第8話 夕食会
投稿遅れてすいません。
気がつくとそこは昼食会を行ったホールで、団員たちが食事をしているところだった。
どのくらい気を失っていたんだろう?
時計を見ようと上体を起こすと、後ろから急に「気がついたか?」と声をかけられた反動で寝かされていた長椅子から転げ落ちそうになった。
「お、驚かせないでくださいよ!」そう言いながら振り向くと副団長が笑いを堪えながら立っていた。
「そんなに驚くと思ってなかったんや、堪忍な。」
「明らかに笑いを堪えながらそう言われても信用性低いですよ!」と言うとついに耐えきれなくなったのか、「ほんまにすまんかったわ」と口では言いつつも顔を背け肩を震わせている。
しばらく副団長の肩の震えを不服に思いながら眺めているといい加減落ち着いたのかこちらに顔を向け、真面目な顔になった。
「ほな、少し話があるからあっちの方いこか」と言う副団長に僕は連れられ、寮の外に出た。
春になったとはいえ、まだ夜は冷える。少し肌寒いから早く戻りたい。
「少し冷えるからはよ話終わらせて中戻ろか」
と少しも寒がっている様子の見えない副団長は話を切り出した。
「ハルトくんさっき『レッドに入りたかった』って言うてたやろ」
「まぁ・・・そうですね」
当たり前だ。騎士学園に通うものならば誰もが目指す場所、それがレッドなのだから。
「それはなんでなん?」
「え?いやそれは騎士だったら誰でも目指すものでは・・・?」
本当に意味がわからない。騎士たるもの、国王から下賜される勲章を得ることが最上の誉とされており、
過去ブラックでそれを達成したものは初代団長の一回しかないのに対し、レッドは多くの勲章獲得者を出している。
しかも初代団長が得た勲章も全騎士団設立時に全騎士団長に贈られたものだ。
「ブラックだと陛下に謁見できる機会も少ないでしょうし」
「せやな。ウチらがやっている仕事はせいぜいザコ処理やしな」
「そうなんですよ!なので僕はっ」
「でも君の場合は違うやろ」
「ッツ!?」
「その反応はアタリみたいやな」
なぜバレたんだろう?今まで誰にも言ったことがないのに
「ウチ、人の考えていること当てるの得意なんよ」
思考を読まれている!?精神関与の魔法か?そんなの聞いたことはなのだが。
「言っとくけど魔法は使うてないよ」
使ってると言ってくれた方が納得できた。
ここまで当てられると、もはや隠し事ができる気がしない。
「で、何なん?その理由。どうしても言いたくない事なら言わんでもええけど」
「いえ、秘密っていうわけでもないですし、むしろ誰かに聞いてもらいたいというか・・・」
「ほんなら教えてくれへん?」
副団長はいつもの糸目に少し柔らかな雰囲気を纏わせつつ僕にそう言う。
この人なら話しても受け止めてくれそうだと思える、優しい空気だ。
「・・・はい、少し昔のことなのですがーーーーーーー」
次回、前にも言っていた約束の件の話です。
ここまで読んでいただいた方に特大の感謝を。