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2日目の自由行動その2 個室で調薬談義~口動かして、手動かさず~

「ところで、オクツ君の調薬は何レベル?」


 ダイアさんに聞かれたので俺は素直に答えた。


「今は、Lv.2でもちろん入門です」


 すると、ダイアさんの表情は、優しい表情になった。

 子供を見るかのような優しい表情をしている。


「まだまだ調薬は初心者さんだ!」


「それなら教えられることがありそうです!」


 クジョウさんも「ふんす」という効果音が似合いそうなくらいぐいぐい来た。


「ちなみに、キャラクターレベルはいくつだ?」


「えーっと、Lv.10です」


 ササキさんの問いに何も考えずに、答えた。

 すると、さっきまで子供をあやすような表情をしてた、ダイアさんが驚愕の表情に変わった。


「え?! スゴッ!」


 ササキさんまで驚いていた。

 あ! そういえば、ササキさんにレベルの話とかしたことなかったかも。


「さすがオクツだな!」


「すごいです! 極振りじゃないのって、不利なんじゃないですか?」


 クジョウさんは「いろいろ教えるぞ!」って感じの気合いの入った雰囲気から、尊敬していますみたいな雰囲気に変化した。

 え? 極振りじゃないのって不利なの?

 確かにちょっとだけ特化っぽいコルドとかローズよりは火力が出ないけど、いろんなことができていいと思うんだけどなぁ。

 遠距離も行けるし、近距離も行けるし。

 継戦能力も高いと思うんだけどなぁ。


「極振りじゃないのって不利なの?」


 思ってることをそのまま言ったら、ダイアさんが意外そうな顔をした。

 その後、ダイアさんは「知らないのか」という顔をし、説明をしてくれた。


「掲示板とか、攻略サイトとかだと、極振りの検証ばっかりだよ! だから、話題にも出されない万能型? は、なんとなく不利なんじゃないかって言われてるよ」


「そうなんですね。攻略サイトも掲示板も見たことがないので知らなかったです!」


 へぇ、検証すらしないのかぁ。

 まぁ、検証があったとしても、攻略サイトを見る予定がないからいいんだけど。

 話題にすらならないのは、流行りが極振りだし、仕方がないかぁ。

 いままでって、VRMMOジャンルは、極振りとか、ロマンプレイみたいなのばっかりだったから、皆のあこがれがそっちに向いていたとしても仕方がないのかな? 流行ってるしなぁ、極振りロマンプレイ作品。俺もそういう作品好きだし!

 まぁ、でも、そういう作品って、どれも実際にフルダイブVRMMOができる前の作品だしな。参考にはならないよな!


「ちなみに、掲示板で高レベルだってイキってる人たちは、自称Lv.8とかです!」


 クジョウさんが追加情報をくれた。

 今までは、クジョウさんって心の中で言っているけど、なんとなく雰囲気的に、クジョウさんより九条君って感じだな。

 これからは、心の中ではクジョウくんって呼ぼう!


「へぇ、じゃあ俺って結構高レベルなの?」


 無自覚主人公みたいな発言をしちゃった!


「そうだと思います!」


「最前線レベルかな?」


 クジョウくんとダイアさんがおだててくれた。

 なんか気分がよくなってきた。


「言えるならでいいんだが、能力値ってどんなもんだ?」


「満遍なく振ってるので、こんな感じです」


 おだてられて気持ちよくなっているところに、ササキさんからそう聞かれたので、ノリノリで開示した。

 3人に消費値と能力値の部分だけを表示させたステータスを見せた。



 HP:163/163(132+15+16)

 MP:77/77(58+19)

 STR:96(45+38+13)

 VIT:31(15+16)

 INT:22(13+9)

 MND:16(10+6)

 DEX:20(12+8)

 AGI:59(31+28)

 LUK:36(19+17)



 すると、さっきレベルを言った時よりもリアクションが大きかった。

 俺の能力値ってそんなに驚くようなもんなのかな?


