シルさん登場 発見?
「あの人が兄貴じゃないか?」
コルドが指さした先を見る。
コルドが指さした先には複数人のプレイヤーがいた。
どの人を見て指したのだろう?
あの人かな? それともあの人かな?
あの人の可能性もあるな。
どの人なんだろう?
俺には判断できないので、コルドに聞いた。
「どれ?」
コルドが指さした先には、3人のプレイヤーがいたのだ。
1人目は、ゴリゴリの戦士みたいなプレイヤー。装備は使い古されているような雰囲気がある。始めてから4日とかでつくような傷ではないような傷が防具についている。
歴戦の戦士感が少しある。
がたいもよくて、でっかい鈍器とかで殴り殺してそうな雰囲気のあるプレイヤーだ。
2人目が、かっちりとした鎧を着こなしている女騎士だ。
鎧もピカピカで、きちんと手入れしていそうな雰囲気が出ている。
ピカピカだけど、新人とか新しい装備のようには見えない。
装備に着られている印象はないな。
騎士なのか剣士なのかどっちなんだろう。
盾とかは持ってないみたいだな。
ということは剣士なのかな?
騎士って、盾とか持ってるイメージだから、剣だけしか持ってないなら、剣士なのかな。
まぁ、本人に聞かないと分からないだろうな。
というか、初期職業に、騎士ってあったっけ?
騎士かぁ。
初期職業一覧で見かけた気もするな。
分からないな。
どっちだっけ?
まぁ、初期職業に騎士が会ったかどうかは一旦おいておこう。それよりも次の人。
3人目は、偵察とかに出ていそうな格好に見える。斥候とかの職なのかな。
初期職業だと、盗賊とかなのかな?
シーフとかそういう役割の人なんだろう。
比較的軽装だな。
あの装備、なんか見たことあるんだよなぁ。
あれ? よく見ると、あの人、戦闘職っぽい格好だけど、あれは生産職用の装備じゃないか?
どこも守ってないし、生産活動の時に腕とかの邪魔にならないように配慮されてるし、あれって生産職用の装備じゃない?
ということは、あの人は生産職の人か。
盗賊じゃなくて生産職の人か。
一瞬見間違えてた。
分かりづらいな。
というかあれ、町の武器屋で売っていた、生産職向けの装備じゃねぇか。
なんとなく見たことあるなぁと思ってたら、市販品か。
あの武器屋に行ったときちらっと目に入ってたからなんとなく見覚えがあったのかもな。
それで、結局どの人なんだろう?
どの人を見て、シルさんだと思ったのかな?
というか、俺的には3人とも違うと思うんだけどな。
シルさんは、戦士ではないだろうし、女でもないだろうし、生産職でもないだろうし。
どの人を指していたとしても、全員間違えていると思うんだよな。
ローズもコルドが指した先が誰なのかが分かっていないのか、コルドと同じような方向を指さした後、その周辺を指でぐるぐる指しながら言った。
「どの人?」
みんな起きてくる時間なのか、どんどんギルドも混んできていて、指さしただけだと、誰かが分かりづらくなっている。
みんなこの時間にログインしてくるんだなぁ。
まだ9時前だよ。
思っていたよりもずっと早起きなんだなぁ。
ゲーム好きの人って昼まで寝てるのかと思ってた。
というか早いとしても、多くの人は9時半とかからログインしてきて、10時ぐらいから賑わうのかと思ってた。
まぁ、6時前にログインしてきた俺が言うことじゃないんだけどな。
そんなことを考えていると、コルドが、再び指を指しながら言った。
「あの人だぞ」
コルドの指の差す先を視線でたどっていくと、今度は、1人に特定することができた。
コルドが指していたのは、どうやら3人目の生産職の少年だったらしい。
盗賊職に見える装備をつけている生産職の彼らしい。
まぁ、あの人がシルさんではないだろう。
そう思いつつ、コルドに、俺が見つけた人があっているのかを確認する。
「あの人?」
コルドは、俺が指さした先をたどって生産職の彼の方を見た。
俺が指さした先を確認したコルドは大きく頷きながら言った。
「そう、あの人」
あの人かぁ。
あの人ではないだろ。
あの人ではないだろうなぁ。
まぁ、他の候補でも確実にないんだけどなぁ。
俺は口から感情とともに思ったことがこぼれ落ちた。
「え、あの人かぁ」
ローズがコルドに向かって、首をかしげながら言った。
「何であの人なの?」
コルドも首を軽くかしげながら答えた。
「雰囲気?」
雰囲気かぁ。
なんとなくか。
まぁ、何か理由があるわけではないんだろう。
何か理由があるのなら、あの人は選ばないだろうし、その前の女の人も選ばなかっただろう。
とりあえず、確実にシルさんではないと言える点があるとかはあまり考えずに、一番それっぽい人を見つけたら、言うようにしているのかな?
