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クラン顔合わせ 道中

 俺は、顔合わせに行くために頑張って手を動かしながら,ついでに口も動かしていた。

 依頼書とにらめっこをしながら、俺はコルドに聞いた。


「そういえばさぁ、シルさんの話どうなったの?」


 確かコルドが昨日、「明日の朝にでも誘っておく」っていってたような気がするんだよな。

 誘ったのかな?

 その結果はどうなったんだろう?

 シルさんと一緒にAPOできるのかな。

 そういえば、ローズがそのとき、「明日の朝に、シルさんを誘うことを忘れてないかチェックする」っていってたけど、もしかしてローズは、忘れてるのかな。それともタイミングを計っていただけなのかな?

 どっちなんだろう? まぁ、どっちでも良いか。俺が代わりに確認したんだし。

 コルドは、誘うのを忘れていたと言うよりは、俺達に伝えるのを忘れているような感じの声色で言った。


「あぁ、兄さんの話か! 朝に兄さんに話そうと思ったんだけど、俺が起きたときにはもうAPOにログインしていたっぽくて、あれ以降まだ話せてないんだよな!」


 確かに、コルドより早起きのシルさんに、コルドが朝、話しかけることは不可能だな。

 コルドが起きるときには、とっくに APOの世界に入っているのだろう。

 シルさんはそういう人だし。

 今度はローズがコルドに聞いた。


「じゃあ、どうするのよ?」


 コルドは、うーんと悩んでいる。

 コルドの方を見たから確実なことではないが、悩みながらもコルドは、確実に納入依頼を処理していっているのだろう。

 それぐらい、コルドなら十分できるはずだ。

 悩み終わったコルドが言った。


「APO内で連絡取れるから、顔合わせの後にでも連絡取ってみるか!」


 APO内で連絡取れるのか。

 連絡を取れるなら、最初から教えてほしかったな。

 それなら、昨日の夜に連絡入れておけば、朝から会えたかもしれないな。

 まぁ、タラレバを言ってても仕方がないな。

 できることなら顔合わせの前がよかったな。

 それなら、シルさんも顔合わせに参加できたんだけどな。

 まぁ、そういう順番になってしまったのはしょうがない。

 受け入れるとしよう。


「じゃあ、そうしよう」


 ローズがウキウキとした声色で言った。


「シルさんどういう見た目でAPOプレイしているのか気になるわ」


 コルドもノリノリで言った。


「確かに、集合とかしても初見で分からない可能性があるな!」


 確かに初見で分からなければ、待ち合わせは大変そうだな。

 何か目印になるようなことをしていてもらえば、簡単に待ち合わせできそうだな。

 でも、目立つようなことをされたら、こっちが恥ずかしくなるかもな。

 無難に、どこかのベンチに座っているとか、そういう判別方法が良いな。

 そうだ、連絡先を持っていると言うことは、コルドはもしかして、シルさんに会ってるのか?

 もしそうだったら、シルさんにコルドが気づけば、待ち合わせは簡単だな。


「ちなみにコルドは、APO内ではまだ会ってないんだよな」


 コルドはけろっと言った。


「あぁ! 俺もまだ、兄さんに会ってないぞ」


 もしかしてあれか? ふみが俺に連絡取れるみたいな感じで、外部の連絡ツールと紐付けてるってことなのかな?

 それならAPO内で会わずに連絡先を交換できるな。

 もしくは、IDを現実で教えて、それを使ってフレンド登録をしたとかなのかな?

 そういう方法でフレンド登録ってできるのか?