「え?! そんなに高いんですか?!」


「なんかもっと、全部20台から30台ぐらいの能力値だと思ってた」


 あぁ、満遍なくって言ったら、全部平均で上げてると思うのかな?

 とりあえず追加で説明をしつつ、話を振る。


「ステータスアップ系のスキルをいっぱい取ったんで。皆さんは調薬とキャラクターレベルってどんな感じなんですか?」


「俺は、調薬は初級のLv.5だな。なんとなくだが、もう少しでLv.5になりそうなとこだと思うぞ。キャラクターレベルは8だ。生産職だから、ゆっくりではあるんだが、確実に上がってるぞ。オクツに能力値と消費値を見せてもらったから、俺のも見せておこう。俺はこんな感じだ!」


 まず、ササキさんが能力値・消費値を見せてくれた。

 ササキさんはノリノリで能力値・消費値を見せてくれた。

「見せてもらったから見せる」とか消極的なことを言っていたけど、見てもらいたかったんじゃないのかな?

 ササキさんの能力値・消費値はこんな感じだった。



 HP:50/50

 MP:50/50

 STR:0

 VIT:0

 INT:0

 MND:0

 DEX:168(91+77)

 AGI:35(24+11)

 LUK:48(20+28)



 あれ?

 やけに消費値が低いな。

 なんでなんだろう?

 極振りとまではいかないけど、0の項目が4つもあるだいぶ偏ったステータスをしている。

 流行りに乗ったってよりは、無駄を極限まで省いたみたいな能力値をしている。


「今朝見せてもらった時より、結構上がってるな!」


 ダイアさんは、今朝も見せてもらったらしい。

 やっぱりササキさんって見せたがりなんじゃないだろうか?


「DEX以外にもステータスを振ってるんですね!」


「AGIがあった方が作業が速くなるんだ。LUKは良いことがありますようにという気持ちを込めてちょっとだけ振ってる」


 へぇ、AGIで作業の早さが変わるんだ。知らなかった。

 確かに起用だけど、めっちゃ動きが遅かったら、よりイライラしそうだな。

 ついでに、消費値が少ないことも聞いてみた。


「消費値が少ないのはなぜなんですか?」


「それはな、調薬にHPもMPもどっちも使わないから、初期の時以外で振ってないんだ」


「BPのままにしてるんですね!」


「そっちの方が、もし仮に今後HPかMPのどっちかが必要になった時に割り振れるしな!」


 確かになぁ。

 どっちかを使うことになった時のために取っておいているんだ。

 常にHPとMPのどっちも必要な俺にはできないことだな。


「じゃあ、次は私の番だね! 私は、調薬は初級のLv.2だよ。細工とかにも手を出してるから、調薬バカのササキよりは、レベルが低いよ! キャラクターレベルは、7だよ。ゆっくり上げてってるよ! じゃあ、私の消費値と能力値も見せちゃうよ!」


 続いて、ダイアさんが能力値・消費値を見せてくれた。

 ダイアさんも結構ノリノリで見せてくれた。

 もしかして、能力値とか消費値って自慢したくなるものなのかな?

 ダイアさんの能力値・消費値はこんな感じだった。



 HP:50/50

 MP:50/50

 STR:0

 VIT:0

 INT:0

 MND:0

 DEX:167(91+76)

 AGI:43(29+14)

 LUK:16(10+6)



 ダイアさんも消費値を初期以降振ってなさそうだ。

 薬師だとこれがスタンダードなのかな? それともあれか? βテスターの知恵ってやつか?

 まぁ、そこらへんはどうでもいいな。

 ダイアさんの能力値は、ササキさんとの同じく下3つにしかBPを振ってないみたいだ。

 これも、無駄を省いた結果みたいな能力値だなぁ。

 運がササキさんよりだいぶ低めなのがポイントかな?