ローズも軽くあきれたように言った。
「雰囲気なのね」
俺はやんわりとコルドに伝えた。
「なんとなく違うんじゃないかなぁ」
やっぱり、あの人ではないと思うなぁ。
ローズが、少し驚いた顔で言った。
「そうね。よく見たら、装備が戦闘職のじゃなくて、生産職のものよね」
お、ローズも気づいたんだな。
あの装備、一見戦闘職のものに見えるよな。
よく見ると、戦闘には向かなさそうな設計だし、生産用の装備だと気づくんだよね。
防御力がなさそうな点とか、高速移動がしづらそうな点とか。
コルドも、ローズに言われて気づいたのか、かなり驚いた顔をして言った。
「あぁ、確かにそうだな。あれで狩りに行ってたとしたら馬鹿だもんな」
やっぱりさっきまで気づいていなかったんだな。
確かに、盗賊職っぽい感じなら、弓士でもギリギリ納得できるよな。
でも、あの人って、生産職だからさすがに弓士ではないな。
俺は、うんうんと軽く何度も頷きながら言った。
「そうだな。装備変更してから行くべきだな。町中できる用のファッション装備だとしても、生産職用を戦闘職の人が着るのは意味が分からないからな」
コルドがしみじみ言った。
「じゃあ、あの人と違うか」
ローズがうんうんと頷きながら言った。
「そうね」
俺もそれに全力で同意した。
「そうだと、思うぞ」
あれ? もしかしてさっきのもボケだったのかな?
違う人をシルさんだと思うというボケの3回目だったのかな?
話しているときはつい真剣になっちゃうから、ボケとかそういう可能性を忘れちゃうんだよなぁ。
ボケだと伝わってなくて悲しんでいるのかもしれないな。
それは俺の脳の処理能力と柔軟性が足りてないせいだな。
そうだとしたら申し訳ないな。
これ、さっきも考えたような気がする。
けど、話し始めると毎回忘れちゃうんだよなぁ。
何でなんだろう?
不思議だなぁ。
話し出すと急に真剣になるんだよなぁ。
人間って不思議。
そういえば、コルドがさっきの人を指さしたタイミングで、俺がシルさんっぽいと思った人はどこに行ったんだろう?
さっき見かけた辺りを見ても、その姿はない。
もうどこかに行ってしまったのかな?
ギルドを出て行ったのか、露店市に行ったのか、それとも作業場に消えていったのか。
がっつり目を離していたのでどこに行ったのかが分からないな。
まぁ、どこかに行ったと言うことは、シルさんではなかったんだろう。
そういうことなんだろう。
俺は、ギルドの入り口の方を見たとき、なんとなくシルさんっぽい人を見つけた。
その人はちょうど今ギルドにはいってきたところだ。
背中には弓を背負っていて、防具は要所を守るようにと、ある程度の俊敏性を両立しているかのような装備。
4日間ちゃんとプレイしている人の装備な気がする。
あの弓はたぶん、初期の弓ではなさそうだな。
背丈は、どこか見たことがあるような背丈。
性別も、ここから分かる限りだと男に見える。
それに、雰囲気からもシルさんっぽさが出ている。
もしかしてあの人じゃない?
俺はそう思ったので、その人を指さしながら小声で言った。
「あの人かな?」
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