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ほんとはつよい最弱騎士団  作者: 藻太郎
第1章  脱落者のその後
7/8

第5話  最弱達の訓練 後半

団員の方達の組手がそれぞれが投げたコインが落ちるのを合図に始まった。

「くらえっ!」

おぉ、やたらあそこ気合入ってんな、殺気が本物っぽい。

「死ぃねぇぇ!」

死ねって言っちゃったよ、あの人達!殺気は本物かよ!

団長達は止めないのか?

「この前も俺のタオル勝手に使いやがって!」

「そんぐらいで怒んなよ!」

「うるせぇ!いつもお前が俺の使うからいつもタオル2枚必要なんだよ!」

「お前だって俺の錆止め勝手に使うだろ!」

「あれは騎士団からの支給品でタダだろ!」

ん?子供の喧嘩みたいなこと言ってねぇか?アレ。

「だからって一言ぐらい俺に言えや!」

「お前がろくに自分の剣手入れしねえから俺が代わりに手入れしてやってんだろ!そのついでに自分の剣も手入れしてるから自分の錆止め取るのメンドクセェんだよ!」

うん、昔学級代表に仕事全部任せていたらキレた時みたい。

是非とも彼をお母さんと呼びたくなってきた。あの人きっとなんだかんだ世話焼いてくれるタイプの人だわ。

他の人達の組手を見て回っているうちに1つ目の組み手がぼちぼち終わってきた。

てか、組手の一本が異様に長い気がする。

全員がガヤガヤしている時に

「降参や」

と言う声がきこえてきた。

え、今の訛った喋り方は副団長?

「いやー、ホンマ強くなったな。越されてもうたわ。」

「副長の指導の賜物ですよ」

え、やっぱりそんなに強くないんかな、副長。

ちなみに団長は始まって早々木製の戦斧で相手を吹っ飛ばしていた。ゴリラやん。

「よし、次の組手は新入りも入れてみるか」

うそん。ゴリラ団長の相手はやだなぁ。と思っていると僕を部屋に案内してくれた方が、

「おう、ハルトって言ったか。俺の相手をしてくれよ」

よかった。ゴリラ回避。

「ええ、お相手させて頂きます。ところで、お名前は何というのですか?」

「俺はカインってんだ」

僕を案内してくれた方、もといカインさんは朗らかに笑ってみせた。

その後、他の人たちも相手がきまった。

あ、ゴリラ団長の相手一緒に走った口悪い子か。若干震えてね?アイツ。

副長の相手はまた団員だった。

そして、組手が始まった。



10分後ーー

僕は息を切らして空を見上げていた。

何であんなに走った後にこんな長く組手し続けられるんだよ。

僕は組手の間、ひたすら攻め続けた。

籠手や足、腕など色んなところを狙ったが、一撃もまともに入らなかった。

あるときは躱され、またある時は弾かれ、受け流される。

それだけならまだ良い。

カインさんはあえて避けやすい攻撃を弾き、弾きやすい攻撃を避けていたのだ。

何なんこの人。

僕一応騎士学院上位10人に入るんですけど。

騎士団に入ったら即戦力間違いなしって言われてたんですけど。

しかも僕が攻撃ている間、攻撃を一切しなかった。

僕が疲れて動きが鈍くなってきたところを足を引っ掛けて転ばせ、そのまま木剣を突きつけ、勝負が決まった。

「坊主、なかなか良い守りだったぞ」

「それは光栄ですが、カインさんならいつでも勝負を終わらせられたでしょう」

「それに気づいてんなら上出来だ、精進しろよ。坊主はまだまだ強くなれる。例えば薙ぎ払う時の踏み込みの位置はーーー」

汗を拭きながらカインさんは的確なアドバイスをしてくれる。

そんなに詳しく見ていたのか。あんなに激しく動いていたと言うのに。




一通りカインさんからの話を聞くと周りは休憩に入っていた。

どうやら僕たちが最も長く組手をやっていたらしい。

「次一本やったら今日は終わりだ」

と団長が言うと、

「おぉ!」

と野太い返事が返されていた。


次の僕の相手は団長(ゴリラ)だった。

なぜこうなったかと言うと、声をかけた後団長は僕らのところに来て、

「ハルトはどうだ?」

とカインさんに聞いた。

するとカインさんは、

「なかなかやりますよ、コイツ。後二ヶ月あれば俺を越しますよ」

と答えた。

ん?なんかまずい流れだな、と思っていると

「よし、ではハルトよ、次は俺の相手をしてもらおう」

そう団長様が仰ったからだ。チクショウ。


と言うことで僕は木剣と盾を持って、木製の戦斧を携えた団長と向かい合っていた。ドーシテコーナッタ。

「少しは耐えて見せろよ?新入り」

ゴツい顔に楽しそうな笑顔を浮かべて団長はそう言った。

「ご期待に添えれば良いな、とは思っていますが」

心の中では冷や汗ダラダラ、しかし外面には怯えを感じさせないように、僕は笑みを返した。

無論、内心は「怖い」のみである。

かくして、僕たちの組手は始まったのだが、先ほどとは違い今回の勝敗は一瞬で決することになる。


僕らのちょうど中間あたりに団長の投げたコインが落ちる。

その次の瞬間、団長は僕の目の前で戦斧を振り下ろそうとしていた。

慌てて僕が盾で身を守ると耳元で、

「ほう、これを防ぐか」

と団長が呟いたような気がした。

やばい、と思った時にはもう、僕は宙を舞っていた。

受け身を取れずに地面に落ちた僕はそのまま気絶してしまった。








ヒロインはまだ出ません。

ここまで読んでくださった方に特大の感謝を。

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