ボス戦道中 ボス戦開幕
南の草原に出ると、急にコルドが立ち止まった。
どうしたのかと思い、コルドが急に立ち止まったことで、1歩前に出てしまった身体を振り返らせる。
ローズは困ったように言った。
「南の草原のボスってどこにいるの?」
確かに。
俺もどこに南の草原のボスがいるのか知らないな。
南の草原にボスがいることも、コルドからのまた聞きだし。
どこにいるんだろう?
俺も気になっていると、コルドが眼鏡をかけているわけではないのに、メガネをくいっとする動作をした後、言った。なんだろうなぁ、かっこいい動作のはずなんだけど、コルドがやるとカッコつけようとしてる感が満載なんだよなぁ。
「昼、攻略サイトで見たんだけど、真南にずっと行くといるらしいよ!」
分かりやすくていいな。真南かぁ。
雑談でもしながら、行きますかぁ。
「じゃあ、このまままっすぐ行けばいいのね?!」
「そうだな!」
俺たちは、真南へ雑談をしながら進んだ。
真南だから、方角とか考えなくてよくて歩きやすい。
2,3分歩いたところで、ローズが驚きの話題を振ってきた。
「そういえば、午後から、樹璃がふみちゃんと一緒にフルダイブVRを買いに行くって言ってたわよ」
え?!
聞いてないよ?!
ふみとは、さっき一緒に昼食食べたのに!
なんで教えてくれなかったの?!
「え?! 俺それ知らないんだけど!」
まぁ、確かにそろそろ買わないと、設置が間に合わなさそうだしな。
アバターの設定とか、本体の設定、感覚のリンク設定とか、いろいろ設定することがあるし、6日前じゃ、少し遅いぐらいだな。
「ふふっ。これで仕返しができたみたいね!」
仕返し?
コルドも同じことを思ったのか、元気よくローズに聞いていた。
「何の?!」
「樹璃がAPOを始めるって聞かされて驚かされた仕返しよ!」
あぁ、昨日のことか。
確かに、めっちゃ驚いてたし、悔しそうな顔してたなぁ。
APOが充実しすぎて、忘れてたわ。
「根に持ってたのか」
「それにしても、大丈夫なのか?! 大人が一緒じゃなくて! 結構な金額だろ、あれ!」
何故か、ふみの兄である俺や、樹璃ちゃんの姉であるローズよりも、コルドが心配をしだした。
確かに心配だな。
中学生に大金なんて持たせて万が一があったら大変だな。
どうしたんだろう?
さすがに、そのままポンと金を渡して買って来いとはならないだろう。
親でも一緒に行ったのかな?
でもうちの親はそんな気配はしなかったな。
「それは大丈夫よ! うちの母が付いて行ったから。それにふみちゃんの分のお金もオクツ母から預かってるらしいし!」
ローズ母が付いて行ってくれたのか。
それなら安心だな。
大人が1人いると安心感が段違いだな。
「それなら安心だな」
「もう6日しかないんだな! 早く強くならないとな!」
6日って、間に合うのかな?
さっきは大丈夫って思ってたけど、結構ギリギリだよな。
そもそも、あれって確か、当日配送じゃないし。
設定とかもいろいろしなきゃならないのに大変だな。
夏休みに入って早々なのに、ドタバタしそうだなぁ。
まぁ、APOを始めるためだし、頑張ってほしな。
「そうだな!」
「そうね!」
それからも他愛もない雑談をしながら真南に歩き続けた。
結構な奥まで来たところで、遠目に、数十人で狩りをしている集団を見かけた。
彼らの狩場が完全に進路にかぶっている。
どうしたもんかなぁ。
「なんか、前方にすごい大人数で狩りしてる人たちがいるぞ」
とりあえず2人に聞く。
「どうする?!」
「迂回しましょう!」
まぁ、迂回だよなぁ。
あの人数のプレイヤーと敵対したら大変なことになりそうだしなぁ。今も今後も。
迂回だよなぁ。
まぁ、先にここを使っているのは彼らなんだし、大人しく迂回するかぁ。
「「了解!」」
「とりあえず会釈しておこう」
とりあえず、こっちが争いを望んでないという意思を見せるために、会釈をする。
これぐらいで争いを避けられるなら安いものだ。
相手方も何人か会釈してくれている。
相手方に積極的な敵対の意思はないっぽいな。
でもなぁ、なんかちょっとだけピリピリしてるっぽいんだよなぁ。張りつめた感じっていうかそんな感じ。
いきなり襲われるとかじゃなくて、よかった。
でも、一応警戒はしておこう。ここでPKなんてされたら、やる気が駄々下がりになっちゃうし。
こっちの油断を誘って、不意打ちでPKとかあるかもしれないし。
あの数だから、別動隊がいたとしても不思議じゃない。
それにしても、集団での狩りかぁ。
ゲームに来てまで集団行動はしたくないなぁ。
あれがいわゆる、攻略組ってやつなのかな? ガチ勢ってやつなのかな? 廃人ってやつなのかな?
