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シルさん登場 2人の世界

 俺達とあの人との距離は、ちょうど、人に声をかけるぐらいの距離になった。

 これはどうするべきなんだろう?

 こっちから声をかけるべきなのかな?

 それとも、話しかけられるのを待つべきなのかな?

 そもそも、あの人がシルさんで確定なのかな?

 0.1%ぐらい、シルさんではない、ただの人違いである可能性があるな。

 その状態で話しかけて良いものか。

 俺では判断しきれないから、2人に聞いた。


「どうする? 声かける?」


 ローズは一瞬悩む仕草をした後、淡々と言った。


「かけた方が良いと思うわ」


 まぁ、かけた方が良いのかな?

 今のところ、あっちから声をかけてくる雰囲気はないし、こっちからかけた方が良いのかな?

 あの人は、入り口から入ってくる人たちが邪魔で、うまくこちらにこれていない。

 しばらくは、この声をかけるぐらいの距離感が続く。

 だから、あと少しだけ考える猶予がある。

 これは、かけた方が良いのかな。

 俺は、声をかけるために気持ちを作り始めた。

 俺が気持ちを作っている途中で、コルドが、軽く言った。


「じゃあ、俺が声かけるぞ」


 コルドが声かけてくれるのはありがたいな。

 心の準備が少し無駄になるけれど、まぁ、やってくれるんだし、いっか。

 コルドは、いつもの話し声よりも少しだけ声を張って、あの人に向かって言った。


「兄貴!」


 あの人は、コルドの声に反応した。

 体を一瞬ビクッとさせた。

 がっつり目が合っていて、手を振り合っていたのに、そんなに体をビクッと震わせる必要はないんじゃないかな。

 そんなに驚くところだったのかな?

 これで、さすがに、シルさんは、あの人で確定だな。

 これからは、心の中で、あの人ではなく、シルさんと呼ぶようにしよう。

 そっちの方がわかりやすいし。俺的にも。

 シルさんは、返事をしようと、声を出そうとしたところで、固まった。

 どうしたんだろう?

 何かがあったのかな?

