね! 私は、料理人の天野だよ! よろしくねローズちゃん!」
天野さんも楽しげに挨拶を返した。
面白い子だね! って顔をしている。
俺たちは今、天野さんの露店を挟んで、店の前と店の奥で会話をしている。
ちょっとだけ距離があるのだ。
だから、話すときにちょっとだけ声を張る必要がある。
それが少し不便だなぁと思っていると、となりの露店からミヤネさんに話しかけられた。
「開店の準備ができたから、みんないらっしゃい! さっき作ったアクセサリーとかがあるから買っていってほしいわ!」
そう言われたので、俺たちは、お隣のミヤネさんの露店へと向かった。
スープの器は、いつの間にか消えていた。別売りの箸を残して。
俺は箸をストレージに入れ、ミヤネさんの露店へ向かった。
ミヤネさんの露店に着いたので、買い物を始める。
天野さんと、ローズは俺の後ろで2人で何か雑談をしている。
その声は、少しだけ聞こえるけど、会話の内容が聞き取れるほどではない。
俺は2人の声を意識から外し、ミヤネさんに話しかける。
「今1番性能がいいのは、どれですか?」
「これかな。補正値は昼と変わらず3だわ!」
ミヤネさんは、自信満々にリングか何かを出してきた。
彫刻の入った木製アッパーカフ
作成者:ミヤネ
DEX:3
詳細
へぇ、彫刻が入っているんだ。
まだ、荒削り感がある彫刻だけど、アクセサリーに彫刻を入れるみたいな細かい作業ができるようになったのだなと感心する。
だんだんとアクセサリーの作りが細かくなってきている気がする。
補正値以外でも、こういうところにミヤネさんの腕が出ている気がする。
まぁ、アクセサリーの良し悪しは、俺ではあまり分からないけどね!
「補正値3のやつっていくつありますか?」
「今は、20くらいね」
昼の時は、補正値3の商品は、10もなかったはずなのに。
すごい生産速度だ。
「じゃあいくつか見せてください!」
ミヤネさんがアクセサリーを俺の前にずらっと並べてくれる。
俺は一つ一つ丁寧に見ていく。
どれもいい品ばかりだ。
アクセサリー類って、あまり動きを阻害しないからつけやすい。
気にするとすれば、着けすぎて、じゃらじゃらと鳴らないかぐらいだ。
俺は、並べられた商品のうち、4つを手に取る。
この4つを買おうかな!
金属のアッパーカフ
作成者:ミヤネ
AGI:3
詳細
彫刻の入った木製ガーターリング
作成者:ミヤネ
INT:3
詳細
お手製のワッペン
作成者:ミヤネ
DEX:3
詳細
全部が、補正値が3だ。
それに今まで買ったことないところのアクセサリーだから、今まで買ったアクセサリーがどれも無駄になることがないし。
俺はその4つをもって、ミヤネさんに話しかけられる。
「じゃあ、この4つにします!」
「お値段は、20,000Gだわ!」
俺は、気分がよくなって口を滑らせる。
「金はありますよ! なんてったって、ビッグラビットの周回に行ってきたので!」
俺はそう言いながら、代金をミヤネさんに渡す。
すると、想像以上にミヤネさんに驚かれた。
「え?! もしかして、ワールド初のボス討伐ってオクツ君たちなの?!」
これは、選択を間違ったのかもしれない。
俺は若干気押されながら答えた。
「そう、ですけど……」
「そうだったのね?!」
ミヤネさんが、だんだんとにじり寄ってくる。
ミヤネさんの声がだんだんでかくなっていっている。
「そんなすごい子だったんだね!」
天野さんも、ミヤネさんと同じぐらい驚いている。
そんなに驚くようなことなのかな?
そんなすごいことなのかな?
「オクツ買い物終わった?」
ローズにも後ろから話しかけられた。
どうやら、ローズと天野さんのお話も終わったらしい。
俺は、今度は怒られないようにすぐに返事をした。
「あぁ、終わったぞ! ローズは買い物いいのか?」
「それは大丈夫! 効果は低いけど何個か自力でアクセサリー作ったし、それにミヤネさんの出来立てほやほやの状態のアクセサリーを何個かもらっちゃったから!」
アクセサリー作りにハマったんだな。
興奮気味にぐいぐい来るローズを見てそう思った。
「それはよかったな! この後って予定はあるのか?」
ローズの予定を聞いてみる。
「うーん……スキルオーブ屋でも行こうかな! お金があるし!」
ローズもスキルオーブ屋に行くみたいだ。
どうしよう? 一緒に行こうと誘おうかな?
個人行動、自由行動だから、別々で行動した方が良いのかな?
でも、どうせここで分かれてスキルオーブ屋に行っても、スキルオーブ屋で鉢合わせるんだし、一緒に行っても大して変わらないだろう。
俺は、ローズに一緒に行こうと誘うことにした。
「俺もスキルオーブ屋に行こうと思ってたんだが、一緒に行くか?」
「うーん……一緒に行動しちゃったら、発表しあうときのインパクトが薄れちゃうかもなぁ……でも、楽しそうだからいいわ!」
ローズは、俺の提案に乗ってくれた。
「じゃあ、スキルオーブ屋に行くか!」
「うん!」
「ミヤネさん、天野さん、また今度!」
「料理とアクセサリーありがとうございました」
ミヤネさんと天野さんに別れを告げた俺たちは、歩き出した。
俺たちは、ミヤネさんの露店を出て、スキルオーブ屋へと向かった。
俺とローズがミヤネさんの露店の前で会話をしているその間、ミヤネさんと天野さんは驚きすぎてフリーズしていた。
あの状態の2人を置いてきて、大丈夫だったかな?
でもあのまま、あそこにいたら、フリーズから覚めた2人に質問攻めにされそうな雰囲気があったから、抜け出してきて、正解だったはずだ。
質問攻めされずに済んでよかった。
あんなに驚かれるなら、『ビッグラビット』討伐のこと、そんな簡単に口を滑らせない方が良いのかな?
今度からは気を付けよう!
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