「だいたい俺と変わらねぇじゃねぇか!」


「ササキさんより、LUKが低くてAGIが高いですね!」


 各々が能力値・消費値を見た感想を言っていく。

 最後に、ダイアさんが反応して終わる。


「あんまり、運任せにしたくないじゃん! 速く作業できた方が、いっぱいいろんなものを作れるし!」


「最後は僕ですね。ふたりとも、ゆっくりと言ってる割にレベルが高すぎるんですよ。僕は、調薬は入門のLv.7です。クラフターなので、だいたいの生産に手を付けていて、調薬に割く時間も労力も、専門の2人よりは少ないです! キャラクターレベルは、6です! 僕の能力値と消費値はこんな感じです!」


 最後は、クジョウくん。

 クジョウくんは、2人とは違って、職業が『クラフター』だ。

 だから、全然違う能力値・消費値が期待できる!

 クジョウくんもノリノリで能力値・消費値を見せてくれた。

 クジョウくんの能力値・消費値はこんな感じ。



 HP:10/10

 MP:123/123(120+3)

 STR:34(20+14)

 VIT:0

 INT:34(20+14)

 MND:0

 DEX:127(60+67)

 AGI:32(20+12)

 LUK:25(5+20)



 クジョウくんは、STRにもINTにもBPを振っていた。

 へぇ、同じ生産職でも、こんなに違うんだ。

 それに、消費値の方も振っている量は少し少ないけれど、ちゃんとBPを振っていた。

 見た目的には、2人とは全然違う能力値・消費値をしている。

 いろんなところに能力値を振っている感じが、俺と同じオールラウンダー感がある。


「お、全体的に上がってきたじゃねぇか!」


「クジョウは、装備が抑えめだよね!」


「必要なスキルがいっぱいあって、それらを買ってたらスキルを買うお金が残っていなかったので、装備は控えめです!」


 確かに補正値がちょっとだけ控えめな気がする。

 それもそこまで気にならないレベルだ。

 レベルが低いからかな? で済まされそう。

 というか、クジョウくんが控えめなんじゃなくて、ダイアさんとササキさんが装備をつけすぎなんじゃないかな? 俺も多分、2人と同じくらいつけてるけど!


「STRとかINTにも能力値を振っているんですね! それと、2人とは違って、結構消費値も振ってるんですね」


「僕は、調薬以外にも、鍛冶とか錬金術とかいろいろしてるので、必要な能力値が多いんです!」


 へぇ、いろいろやってるんだ。

 クラフターは、生産の中でのオールラウンダー的な職業なんだ。

 大変そうだなぁ。


「クラフターって、大変なんですね!」


「いろんなものが作れて楽しいですよ! それに、魔法も物理も生産にも手を出してるオクツさんよりは大変じゃないと思いますよ」


 クジョウくんから謙遜が返ってきたので、謙遜で返した。


「俺は完全なエンジョイ勢なんで、大変じゃないですよ」


「またまたぁ」


「そっちこそぉ」


 クジョウくんとじゃれていると、ふと気になったことがあったので、急に冷静になって聞いてみた。


「気になってるんですけど、3人はどういう関係なんですか?」


「あぁ、俺たちは、β版の掲示板での調薬板の住人だ」


「攻略情報とか出して楽しんだよね。それにみんな生産総合板の方にもいたから、結構いろんなこと話したよね」


「実際にゲーム内であったのは、ベータ版の後半でした!」


 へぇ、β版からの付き合いなんだ。

 ていうことは、2人もβテスターなんだぁ。

 ゲームで仲良くなった人のβテスター率が高いなぁ。

 なんでだろう?

 いい生産職をたどっていってるからかな?


「ということは、ダイアさんとクジョウさんの2人もβテスターなんですか?」


「そうだよー」


「そうですよ」


 ちなみに、この雑談の間で、みんな口は達者に動かしていたけれど、誰の手も動いていなかった。

 あれ? ここに何のために来たんだっけ?





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