南西奥の狩り 変な称号
狩りかぁ。
「今回は、西寄りに行ってみない?」
武器屋から出るところで、ローズがそう言った。
「なんで?」
俺は素直にローズに聞いた。
するとローズはこう答えた。
「前回って、真南のちょい奥くらいだったじゃない。後半はそれでちょっとだけ物足らなくなってたじゃない? だから、もう少し敵が強いところがいいかなと思ってね!」
「まぁ、敵を強くしようとしたら、確か、東西によるか、南のもっと奥に行くんだよね。それは冒険者ギルドで聞いた気がした。その2つなら、奥に行くのは面倒くさそうだし、東は強すぎるらしいし、西が妥当なのかな?」
「それに、前回のところは、後半少しずつ人が増えてきてたから、今頃少し混んでるんじゃないかなって思って」
俺とローズの話に付いて行けないのか、俺とローズを交互にきょろきょろ見ているコルドに確認を入れるようにして、今度の行動を決定していく。
「確かにそうだな。じゃあ、西寄りの南、そのちょい奥を目指すか。コルドもそれでいいか?」
「オクツとローズがそう思ったなら、それでいいと思うぞ!」
「じゃあ、そっちに向かっていきますか!」
「「了解!」」
それから、俺たちは南の草原の少し奥の西寄りに陣取った。
俺は早く戦いたいという顔で興奮気味なふたりに声をかける。
「間違っても、西の森には、行くなよ! 環境が変わって戦いづらいし、相手は、俺たちが今のレベルで、万全の状態じゃないのに戦って勝てるような相手じゃないからな」
「わかってるよー」
「西の森の魔物は、こっちに出てきたはぐれ個体を草原で仕留めるわよ!」
「それなら狩りを始めますかぁ」
俺の気の抜けた宣言に、2人も力の抜けた返事を返してくる。
「うぃ」
「はーい」
狩りが始まった。
ウルフ系を中心に、奥まで来過ぎたラビット系や、森から出てきちゃったディア系なども狩った。
狩りは基本的に、みんなで散開して、狩りをしながらトレインを作る。定期的に連絡を取りながら初期位置に戻ってきて、1人じゃ少し手に負えなくなったくらいの魔物の一団をそれぞれ持ち寄り、3人で狩りをした。
途中、皆が調子に乗ってどでかい群れを3つ相手にしたときは、正直負けたと思った。
調子に乗ったせいで、何回か修羅場をくぐる羽目になった。
まぁ、これもゲームの楽しみの1つかな。
何か調子に乗ってミスをしても、それを楽しめるのはゲームだからだろうなぁ。
前回の狩りでは、俺が魔物を引っ張ってくることが多かったのだが、今回はみんなある程度AGI値が増えたから、みんなで引っ張ってきて、みんなで対処するみたいな感じになった。
だから効率がすごくよくなった。
西の森系の魔物だけは、一対一でやらず、必ず二対一や三対一で対処した。
ウルフ系は、ある程度AGIも高く、敵を感知する範囲が広いため、トレインが作りやすかった。
それに、ハイ系が、勝手にトレインをまとめて統率を取ってくれるので、すごくやりやすかった。
最初のMPKの時はあの時の俺にとっては、強くなりすぎてて嫌いだったけど、今はトレインのお助けキャラみたいになってる。
俺の中で、ハイ系の魔物の好感度が上がった気がする。
狩りをしてたら、いつの間にか、変な称号がついていた。
一勝四敗
効果
その戦闘で、1キルをするまで、全てのステータスが10%上昇する。
説明
初日から、神に戦闘で勝てるのか心配された者に与えられる称号。
獲得条件
①プレイ初日に、次のうち1つを達成する
・PKが成功する
・PKの撃退に成功する
・MPKが成功する
・MPKをモンスターごと撃退することに成功する。
・決闘で勝利する
・徘徊ボスを討伐する
・ボスを討伐する
②プレイ初日に、次のうち4つを達成する。
・PKが失敗する
・PKされる
・MPKされる
・MPKが失敗する
・決闘で敗北する
・ボスに敗北する
・モンスターに敗北する
・購入した商品が、購入後2時間以内に50%以上値崩れした。
①では、
・決闘で勝利する
を達成し、
②では、
・MPKされる
・MPKが失敗する
・モンスターに敗北する
・購入した商品が、購入後2時間以内に50%以上値崩れした。
を達成したらしい。
俺たちの狩りの仕方が、『MPKが失敗する』判定なんだな。
確かに、お互いに魔物を大量に連れてきてるし、はたから見たらMPKなのかな?