 後で確認しておこう。


 それからも俺達は、頑張って手を動かしてついでに口も動かして、一生懸命依頼を処理していった。

 そういえば、最近、納入依頼はやるけど、討伐系の依頼とか全くやってなかったな。

 まぁ、毎回ギルドに受けに来るのが面倒くさいんだよな。

 それに、納入系だけで、十分回ってるし。

 納入依頼ばかりにならないように、たまには討伐系の依頼を受けてみるのも良いかもな。

 まぁ、それは追々だな。

 手と口を頑張って動かしていた俺達は、コルドの分の素材の納入依頼を終わらせることができた。

 コルドは、依頼書から顔を上げながら、両手を天に突き上げて叫んだ。


「よっしゃあ、終わった!」


 俺は、達成感からパッと切り替えていった。


「じゃあ、集合場所に行くか」


 ローズは、依頼処理が終わった達成感から顔合わせに意識を切り替えたのか、達成感を上回るわくわくがあるのかは分からないけれど、テンションを上げて言った。


「クラン『ファースト』の顔合わせ会へGO!」


 俺達は、ギルドの依頼のところから作業場に向けて歩き出した。

 歩きながら、顔合わせに関する話をする。


「2人は、誰とまだ会ってない?」


 2人は指を折りながら会った人を数えだした。

 ローズが先に数え終わったみたいだ。

 ローズが先に言った。


「私は、ダイアさんと、クジョウさんかな。それ以外のメンバーには一度はあっていると思うわ」


 調薬組の2人か。

 確かに、俺の知る限りでも、2人とローズは会ってないな。

 ローズは初対面の人が2人いるわけか。

 良い感じにコミュニケーションがとれると良いな。

 ローズに続いてコルドが言った。


「俺は、ダイアさん、クジョウさん、天野さんかな! ササキさん、ミヤネさん、けんけんぱさんとはもちろんあってるな!」


 調薬組の2人に加えて、天野さんもか。

 多分、コルドもミヤネさんの露店には何回も行っているから、天野さんを見たことはあると思うんだよな。隣の露店だし。

 まぁ、でもコルドなら集中したらあまり周りを見ないタイプだから、全く見たことない可能性もあるか。

 その3人とコルドが話していた様子は、俺の記憶にはないな。

 少なくとも話すのは初めてなんだろう。

 そういえば、『ファースト』って3人共通の知人と、追加で俺の知人だけを誘ったから、全員と知り合いなのは俺だけなのか。

 まぁ、みんな生産職だし、元から全員と知り合いの人がいるかもしれないな。

 まぁ、厳密にはどうとかは、今は良いか。


「じゃあ、顔合わせ前の段階で、全員と会ったことがあるのは、俺だけなんだな」


 コルドが、バシバシと俺の背中をたたきながら言った。


「そうだぞ! オクツがなんとかするんだぞ! クランマスターでもあるんだし!」


 ローズは親指を立ててグッドマークをしながら言った。


「頑張ってねオクツ」


 俺達は楽しく話しながら、集合場所の1224号室に向かっている。


「もう俺達以外、全員集合しているらしいけど、今顔合わせ会の会場はどうなってると思う?」


 もうすでに楽しく盛り上がっているのかな。

 もしくは、お通夜状態の可能性もあるな。

 どっちなんだろう。

 前倒しをしたいってササキさんが言うということは、お通夜状態が耐えられないという意思表示なのかもしれないな。

 もし、そうだったらどうしよう。

 まぁ、どうしようもないな。


「それぞれ、どこかしらでつながりがあるから、お通夜状態にはなってないんじゃないか?!」


 そうだといいな。

 お通夜状態から始まるクラン『ファースト』はなんか嫌だな。

 盛り上がっていると良いな。

 誰も取り残されていないといいな。


「みんな生産職だし、意外と話が合うかもしれないわね」


 俺は心から言った。


「わいわい盛り上がっていると良いな」


 コルドは軽く笑いながら言った。


「盛り上がっているところに、俺達が登場して途端に盛り下がられたら困るな!」


 そんな不安にさせるようなこと言わないでよ。

 ローズはクスクスと笑いながら言った。


「そんな明るく言うことではないわね」


 集合場所の様子は分からないけど、俺達ができるのは、俺達が会場に着いてからのことだけだな。


「まぁ、そうならないように頑張ろうな」


「もちろん!」


「そうね」


 話しているうちに、集合場所の1224号室についた。

 俺は部屋番号を指さしながら言った。


「ここで間違いないよな?」


「あぁ、大丈夫だ!」


「ここであってるわ」


 ここであってるよな。よかったよかった。

 俺は、ドアをノックした。


 コンコンコン


「オクツと」


「コルドと!」


「ローズです」


「入っても良いですか」


 俺達がそう言ってから一拍ぐらい間を開けて、中から声が聞こえてきた。


「もちろん良いぞ」


 多分ササキさんの声だな。

 ということは、ササキさんが一番ドアの近くにいるのかな?

 そんなことを考えながらドアを開けた。


「「「失礼しまーす」」」










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