生産体験会『調薬』体験フェーズ
ササキさんはパチンと手を打った後に言った。
「じゃあ、制作開始だ」
「あ、ちょっと」
「ダイアどうした?」
「薬草とか配ってないし、調薬用の設備を出していないぞ」
「確かにそうだな。じゃあ、ちょっと始める前に聞いてくれ」
「「「「はーい」」」」」
「今からあたしは今回使う薬草を配っていくぞ」
「その間に、俺が、取り出す用具の説明をする」
「じゃあ、配っていくぞ」
そう言って、ダイアさんは、俺達の方に来て、作業台ごとに薬草を置いていった。
ダイアさんがその作業をしている間に、ササキさんが、今回の体験で使用する用具の説明を始めた。
「今回使う用具は、小鍋、コンロ、そして、まな板と包丁、もしくは、ボウルとはさみだ。せっかく良い設備で出来るのだから、サバイバルセットでやるのとは違った装備、ちゃんとした用具でやってもらうぞ。初めてだしな」
「まな板と包丁、ボウルとはさみは、どっちでも良いのか?!」
「どっちでも良い。どっちが得意かで決めていいぞ。まぁ、ようは、薬草を細かく出来れば何でもいいんだけどな」
「そうか! 分かった」
「薬草を配り終わったぞ。水に関しては、作業台の水道から出る水を使ってくれよ」
「じゃあ、各々作業台から用具を取り出して、作業を開始してくれ。さっき言った作業工程とかを忘れてしまったときのために、やることをまとめたのをメッセージで全員に送っておくぞ」
「さっきも言ったとおり、あたし達は、ざっと見て回るから、分からないことがあったら、近くに来たときにでも聞いてくれ」
「じゃあ、スタート」
「「「「スタート!」」」」
様々な説明を終え、やっと体験フェーズが始まった。
俺は、とりあえず、体をササキさんの方に向けていたのを、作業台の方に向き直った。
俺と、ミヤネさんと天野さんで、1つの作業台を囲んでいる。
あまりない組み合わせだな。
俺と天野さんは、天野さんの露店で話したことがある。
俺とミヤネさんは、まぁ、アクセサリーの売買とか、割と話したことがある。
ミヤネさんと天野さんは、隣の露店で仲が良いと言うことは聞いている。
それぞれ関わりはあるが、この3人で何かをしたことは確かないはずだ。
意外な組み合わせだなぁとのんきに思っていると、ミヤネさんから誘われた。
「じゃあ、一緒にやらない? 同じ作業台の付近に座ったんだし」
「いいですよ」
「良いわ」
俺達は、3人で、簡易ポーションづくりをすることになった。
生産が本職の2人と一緒に出来るのは、心強くていいな。
他のグループも、初期の座っている場所にある作業台ごとにグループが出来ているようだ。
今のところこことここが険悪みたいなこともないし、わざわざ移動するようなこともないよな。
そう思っていると、早速簡易ポーションづくりが始まった。
「じゃあ、簡易ポーションづくりを始めましょう」
「まずは、何からやります?」
「何をやるんだい? 料理のこと以外だから、よく分からないのよね」
「じゃあ、まずは、ササキさんから来たメッセージを確認しましょう。私がメッセージの確認をしておくので、2人は、用具の取り出しをお願いね」
俺と天野さんは、まずは用具だし担当になった。
ミヤネさんは、俺達に指示を出し終えると、メッセージを読み出した。
俺は、邪魔にならないように返事をした。
「分かりました」
「分かったよ。この作業台は、昨日から、私が使っているやつだから、かっては分かっているよ」
「そうなんですね。じゃあ、取り出しましょう。用具の取り出しってどうやるんでしたっけ? ここ2,3日、作業台を使ってなくて使い方を忘れちゃいました」
「用具の取り出しはね、ここを押すとウィンドウが出てきて、それを操作すると出来るよ」
「そうなんですね」
「じゃあ、オクツは、さっきササキさんが言っていた用具を順番に言っていってくれよ。私は、それを出していくから」
用具だしのそれぞれの役割が決まった。
この作業台のことを熟知している、天野さんが、実際に道具を出す係で、俺が、出す道具を言っていく係になった。
俺は、記憶を頼りに、1つずつ区切って言っていく。
「まずは、小鍋です」
「小鍋ね。はい」
「次は、コンロです」
「コンロね」