ネタ称号というか、煽り称号な気がするけど、効果がだいぶ強い。
10%!
10%は普通に大きな数字!
喜んでいいのか、怒った方が良いのか分からない称号を貰ってしまった。
なんだよそのネーミング!
語感だけでやってるだろ!
まぁ、ステータスが上がるし、喜んでおくかな。
でも、俺って初日からそんなに失敗していたのかと、ちょっとだけテンションが下がった。
まぁ、その分強くなった気がするし、気にすることはないのかなぁ?
まぁ、NINJAマンだけは許さないけど!
この称号について話したら、コルドに爆笑されたけど、気にしない! 気にしない!
ローズもくすくす笑ってたけど気にしないのだ!
もう何度目かになる、トレインに対処しながら雑談をする。
「買った装備の性能はどう? ステータス上がった感はある?」
「アクセサリー系は、地味にだけど確実に感じるわ! 足がちょっと速くなったし、魔法も少しダメージが増えたわ。だけど、防具の下着は、あまり分からないわ! そもそも、1発ダメージを受けたらほぼ終わりみたいなステータスだから、攻撃に当たれないから分からないわ!」
「俺も、アクセサリーが活躍してるぞ! AGIが上がったから動きやすいし、DEX
の影響か、クリティカルが増えてる気がする。防具の方も、VITが上がったから、ポーションを使う回数が減ってる気がする。アクセサリーも防具も動きを阻害しないからいいな!」
「そうか、なら、これからもミヤネさんに動きの邪魔にならない範囲で、ミヤネさんの負担にならないくらいの範囲で、作ってもらおう!」
「賛成! 大賛成! まだ生産のレベルが低くて思うようなデザインにできないってミヤネさん言ってたし、これからもっときれいなアクセサリーを手に入れられると思うと今からテンション上がってきたわ!」
「俺も大賛成! 最初は、アクセサリーをつけるのが少し恥ずかしかったけど、これだけステータスが上がるなら、あってもいいな! 目立たないようなのミヤネさんに頼もうかな!」
ミヤネさんの評価がうなぎ上りしていた。
後半になってくると、ポーションの出番が増えて、次はササキさんの評価がうなぎ上りだった。
ついでにギンジさんの評価も上がっていたことを言っておこう。
俺たちは3,4時間狩りを続けた。
魔物を狩り尽くしちゃうんじゃないかというくらい、魔物を倒した。
途中で単調な狩りに飽きてきたのか、何度も西の森に行こうとするローズとコルドを止めるのが大変だった。
「せめて明日にしよう」この言葉を何回言ったことか。
経験値量は、前回の5倍以上になって、これなら西の森に行かなくていいのではと思えてきた。
素材も結構な量が入って、全部換金したら、多分、所持金が前回の狩りの後の4倍以上になるんじゃないかな?
2人はレベルが9に上がったらしい。
俺は、Lv.10にはならなかった。
今までの上がり方なら、もう上がってもいいんじゃないかな?
もしかして、Lv.10からはレベル上がりづらいとかなのかな?
一桁は、初心者応援的に低い経験値で簡単に上がれるようになってるとかそういう感じなのかな?
もしかして、Lv.10になると新たな力に目覚めるから、たくさん経験値が必要とかそういうことなのかな?
まぁ、分からないことを考えるのはこれくらいにしよう。
ポーションも減ってきて、そろそろ狩りばっかりしてるのも飽きてきて、防具の耐久値が減ってきたころ、どでかいウルフが出た。
ビッグホーンウルフLv.25 徘徊ボス(レア)
ボスだ。
ボスかぁ。
徘徊ボスかぁ……
すごい威圧感だ。
背中を向けて逃げたら、すぐに追いつかれて、後ろから攻撃されて死にそう。
逃げれないなぁ。
逃げたいなぁ。
でも逃げられないしなぁ。
どうしよう、これ。
とりあえず、ゆっくりゆっくり距離を取り、3人ともボスから目を離さず、作戦会議をする。
「どうする? これ」
「「「どうしよう?!」」」
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