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今日まず何する? 生産してみよう!!~生産編~

 俺たちはギルドについて、初めてギルドの作業場に入った。


「作業場ってこんな感じなんだ!」


 最初に感想を言ったのは、コルド。

 作業している人たちの迷惑になるんじゃないかというくらいの声量。

 大丈夫なんだろうか?

 入り口に書いてある注意書きを見てると、パーティーメンバー以外には音が聞こえなくなるらしい。

 へぇ、集中力を維持するためにそんな工夫までされているんだ。凝ってるなぁ。

 いい環境だな。

 感心していると、ミヤネさんに注意されてしまった。


「入り口にたまっていると邪魔だから、さっさと作業台に行きましょう」


 感心しているところから切り替えて、移動する。

 作業台は、人1人寝れそうなサイズ感だった。

 引き出し1つ1つに、用具が入っているらしい。

 実際に引き出しを開けることはできなかった。

 何故か疑問に思って、けんけんぱさんに聞くと、用具が入っているというのは、設定で、実際はパネルを操作して、必要な用具を出すらしい。鍛冶とかをするときは、作業台の形が変わるんだとか。

 ハイテクだなぁ。まぁ、ゲームだからか。

 設備にひとしきり感動した後、雑談ついでに生産職組に質問した。


「皆さんもここで作業しているんですか?」


「うん、そうだよ。まだ工房とか店とかを持てるぐらいに稼いでるわけじゃないからね」


「そうだな」


「そうね」


 へぇ、稼ぐと工房とか店が持てるんだ。

 結構高そうだなぁ。

 現実的な額なのかな?

 気になったので、もう一度質問する。


「店とかって、いくらぐらいするんですか?」


「うーんとね。僕だと昨日の稼ぎの1000倍くらいかな。初日は、剣がほとんど売れなかったし」


「昨日いい感じにポーションバブルに乗れたから、昨日の稼ぎの25倍くらいだな。でも、実際に稼ぐとなると、かかる日数はそれ以上だろうな。今のポーションの価格なら」


「私は、50倍くらいかしら。まぁ、これから値段も上がってくるだろうし、稼ぐ日数はもうちょっと短いと思うけど」


 高! 皆の稼ぎの何十倍も必要って、大変なんだなぁ。

 公共の、このギルドの作業場で、こんなにいい設備なんだから、もし仮に工房とかを持ったらすごい設備が使えるのかな?

 夢があるなぁ。

 生産職の楽しみってそっちなのかな?

 いろんな楽しみ方があるって、APOって神ゲーだなぁ。


「へぇ、そんなに高いんですね」


「だから、しばらくはだいたい、露店か、この作業場に来たら、俺たちに会えると思うぞ!」


 俺と生産職組の3人で雑談していると、けんけんぱさんが切り上げるように言った。


「まぁ、雑談はそれくらいにして、生産の方をやっていこう! コルド君とローズさんがうずうずしてるよ。なんか今にも爆発しそうだよ」


 あ! 確かにさっきまで、こいつらにしては静かすぎるくらい静かだった。

 雑談が楽しすぎて、コルドとローズがうずうずの限界だとは気づかなかった。

 けんけんぱさんの発言でまったり雑談モードだった雰囲気が、生産モードに切り替わった。

 ミヤネさんが、てきぱきと振り分けてくれた。


「じゃあ、一緒のところでやるんじゃなくて、作業台を分けてやりましょう。右の作業台は、私とローズ、真ん中は、ササキとオクツ、左の作業台は、けんけんぱとコルド、こんな感じで良いかしら?」


