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そろそろ出発

 しばらくシルさんと4人で話していると、店員さんがお盆を持ってきた。

 この感じ、多分注文の品が来たんだろうなとなんとなく察した。

 様相通り、店員さんが言った。


「ご注文の品をお持ちしました。朝食セットをご注文のお客様」


「はい」


 朝食セットは、手を挙げたシルさんの前に置かれた。

 朝食セットは、トーストに、ハム、目玉焼き、それとコーヒーの4点セットのようだ。

 これはおいしそうだな。

 そう思っていると、店員さんが言った。


「今日のケーキセットをご注文のお客様」


「はーい」


 今度はケーキセットが、手を挙げているローズの前に置かれた。

 ケーキセットの中身は、ケーキが1つと、紅茶、そしてちょっとしたお菓子の3点セットだった。

 このセットも良いな。

 すごく良い。

 これにすれば良かったかなと言う気持ちがわいてくるぐらいには良いセットだな。

 そう思っていると、店員さんが言った。


「メロンソーダをご注文のお客様」


「はい!」


 今度は、メロンソーダが、手を挙げているコルドの前に置かれた。

 メロンソーダは、緑色の炭酸に、丸いアイスクリームがのせられているもの。

 アイスの一部が溶けて、メロンソーダの上部を、少し白く染めている。

 メロンソーダの緑色の炭酸の部分も、どぎつい色の緑色と言うよりは、優しい色、自然に近い色の緑色をしていた。

 そんなことはないんだけど、どちらかというと体に良さそうな緑色をしている。

 これが、この店のこだわりなのかな。

 そう思っていると、店員さんが言った。


「今日のケーキをご注文のお客様」


「はい」


 一瞬どっちだ? という間が合ったが、シルさんが手を挙げたので、シルさんの前に置かれた。

 ケーキは、ショートケーキのようだ。

 今日のケーキはショートケーキなんだな。

 そういえば、ローズの前に置かれた、ケーキも今日のケーキで、ショートケーキだったな。

 ローズの時は、セットにしておけば良かったという気持ちが強すぎて完全にケーキの種類が意識から抜けていたな。

 そう思っていると店員さんが言った。


「もう1つ、今日のケーキをご注文のお客様」


「はい」


 俺は迷わず返事をしながら軽く手を挙げた。

 すると、店員さんが俺の前にケーキを置いてくれた。

 ローズやシルさんの前に置かれたのと同じ、ショートケーキ。

 とてもおいしそうなショートケーキ。

 なんとなく、ケーキが輝いているように見える。

 ケーキを眺めていると、店員さんが言った。


「コーヒーをご注文のお客様」


「はい」


 俺は、ケーキを見ていたところから、慌てて返事をしながら手を挙げた。

 完全に忘れていた。

 コーヒーも頼んだことを完全に忘れていたな。

 これもまた反省だな。

 反省反省。

 反省していると、店員さんが俺達を見ながら言った。


「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」


 代表して、シルさんが返事をしてくれた。


「はい、大丈夫です」


 ありがたい。

 俺は今それどころじゃなかったからな。

 そう思っていると、店員さんが言った。


「では、ごゆっくりお過ごしください」


 店員さんはそう言うとそのまま下がっていった。

 店員さんが下がっていくのを見送った後に言った。


「俺も今日のケーキセットにしたら良かったかもな」


「飲み物をコーヒーにも出来たみたいだし、そっちの方が良かったかもしれないわね」


「まぁ、とりあえず食べよう」


 俺達は両手を合わせて、声を合わせて言った。


「「「「いただきます」」」」


 俺達は目の前におかれたものを、食べ出した。

 パクパクパクと3口食べるぐらいまで、沈黙が続いた。

 みんな食べるのに集中して感想を言うのを忘れているのだろう。

 リアクションを取ると言うことが意識から抜けているんだろうな。

 誰も話していないことに気づいたシルさんが一度食べる手を止めていった。


「これおいしいね」


 俺達は、それに続いて感想を言っていった。


「うまっ!」


「やっぱりうまいな」


「これもおいしいわね」


 それからは、ちょいちょい話ながら、9割方食べることに意識を向けて、目の前の食べ物を食べていった。

 目の前の食べ物が減っていくに連れて、少しずつ口数も増えてきた。