悪い人達ではなさそうだけど、なんとなくピリピリしてるし。
ピリピリの中、大変な思いしながらするゲームって楽しいのかな?
「相手も何人か会釈を返してくれてるぞ!」
会釈を返されて、コルドは上機嫌らしい。
ローズも相手を悪くは思っていないらしい。言動から少しそれが感じられる。
「悪い人達ではなさそうね。でも、余計なトラブルを避けるため、とりあえず迂回ね!」
「そうだな」
「了解!」
それから俺たちは、集団を迂回して、町から真南を目指した。
迂回してから少しは、方角を確かめるため、何度か地図を確認した。
それからも俺たちは順調にボスに向かって進んでいった。
もちろん、道中で俺たちに向かって突っ込んで来る魔物は、適宜撃退している。雑談をしながら。
前方にでかいウサギが見える。
あれがボスなのか?
「でかいのが見えてきたね!」
「あれか?」
「あれだと思うわ!」
どうやらあれがボスらしい。
ラビット系なんだ。
徘徊ボスがでかいホーンウルフだったから、ボスはでかいプレーンウルフなのかと思ってた。
気を取り直して俺は確認作業をしていく。
作戦は、ここまでくる道中に話しながら、ある程度決めておいた。
「じゃあ、最終確認するぞ!」
「「うん」」
「最初は、1番の火力をぶつけるって感じでいいか?」
最初は、ヘイトとかを取ってないから、いろんなものをモリモリにしてでかいのを一発入れられるからな!
「そうね! タンクがいないし、避けタンクもいないから、誰がヘイトをとっても変わらないわね!」
「でも、ローズがヘイトを取ったら、面倒そうだから、ローズはワンテンポ遅れて初撃をよろしく」
「わかったわ!」
ローズにヘイトが向いてしまうと、ローズがワンパンでやられるっていう事故が起きかねないから、なるべくヘイトは俺かコルドで取っておきたい。
俺たちなら、さすがに一発は耐えるだろうし。
「多分、火力的にコルドが最初にヘイトを取ると思うから、意識しておけよ!」
「了解!」
「じゃあ、安全に準備ができる距離まで近づくぞ!」
「「了解!」」
確認作業が終わった俺たちは、目視できるぐらいの距離から、すぐに攻撃を当てられるぐらいの距離まで近づいた。
距離としたら、15歩分くらいの距離。
「これくらいの距離でいいか?」
「「OK!」」
「じゃあ、初撃準備!」
「「はい!」」
俺は、まず『アタックアップ』『スピードアップ』を発動した。
この2つは、セルフバフなんだが、時間制のバフではなく、次の攻撃時にだけのるバフなのだ。ちなみにクールタイムは、効果が発揮されてから3分というものだ。
そこに、『チャージ』と『二連斬り』。
単体火力なら、『二連斬り』より『ソードアタック』の方が高いかもしれないが、クリティカルのチャンスが多い『二連斬り』を選択した。
俺の準備は完了だ。
攻撃の時には、称号の『一勝四敗』の効果も乗るし、追撃だってある。
「準備できたぞ!」
「俺も!」
「私も!」
「じゃあ、始めるぞ!」
俺たちの表情が集中モードへと切り替わっていく。
「「うん!」」
「攻撃開始!」
「「攻撃開始!」」
俺は、剣を構えながら目の前のボス『ビッグラビット』に向かって走り出した。
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