「「「「「了解!」」」」」


 生産が始まるらしい。

 ワクワクしてきたな。


「じゃあ、それぞれ準備ができたら開始して! 出来たら片付けして、真ん中の作業台集合ね!」


「「「「「了解!」」」」」


 俺たちは、それぞれの作業台に散っていった。




 同じパーティだから、となりの作業台の会話が耳をすませば内容が聞き取れるくらいは、聞こえる。これに気を取られないように気をつけなきゃな。

 ササキさんの言葉で気を引き締める。

 ポーション作りが始まった。


「じゃあ、俺たちもやるぞ!」


「はい!」


「まずは、俺がお手本を作る。その後に、実際にやってもらうって感じでいいか?」


「はい!」


 ササキさんが話し始めると、ササキさんの声に集中したため、周りの音はあまり聞こえなくなった。

 集中力を乱されることはなさそうでよかった。


「じゃあ、初心者ポーションを作っていくぞ。今回は、回復量を上げるような工夫とか、生産量上げるような工夫をしていないスタンダードなつくり方だ」


 ササキさんが道具を取り出しながら、俺に説明を始めた。


「はい!」


「まず水を火にかけておく」


 そういいながら、ササキさんは、鍋を火にかける。


「その間に、薬草を刻む」


 そう言ったころには、もう薬草は刻み終わっていた。


「次に、刻んだ薬草をすり鉢ですりつぶす」


 ササキさんが話すより早くゴリゴリという音が聞こえてきた。

 ほんの数秒で、ササキさんはすりつぶすのを終えてしまった。

 早ッ!

 ササキさんの動きにはシュバババババッ! ていう効果音がついてそうだ。

 それぐらい手際がいい。


「作業中に、水が沸騰しないように気にかけておく」


 手際が良すぎる作業をしながら、他のことも気にかけているって、どんなマルチタスクだよ!

 ササキさんの手際がよすぎて、質問などを挟む暇がない。というか、挟む気が起きない。


「次に液状になった薬草を沸騰しないぐらいの温度に加熱しておいた水の入った鍋に入れる」


「これを沸騰しないように温度に気を付けながら、混ぜる」


 ササキさんは、木べらのようなもので鍋をかき混ぜながら、注意点やワンポイントアドバイスをくれた。

 生産職の人ってみんなこんな手際をしてるの?

 それともβテスターだから?

 それとも、ササキさん固有のものなのかな?


「この時の水と薬草の適量は薬草1束に対して、水が鍋1杯分だ」


「薬草は洗ったりしなくて大丈夫だ。アイテムボックスに一度入れた薬草はなぜかきれいになるぞ。洗ったら、成分が抜け落ちるのか、出来たポーションの品質が落ちるぞ」


 混ぜ終わったのか、鍋から木べらのようなものを抜いて、説明をしてくれる。


「水と薬草が混ざったら、急激に温度を下げようとせず、ゆっくり温度を下げていく。まぁ、火を止めたままにしておけば大丈夫だ。氷とか水とかで冷やそうとしなければな」


 熱が抜ける2,3分の間は、ササキさんは、使い終わった道具を洗う時間にしていた。

 なんと効率的な!

 ほれぼれするくらい洗練された動きだと思った。

 2,3分が経ち、熱がとれたであろう鍋をもって、次の動作の説明をしてくれた。


「いい感じに熱が取れたら、これをこしていく。この魔道具に注げば、いい」


 鍋を傾けて注ぎながらも、追加の説明を入れてくれる。


「この魔道具は、ゆっくり出来た液体をこしてポーションにしてくれる。魔道具の中身が一定量を超えたら、勝手にポーション1本にしてくれる。こうやって作業台の上にポーションが現れる。これを待って、最後の1滴まで魔道具でこしたら完成だ」


 ここまでの間、だいたい10分。

 どうやら、説明が終わったみたいだ。

 ササキさんは、最後に確認に俺の顔を見て言った。


「分かったか?!」


 俺は、ササキさんの説明でだいたいのことは分かったのでありのまま包み隠さず言った。


「だいたい、分かりました!」


「じゃあ、分からないところがあったら、やりながら教えていくとしよう! じゃあ、やってみろ!」


 次は俺の番らしい。

 さっきササキさんがやっていたことと説明してくれたことを頭の中で反復する。

 よし!

 行けそうだ!

 気合いを入れて、返事をした。


「はい!」




 それから、ぎこちないながらも丁寧に、ポーションを作っていった。

 かかった時間は、ササキさんのお手本の倍以上、25分程度かかってしまった。

 作っている間、ササキさんは口出しをしなかった。

 基本的に質問されたら答えるというスタンスでいた。

 ただ、俺が熱を取る待ち時間にぼーっとしていると「生産中に気を抜くな」と怒られてしまった。

 それ以外で、生産中に話しかけられることはなかった。

 それでできたのが7本の初心者ポーション。

 ササキさんは同じ分量で、10本出来ていた。

 この差はなんなのだろう?


 俺は、出来た喜びを胸に、佐々木さんにできたことを報告した。


「出来ました!」





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