 全員が食べ終え、飲み物だけになったときに、俺はしみじみと言った。


「はぁ、幸せだな」


 3人も、幸せを噛みしめるようにしながら言った。


「幸せだ!」


「幸せだね」


「幸せね」


 それからは、少しの間、余韻を楽しむ時間が続いた。

 ポツポツと話しながら、おいしかったと言うことの余韻に浸る時間。

 段々余韻が薄れていって、気持ちも落ち着いてきたところでまた本格的に話し出した。


「そろそろいい時間だろうし、狩りに行くか」


「分かった! 行こう!」


「そうだね。そろそろ行った方が良いかもね。時間ももったいないし」


「ちなみに今って、何時なの?」


 コルドが時計を確認した。

 コルドは、驚きながら、困惑しながら言った。


「えっと、9時50分だな!」


 9時50分?!

 50分なの?!

 そんなに時間が経ったのか。

 全然そんな気がしないんだけど。

 そう思っていると素直な気持ちが口からこぼれた。


「え?! そんなに経ってたの?」


「僕がこの店に来たのが、9時半の直前だから、あれからもう20分も経っているのか?!」


 少し落ち着こう。

 深呼吸だな、深呼吸。

 吸って、吐いて、吸ってぇ、吐いてぇ、吸ってぇえ、吐いてぇえ。

 なんとなく落ち着いてきたな。

 段々、9時50分を受け入れられるようになってきたな。

 9時50分かぁ。

 俺がログインしたのが、9時前。

 8時50分前後ぐらいだったよな。

 それから、もう1時間も経ったのか。

 全くそんな気がしないな。

 というか、シルさんが合流したときも同じようなことを思った気がするな。

 案外そういうものなのかな。

 そう思いながら言った。


「俺がログインしてから、もう1時間も経ったのか。全くそんな気がしないな」


「そうね。そんなに時間が経っているとは思えないわね」


「そんなに時間が経つようなことしていないよな?」


「時間を忘れるほど何かをした訳ではないのに、すごい時間が経っているな」


「不思議だな」


「何か、喫茶店に入ると、時間の感覚が狂う仕掛けがあるのかもな!」


「まぁ、多分、幸せすぎて、その余韻を感じていたら、時間が過ぎていたんだろうな」


「じゃあ、そろそろ出発しようよ」


「そうだな。もうちょっとと言って、平気で1時間ぐらい居ちゃいそうだしな!」


「じゃあ、お会計しちゃおう。ここのお会計は俺がもつよ」


「なんで? 急にどうしたの?」


「いや、昨日の飯代を全部俺がもつという話だったけど、夕食代普通に2人に出してもらったからさ、ここぐらい払おうかと思って」


「そうだったのね。なら任せるわ」


「じゃあ、俺もごちそうになろうかな!」


「僕は、そのやつに関係していないから、払うよ」


「いや、シルさんの分ぐらいたいした金額じゃないし大丈夫だ」


「そうなの? なら、たまにはごちそうになろうかな」


「「「ゴチになります」」」


「じゃあ、お会計してくるね。3人は先に外に出てて」


「「「はーい」」」


 3人は、席を立ち店から出て行った。

 俺は、1人、お会計に行った。

 レジで店員さんに言う。


「お会計お願いします」


「お会計ですね。お客様は、10番テーブルのお客様ですよね?」


「はい、そうです」


「10番テーブルのお会計の方は、13,400Gになります」


「これで」


「13,400Gちょうどお預かりしました。領収書は必要ですか?」


「いや、いらないです」


 そう言って、俺は店を後にした。

 扉を開くと、ドアベルが鳴る。


 カラカラン


 それが鳴り終わる前に店から出た。

 外に出ると、3人が並んでいた。

 並んでいる3人が声をそろえて言った。


「「「ご馳走様です」」」


 俺は首をかしげながら聞いた。


「何? そのノリ」


「いや、ごちそうになったから、こういうことをしておいた方がいいのかと思って!」


「なんとなくのノリで決まったわ」


「そうなんだ。会計してみたら目ん玉飛び出る額になったよ」


「いくらになったんだ?!」


「13,400GGだった」


「1万を超えたの?!」


「すごい額ね。装備とかそういう価格帯よね」


「まぁ、あんだけ食べたらそんだけ行くよな!」


「確かにそうだけど、驚きで目を見開いちゃった」


「そういう反応になるよね」


「じゃあ、とりあえず狩りに行きますか」


「レッツゴー!」


「「「ゴー!」」」




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