 硬直から解けた、シルさんは自信なさげに言った。


「お! あ、えっとー、コルド!」


 あぁ、名前を覚えている自信がなかったのか。

 まぁ、分かる。

 あったことある人とか、顔と名前が一致している人って、すぐに名前が出てくるんだけど、顔と名前をバラバラで覚えている人って、うまく名前が出てこないときがあるよな。

 もしくは、別の顔と別の名前が紐付いていると、頭の中がこんがらがって、うまく名前が出てこないときがあるよな。

 メッセージでのやりとりはあったけど、APO内で会っていないから、コルドの顔と名前が、うまく紐付かなかったんだな。

 そういうことよくあるよな。

 コルドも、名前を呼ぼうとして、固まっていた。

 コルドも同じように、うまく名前が出てこないのだろう。

 しばらく固まった後、コルドも自信なさげに言った。


「えっとー、兄貴は今はシルだったな!」


 コルドが固まっている間に、うまく人の流れに逆らいながら、シルさんは俺達と会話をするぐらいの距離まで近づいてきていた。

 さっきまでの声を掛け合う声量から、会話の声量に切り替えて、シルさんは言った。


「久しぶり? 夕飯ぶりかな」


 コルドも、さっきまでの声をかけるようの声からも、その前のシルさんを探すときの小声からも声量を変えて、いつもの会話の声量で言った。


「そうだな、朝起きたときには兄貴はもういなかったからな!」


 コルドと話している様子を見て、だんだんと今目の前にいる人がシルさんであるという実感が湧いてきた。

 あぁ、シルさんだなぁ。

 現実とは姿が変わっているけれど、声はそのまんまだな。

 それに話し方も、ちょっとした仕草からもシルさん感が出ている。

 あぁ、やっぱりシルさんだな。

 そう思いながら、俺は、シルさんとコルドの会話を聞く。

 シルさんが軽く笑いながら言う。


「まぁ、コルドよりも遅起きになることはほとんどないからね」


 コルドは納得したように言った。


「それはそうだな」


 シルさんは、俺達よりも、少しだけギルドの入り口に近いところで話している。

 まぁ、入り口の方から、隅にいた俺達の方に来ているから、俺達がいる隅から少しだけ、入口側に出てしまっている。

 そんなシルさんが少しだけ、通行の邪魔になっていたので、少しだけこちら側に寄せた。

 シルさんは、会話に夢中になっているので、少し寄せられたことも、通行の邪魔になっていたことも、気にしていないようだ。

 さっきまでは、俺達3人とシルさんで、3対1みたいな配置で話していたのが、今は、4人組で話している感じの距離感になった。

 俺は、さっきまでより近い距離で、2人の会話を聞く。

 シルさんがコルドに聞いた。


「コルドは、戦士にしたんだっけ?」


 コルドは、自信満々に軽くファイティングポーズを決めながら言った。


「そうだ! 拳で戦う系の戦士だぞ!」


 それに対して、シルさんはクスッと笑った。

 その後、楽しそうに言った。


「装備も相まってそれっぽくなってるね」


 この2人、男兄弟なのに、こんなに仲が良いのってすごいな。

 兄弟でこんなに仲良くできるものなのかな?

 特に、男兄弟なのに仲良くできてるのってすごいよな。

 男兄弟ってめっちゃ喧嘩してるイメージがあるんだよな。

 うちは、男女の兄妹だから、事情が違うんだろうけど、それでも、コルド達よりは、距離がある。

 そもそも、同性の兄妹ってどんな感じなんだろう?

 大変なのかな?

 ないから全然分からないな、

 適当なことを考えながら2人の会話を聞く。

 コルドが自慢するように言った。


「そうだろ、かっこいいだろ!」


 シルさんは、弟を褒めるとか、弟の言っていることを肯定するみたいなテンション感ではなく、ちゃんとかっこいいと思っていそうなテンションかんで言った。


「うん。かっこいいね」


 年長者として接していると言うよりも、対等な目線で接しているから、この兄弟はうまくいっているのかな。

 年長者の落ち着いた達観したような対応をせずに、同じ目線に立って、話をしているから、こんなに中が良いのかもな。

 俺は、シルさんが、コルドの装備を褒めている様子を見てそう思った。

 確かに、シルさんが、コルドを叱っているところとか見たことがないな。

 2人して、親に怒られているところは何度も見たことがあるけど。

 後は、俺も2人と一緒に怒られたことなら、何度もあるな。

 そのときは、だいたいローズも一緒に怒られていたな。

 まぁ、ちゃんと怒られるようなことしていたからな。あのときは。

 俺は親たちにみんなで怒られた、いろんな出来事を思い出した。

 記憶の中で、思い出に触れながら、2人の会話を聞いている。

 今度はコルドが、シルさんに向かって言った。


「兄貴は、弓士っぽいな!」


 コルドは、皮肉とかなしの心からの感想を言っている。

 俺は、そういえば、ローズはこの会話をどういう表情で見ているのだろうと気になったので、ローズの方をちらっと見てみた。

 ローズは、何か考え事をしている顔をしていた。

 何を考えているのかな?

 今日の予定とかかな?

 それとも、『ビックボスゴブリン』との戦い方でも考えてるのかな?

 もしくは、クラン『ファースト』の今後でも考えているのかな?

 まぁ、何にしろ、2人の会話をちゃんと聞いていなさそうだな。

 というか、2人だけの世界はいつまで続くのかな?

 2人だけの世界に入られると、俺達もいるよと、自己主張したくなってくるな。

 もしかして2人には俺が見えてないんじゃないのかな?

 そんな適当なことを考えながら、2人の会話を聞く。

 シルさんは、とてもうれしそうに、コルドの感想を受け取っていた。

 そしてシルさんは良い笑顔で言った。


「ありがとう。装備を更新してそれっぽくしてみたんだよ」


 コルドは、追加でシルさんを褒める。


「似合ってるぞ!」


 シルさんもよりうれしそうに返す。


「ありがとうね」


 このやりとり、いつまで続くんだろう?

 俺達のことが見えてないのかな。

 ここに、俺達もいるよ!
















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