「次は、まな板と包丁か、ボウルとはさみです」
「どっちがいいかね」
「どっちにしましょう」
「とりあえずミヤネチャンに聞いてみるかね。ミヤネちゃん」
「何?」
「まな板と包丁か、ボウルとはさみどっちがいいかな」
「まな板と包丁で良いんじゃない? 天野さんは、そっちの方がつかになれているでしょ?」
「確かにそうだね。じゃあ、オクツもまな板と包丁でいいかい」
「良いですよ」
「はいこれ、まな板と包丁ね」
「これで全部ですね」
「確か、薬草を鍋に入れた後に混ぜるのよね?」
「そうだったと思います」
「それなら、混ぜるものも必要よね」
「確かにそうですね」
「じゃあ、はいこれ、菜箸」
「これで全部ですかね」
「そうだね。これだけだろうね」
俺達の役目である、用具だしが終わった。
簡単だったな。
まぁ、俺は、出す用具を読み上げていくだけだったしな。
そもそも、出す用具の数も数個だったからな。
俺は、作業が終わったことを、いつの間にかリーダーのようなポジションになっている、ミヤネさんに報告した。
「ミヤネさん、こっちの準備は終わりました」
「了解。私の方も、ちょうど読み終わったわ」
「じゃあ、簡易ポーションづくりを始めようね」
「まず最初に、小鍋に水を入れ、火にかけるらしいわ」
「じゃあ、俺がやります」
「オクツ任せたよ」
「はい」
「その水が沸騰するまでの間に、薬草を細かく切るらしいわ」
「じゃあ、それは私がやるかね」
「薬草は、できるだけ細かく切った方が良いけど、すりつぶす必要はないらしいわ」
「了解だよ」
「じゃあ、その間、私は手持ち無沙汰になっちゃったわね」
「じゃあ、はさみとボウルの方も出して、そっちで、薬草を細かくするかい?」
「それ良いかもしれないわね。じゃあ、それをやらせてもらうわ」
「じゃあ、各々作業に入りましょう」
これは、小鍋をもって、作業台に備え付けられている水道で水をくんだ。
重量のある小鍋をとりあえずコンロの上にセットする。
もう作業の半分以上が終わったな。
そう思いながら、コンロをつけ、小鍋を火にかける。
そこまで出来たことを報告した。
「鍋を火にかけました」
「じゃあ、そのまま火の番をやってちょうだい」
「はい」
俺はそのまま火の番になった。
少しずつ温まっていく水を眺める。
段々と気泡のようなものが出来ていく。
あ、沸騰してきたな。
そうなってきたところでまた報告した。
「沸騰してきました」
「ちょうど良いタイミングね。こっちの薬草の処理も終わったわ」
「じゃあ、そっちに持って行くよ」
「はい」
ミヤネさんと天野さんが、刻んだ薬草をもってくる。
薬草は、ミヤネさんが使っていたボウルの方にまとめられている。
天野さんは、ボウルを持って、小鍋の前に立って言った。
「薬草を入れるよ」
「おぉ、なんかそれっぽくなってきましたね」
「後は5分かき混ぜるみたいよ」
「じゃあ、それは俺がやります」
「任せたよ」
「ずっとかき混ぜる必要もなければ、薬草が溶けるほどかき混ぜる必要もないみたいよ。軽くで良いらしいわ」
「分かりました」
俺は、おしゃべりをしながら、定期的に混ぜた。
混ぜすぎないように、混ぜなさすぎないようにと考えながら、混ぜていった。
ウィンドウを出し、時刻を確認しながら混ぜていく。
そんなことをしていたら5分は圧倒いう間に経っていた。
俺は、混ぜる手を止めて言った。
「5分経ちましたね」
「この後は、火を消して、ゆっくり冷ましていくらしいは」
「火を止めたよ」
「じゃあ、冷めるのを待ちましょう」
それからしばらく、熱が取れるのを待った。
熱が粗方取れたところで、ポーション用の瓶に移して、完成した。
俺はしみじみと言った。
「出来た」
「出来たわね」
「この手間で出来るなら、良いわね」
「調薬体験、楽しかったですね」
「そうだね。料理以外の生産の楽しさを知れたよ」
「3人で一緒に出来たのがよかったわね」
「じゃあ、お話でもしながら、他のグループが終わるのを待ちましょう」
「そうだね」
それから、俺達3人は、おしゃべりしながら他のグループの完成を待った。
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